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TOPサロン講座「廃泥土のリサイクル〜お花を植える土に変えよう〜」を開催しました。

サロン講座

「廃泥土のリサイクル〜お花を植える土に変えよう〜」を開催しました。

投稿日:2023年06月15日(木)

このイベントは終了しました。

たまきさんサロンスタッフです。
6月3日(土)に東北大学大学院環境科学研究科の高橋弘教授を講師にお迎えして、「廃泥土のリサイクル〜お花を植える土に変えよう〜」と題したサロン講座を開催しました。
4月26日から6月18日まで仙台市で開催されている「第40回全国都市緑化仙台フェア」とあわせて、メイン会場となる青葉山公園追廻地区にオープンした「仙臺緑彩館」を会場として実施しました。




川や湖の水などの原水が浄水場で安全な水に作り変えられる過程で、実は不要な泥や土砂がたくさん発生しています。今回の講座では、そのような廃泥土を「園芸用の土」としてリサイクルして利用する方法を教えていただきました。


仙台市周辺には、釜房、大倉、七北田ダムなどがあり、それぞれに茂庭、国見、福岡浄水場が設置されています。
これらの浄水場では、原水から取り除いた小さな土砂や浮遊物などのごみが毎年、大量に発生しています。(浄水場から出る廃泥土は、専門用語で「浄水発生土」と呼ばれています)
例えば、宮城県の浄水場で1年間に発生する廃泥土を家庭のお風呂に貯めようとすると、約26,000個の浴槽が必要になるそうです。これが日本全国では、なんと約100万個の浴槽が必要になってしまいます。安全な水を作るためには、大量のごみとしての廃泥土が出て来てしまうのですね。

今回の講座では、このような処分場に捨てられるだけだった廃泥土を、花壇づくりや屋上緑化などのためにリサイクルして利用する方法を、参加者の皆さんに実際に体験していただきました。
通常、廃泥土は天日乾燥して紫外線により殺菌処理しています。
講座では模擬の廃泥土と薬剤を使用して「園芸用の土」を作る実験を行いました。


最初に、カップに入れた水に模擬廃泥土を加え、よくかき混ぜます。ドロドロの泥土になりました。
この水分の多い泥土に、細かく切った古新聞紙を混ぜます。

乾いた新聞紙が水を吸うまで、頑張ってかき混ぜます。

新聞紙が水を吸って、かき混ぜる手がだんだん重くなってきました。
なんだか粘土のかたまりのようになりました。

次に、これに「魔法の白い粉?」を加えて、さらにかき混ぜます。
すると、しだいに土に粘り気が出てきて、いっそう混ぜるのに力が必要になってきます。

「手が疲れた〜!」みんなの悲鳴が聞こえてきました。
「もう少し、頑張って!」

この「魔法の白い粉」の正体は、実は使い捨て紙おむつなどに使われている「凝集剤」と呼ばれる吸水性ポリマーなのです。吸水性ポリマーは、紙などよりもはるかに高い吸水力を持っています。

もう少し頑張ってかき混ぜてみましょう!
泥はどんどん固くなり粘り気も出てきました。吸水性ポリマーが水分を吸収したからです。

さらに、これに別の薬剤を加えます。

すると、土の粘りがとれて、そぼろ状のポロポロとした状態に変化します。普通の土を混ぜているような手ごたえに変わりました。
この薬剤は「分散剤」で、吸水性ポリマーのねばりを切ったのです。
ドロドロだった最初の水分がどこかにいってしまったわけではありません。この土のかたまりをギュッと手でしぼってみると、ぽたぽたと水がしみ出してきます。
吸水性ポリマーや薬剤を加えることで、初めはドロドロの液体だった廃泥土が、植物を植えることができるような保水性の高い土に生まれ変わりました。
(*使用した吸水性ポリマーや分散剤は、時間をかけて微生物によって分解される環境に負荷をかけないやさしい物質を使っています)


出来上がった土を使って、早速お花を植えてみましょう!


「日々草」を植えてみました。
たくさん花をつける丈夫な園芸用の草花です。育て方も教わったので、これからも、きれいな花をたくさん咲かせてくれることでしょう。

今回体験した方法は、浄水場から出る廃泥土の処理の他にも、震災で出たヘドロのリサイクルや道路のかさ上げ工事の地盤材をつくる時にも使われているそうです。津波が川に残していった土砂も、遊水池の堤防造成工事などに使われ、仙台市地下鉄東西線の掘削工事の時に出た泥土も、改良土としてリサイクルされ道路の舗装工事に使われました。
セメントと古紙を混ぜることにより古紙の繊維がつなぎの役目をして、より強度が増すということもわかっています。どのくらい固くなるのか、実際にのこぎりで切って確かめてみましょう。

古紙が混ざっている土と混ざっていない土の切りくらべをして、強度の違いを参加した子どもたちに体感してもらいました。

ヘドロや泥は匂いがあり不衛生で、大雨などの災害時には大量の泥を除去しなければならず、厄介なものという悪いイメージを強く持っていました。そのようなものも、工夫次第では再び資源として生まれ変わらせることが出来ることを、今回の講座で教えていただきました。
これらの技術の原点には、「土壁づくり」などの日本の伝統的な手法があったということでした。
役には立たないと思われていた物やごみとして捨てられていた物も、工夫次第ではとても有効な物として生まれ変わらせることができるということを、実験をして学びました。

高橋先生、実験をサポートしてくださった学生スタッフの皆さん、ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

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