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「石は語る!〜歴史的建造物をつくった石材を探る〜」【サロン講座】

投稿日:2020年12月11日(金)

このイベントは終了しました。

たまきさんサロンスタッフです。
11月28日(土)に、東北大学片平キャンパスを会場として、「石は語る!〜歴史的建造物をつくった石材を探る〜」と題したサロン講座を開催しました。

今回の講座では、明治時代以降に建てられた歴史的建造物が、まだ数多く残されている片平キャンパス内を巡って、建造物に用いられている石材の種類や産地、その由来などについて、実際に現物を見ながら専門の先生に解説していただきました。

地学がご専門の東北大学理学部名誉教授の蟹澤聰史(かにさわ さとし)先生と、青葉山・八木山フットパスの会でもおなじみの東北大学施設部キャンパスデザイン室専門職員の内山隆弘(うちやま たかひろ)氏のお二人を講師としてお迎えし、建造物のご案内と解説をお願いしました。
 


北門会館前集合
 
蟹澤先生(左)と内山さん(右)
     

石材見本
 
片平キャンパスでよく用いられた石材
 

片平キャンパス北門から入って、歴史的建造物巡り開始です
 

明治期の仙台医学専門学校の基壇部
 
火山岩(三滝玄武岩と推定)が使われています

明治24年に第二高等中学校(後の第二高等学校)の開校以来、仙台医学専門学校、仙台高等工業学校などが開校。明治44年には、同じ敷地内に東北帝国大学理科大学が開設されています。その後、工学部や法文学部などが増設され、前述の教育機関が大学に組み込まれて、現在の片平キャンパスが形成されたという歴史を持っています。それに伴って明治から昭和(戦前)にかけて建造された歴史的建造物が、キャンパス内にはまだ数多くまとまって残されています。

現在5棟が「登録有形文化財建築物」として登録されていますが、今回の講座ではそれらの歴史的建造物に用いられた建材である石材に注目してみました。

片平キャンパスに残る歴史的建造物に多く用いられている石材は、利用された時代によって種類が違っています。

「三滝玄武岩」
約800万年前の噴火による火山岩。仙台市の西方の蕃山や権現森を中心に分布している。古くは仙台城や武家屋敷の石垣、亀岡八幡宮の石段をはじめ、仙台市内でも地元の石材として明治期の建造物に最も多く用いられている優黒質の硬い石材。

「秋保石(湯本層凝灰岩)」
約800万年前に白沢カルデラの活動で噴出した火山灰堆積物が由来の岩。柔らかいが崩れにくく加工がしやすいので、塀や蔵などに用いられる。秋保温泉磊々峡付近に分布し、秋保石材軌道(大正3年開業)によって運ばれ、地元の石材として大正期の建造物に多く用いられた。

「白河石・芦野石(溶結凝灰岩)」
約100万年前にカルデラ形成を伴った噴火によって生じたデイサイト質の溶結凝灰岩。栃木県北部から福島県南部に広く分布する。「溶結」とは、カルデラ噴火などで高温の火山灰が厚く堆積した時に軽石などが圧し潰されて硬くなったもので、この凝灰岩は硬く緻密だが加工しやすいという特徴がある。大正期から昭和初期に多く用いられた。

大正期から大きな建築物には鉄筋コンクリート造が用いられるようになり、石材は構造材としてよりも表面仕上げ材として貼り付けて用いられることが多くなっている。

「花崗岩類」
片平キャンパス内で見られる花崗岩は、「大橋」にも用いられている優白質の茨城県笠間市産の「稲田石」と思われる。また、岡山県岡山市産の「万成石(まんなりいし)」は、「伊達政宗騎馬像の台座」にも用いられている。これらは、鉄道網の発達によって大正期から多く利用されるようになった。近年は国産の花崗岩よりも中国、インド、北欧からの輸入岩が多くなっている。
 

大正期の工学部金属工学科の腰壁
 
凝灰岩(秋保石)が使われています
     

春には黒松並木と枝垂れ桜が美しい構内
 
正面は北門。左側奥が旧理学部化学教室
     

秋にはイチョウの黄葉が彩りを添える
 
     

明治期の旧第二高等学校書庫
 
現在は文化財収蔵庫になっています
     

赤レンガ壁が美しい
 

基壇部と壁の装飾帯、外部階段部には、火山岩(三滝玄武岩と推定)が使われています
 
 

石材の鑑定は、従来の文献による調査や肉眼による岩相の鑑定が主流でしたが、石材表面の風化や蘚苔類の付着によって正確な鑑定が困難な場合や、熟練した経験に左右される要素が多く、問題がありました。そこで最近では、「帯磁率計」を使った測定という科学的手法による鑑定が行われるようになってきているということです。
 

昭和初期の工学部の基壇部の花崗岩(万成石と推定)
 
帯磁率計を使って調べる蟹澤先生

南門を出ると、明治39年にこの地に設立された官立の仙台高等工業学校(SKK)の旧敷地になります。昭和26年に廃校になり、現在は東北大学の電気通信研究所の敷地になっています。
 

昭和初期のSKK建築学科の腰壁
 
凝灰岩(秋保石)が使われています

片平丁通りを挟んで向かい側の東北学院大学の「専門部校舎」や「ラーハウザー礼拝堂」の外壁にも、同じ秋保石が使われているということです。
 

SKK建築学科の玄関アーチ
 
大正期SKK旧正門(溶結凝灰岩)

腰壁、玄関周りには花崗岩、凝灰岩(秋保石)、人造石が用いられています。
 

明治期の旧第二高等学校正門
 
門の柱頭部には火山岩(三滝玄武岩と推定)が用いられている
     

門の正面に第二高等中学校がありました
 
記念碑は花崗岩(稲田石)で造られています
     

大正14年に造られた現在の大学正門
 
全体が花崗岩(稲田石と推定)で造られています
     

樹齢200年のイチョウの大木
 
『東北帝国大学理科大学創設の地』記念碑。理科 大学のレンガは長町にあった伊勢煉瓦工場で焼かれたもの。なお、記念碑には、当時の建物が空襲で焼き落ちた時のレンガが用いられているそうです
     

東北帝大付属図書館(現在の東北大学資料館)
 
玄関周り、外部階段は溶結凝灰岩
     

法文学部2号館。玄関周りは凝灰岩
 
旧北門。柱頭部は溶結凝灰岩
     

大正期の理学部の囲障(支柱は秋保石)
 
片平丁通りに面した石垣(三滝玄武岩)

最後に、旧理学部だった現在の金属材料研究所の敷地に入ります。

大正期の旧理学部生物学科(現放送大学)

 
 

基壇部には花崗岩が使われているのですが、現在は防水のための吹付塗装がされていて、建材を直接見ることは残念ながらできません。ただ、これは東北帝大初代営繕課長でもあった建築家中島泉次郎氏による建築物で、明治末から大正にかけて流行った「セセッション」風の、洋風建築の非常にモダンで凝ったデザイン性を、その外観から感じることはできます。

二時間のフィールドワークが終了。ここで現地解散となりました。
 
 

今回のサロン講座では、「建造物に用いられた石材」という視点から、片平キャンパスに現存している戦災や都市開発の波をくぐり抜けて来た建造物を通して、何が見えて来るのかを探ってみました。

建造物に使われる石材には、耐久性のある硬くて緻密な石や柔らかく加工しやすい石が、用途によって選ばれています。どんな種類の石で、どこの産地からどのようにして運ばれて来たのかを探っていくことによって、当時の流通経路や石材需要などがわかります。

仙台市内の歴史的建造物も、時代ごとに違った石材が用いて造られていて、それらの石材を調べることによって当時の様子が見えて来るといることを教えていただきました。

また、こうした石材の数々は、仙台周辺をはじめとした日本各地の火山活動や地殻形成という太古の歴史をも知ることができる貴重な手がかりになっているということです。

それだけに、すでに「登録有形文化財」として登録され保全されている建造物に限らず、人知れず埋もれたまま消滅していってしまうような歴史的建造物にも、目を向けて調査し、貴重な史料としての保存に向けた取り組みも大切であると感じました。

今回は、限られた短い時間での「キャンパス内歴史的建造物巡り」というフィールドワークを行いましたが、いかがだったでしょうか?

蟹澤先生と内山さん、参加者の皆さん、ありがとうございました。

*参考文献
「東北大学片平キャンパスにおける歴史的建造物の石材に関する研究」
東北大学総合学術博物館研究紀要 第19号, 2020 (内山隆弘・蟹澤聰史)「2020年たまきさんサロン講座「石は語る!〜歴史的建造物をつくった石材を探る〜」(内山隆弘・蟹澤聰史)

*火山岩の石材の呼称については、建築分野においては「安山岩」という言葉が一般的に用いられる場合が多いが、文中ではより細かく分類するために地質学的命名法による呼称を使用している。

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