石田先生の出前授業「すごい自然の探検隊」に参加しました

今日は「ご無沙汰してま〜っす」東北大学の石田先生が、若林小学校で環境出前講座を開催するというので、取材にやってきました。
どうやら先生は、栄えある「生物多様性日本アワード」を受賞されたようで、益々お忙しい様子。テレビの取材も入っているというのに、今日も超速でやってきて、超速で講座の準備をされていました。


そして講座の様子です。。。今日の環境出前講座は若林小学校6年生の「総合的学習の時間」に実施されます。ココでも児童は市内全体のながれと同じく徐々に減ってきているようで、6年生の2クラスの合同で開催となりました。
〜ではでは取材の始まりです。今日はまた期待大です。


こんにちは!東北大学大学院 環境科学研究科の石田秀輝です。
さっそく講座ですが、写真は宇宙から見た地球です。我々の住む地球は70%が海で、残りが陸地です。これが私たちの地球の姿です。
そこで、あなたたちにとって地球の問題とは何が思いつきますか?

生徒の返答ですが。。。「温暖化かな」「温暖化。。。ですか?」


そうですね。温暖化は大きな問題です。
では、私たちの地球について、もっと根っこのお話しをしましょう。
そこで、僕たち科学者ですが、僕たちは科学者は、水さえ作り出すことができません。
例えば、水を一滴作るなら、水素と酸素で爆発させることで可能です。だけれど、地球にあるような膨大な水は作り出すことができません。
それなのに、自然は海を温めて水蒸気を発生させ、雲にして陸地に運んで山や林にぶつけ、水を作り出します。そして水は地面にしみ込み、いつか地表に出てきます。今飲んでいる水は、ひょっとすると何百万年も前に降った雨の可能性もあります。
自然というのはこのように循環しているのです。たとえばこの循環を断ち切ってしまうとどうなるでしょう?
たとえば近年の温暖化減少のように水蒸気が大量に発生するようになると、台風がドンドン強力になったりします。
生き物でいうと、世の中の蜂が全ていなくなってしまうと、食料の26%は無くなってしまうのです。
このように、僕らを取り巻く事象は、あらゆるものは繋がっているのです。


では、ここに家のイラストがあります。
エネルギーはどこに使われているでしょう?

「テレビ」「エアコン」「冷蔵庫」

そうですね。家庭にあるものは、多くが電気で動きますね。モーターは電気で動くのです。
では、逆にモーターを僕らが廻すと。。。。電気が生まれるんですね。これをタービンと言います。


そこで電気はどんな方法で作られているかを考えてみますと、「風力」「水力」「火力」などがありますが、9割は火力で石油を燃やして、蒸気の力でタービンを廻すことで作られています。だけど、石油を燃やすと二酸化炭素が出来ます。二酸化炭素が増えると地球が温暖化をする。私たちは自分達が楽をするために石油をどんどん使っているのですね。

では、電気が無かったら、クーラーの代わりにどのようにして涼みますか?答えてみましょう。


うちわ?あんまり勢いつけてあおぐと、かえって暑くなっちゃいます。
窓をあけて、風を通す?それは良い考えですね。


自然の中では、そのような暑い環境を上手にコントロールしている生き物がいます。サバンナに大きな巣を作っているシロアリです。
シロアリは、砂漠などに巨大な巣を土で作ります。その高さは7メートルもあります。
そして、その巣の外の環境はというと、日中の気温は50度を越え〜だけど夜には0度まで下がります。(たまきさん注/ここで子供たちからワァ〜って大きな声があがりました)
だのに内部の温度は30度プラスマイナス1度の範囲で保たれています。不思議でしょう?


これはシロアリの巣の断面ですが、内部に煙突のような構造があって、暑い空気を上手に逃がしているんです。


これと同じような構造は、もうすでに建物で活かされていて、アフリカのジンバブエのショッピングセンターは、建物の中に煙突のような通路があり、自然に空気が流れるので涼しく、これまでの10%のエネルギーで快適に過ごせています。


そしてシロアリの巣には、もうひとつの仕組みがあります。秘密は土です。
皆さんはどの程度の環境が快適ですか?人は湿度40〜70%ぐらいを快適と感じます。そしてシロアリの巣の土壁には、目に見えないような小さな穴が沢山開いていて、湿度にあわせて、この穴に水を取り込んだり、出したりしています。


この小さな穴の大きさは、十億分の数メートルというサイズで、湿度を調節してくれます。
このシロアリの巣の土壁と同じような構造を持つ家用のタイルがあれば、部屋の中も快適ですよね。


今日は、実用化されているタイルを実際に持ってきました。この霧吹きで水をかけてみましょう。
シュ〜。シュ〜。触ってみて。どうでしょう?
児童「濡れてない。」
そうなんです。このように自然の中にある知識というのはとても豊かなのですが、他にも沢山あるのです。


では、これから皆さんにクイズです。
スライドには「蛾」「フクロウ」「クマ」「イルカ」「ハコフグ」「ヤモリ」が映っていますが、この中でとても強力な「スーパー接着剤」のヒントとなった生き物がいます。それはどれでしょう?
「ヤモリ〜!」
みんな〜ずいぶんテレビとかで予習が出来ているなぁ〜。


ヤモリの足には、一本につき50万本の毛が生えており、その毛がさらにそれぞれ数百本に別れているので、足の裏には何億もの毛が生えています。この毛が物とのスキマをキレイに埋めてしまうので、足と壁の間には「分子間力(ファンデルワールス力)」というものが働きます。なのでヤモリは壁やガラスだけではなく、天井まで歩けてしまうのです。
たまきさん注/分子と分子は、近い距離だと、引き合うのです。でも、その引き合う距離は磁力など他の力より、うんと近くでないと働かない。なので、毛がそのスキマを埋めるんです。


では、このヤモリの足の構造を使って何ができるか?考えてみましょう。
今はカーボンナノチューブなどで似た構造のものを作っていますが、はがき一枚分で200kgものくっつける力があります。なので、多用途に使われることへの期待ができます。といっても作るのはまだ高価なので。。。手術なんかだと、切った皮膚を、これでピタって貼ることができますね。
他に僕が期待しているのは、これ!手袋を作ってスパイダーマン!
天井の構造が頑丈じゃないと出来ませんが、体重70キロぐらいなら、ぶら下げられるでしょう。


続いて植物を見てみましょう。
植物は自分では動けないので、子供を残すために様々な工夫をしています。
たとえばドングリ。ドングリはリスやネズミに運ばれて、食料として貯えられるために埋められます。ところが、リスやネズミは貯えたドングリの一定の量は忘れてしまって、そのまま発芽します。こうやって遠くまで子供を残すことが出来るのです。


でも、他には自分から積極的に飛行機みたいな構造をもって、タネを遠くに飛ばすものがあります。
このフタバガキのたねはどうでしょう?


模型がありますので、高いところから落としてみると。。。こうやってヘリコプターみたいにとんでいきます。(“ガ”の字の上の方にあります)
だけど、風が吹かない熱帯はどうなっているのでしょう?
アルソミトラのタネはグライダーのような形をしていて、ゆっくりと10キロも移動することがあります。
僕らはあたりまえのように思っていることでも、自然は実現しているんですね。


こちらは松ぼっくりです。
松ぼっくりは、これ一個でタネではありません。では種子はどこにあるのでしょう?
松ぼっくりのタネは、この傘の中の方にあって、この小さな傘は周囲の湿度によって開閉します。湿度の高い時は開いて、タネを外に出すのですね。これと同じ構造の布も、すでに実現しています。


さぁ、この蝶の色は何色でしょう?
「青!」
青に見えますが、この蝶の羽根には色がついていません。これは蝶の羽根の構造が、青い光だけはね返して、他の色は構造の中から出てこられないから青く見えるのです。こういうのを構造色と言います。


これは何に使えるかというと。。。
この鏡はステンレスで出来ていますが、フチに色がついていますね。この色はやはり構造から色が出来ています。
これが、従来通りに素材に染料を使っていると、リサイクルする時に色素が邪魔をしてしまいます。ところが蝶のような構造色だと、素材ごとリサイクルできるのです。


続いて不思議な布の紹介です。この布は、何の生き物と構造が一緒でしょう?
これはハスの葉と同じ構造で出来ています。ハスは泥の中から生えてくるのに、雨が降るだけで簡単に汚れが落ちますね。これを見て、不思議だな〜と思って顕微鏡で見ましたら、細かい突起があることがわかりました。この突起が汚れを付きにくくしているのです。
ですので、同じ仕組みの布を作って傘にすると、雨を弾く素晴らしい傘が出来るのです。


実際に水を載せてみましょう。揺らすとコロコロの玉になるでしょう。



では、ここでまたクイズです。表の上下に生き物の特徴と、顕微鏡の写真。下にどんなことが出来るかが書いてあります。
お互いを線で結んでください。そして、その生き物の特徴から、「私だったらこんなものを作る」と、閃いたものを書いてください。


ここで、思案の時間です。何がどのように使えるのかなぁ〜。


考える。考える。


はい。先生に特別に許可を頂きまして、みんなが解いている問題と同じものを掲載しました。みんなで考えてみてね。


ではこれからが解答です。
この写真は何でしょう?これは。。。。去年初めて解った事実で、たぶん小学生でこれを見るのは、みんなが初めてかなぁ?
トンボの羽根がナゼ空を飛べるかです。
トンボの羽根は、表面がギザギザになっていて、羽根のそばに小さな渦が沢山できてますね。この小さな渦は、羽根から空気を剝がすのに役立っています。
何故かというと、トンボはとても小さいので、空気は相対的にとても粘っこくなります。トンボにとっては、周囲の空気は我々の300倍も。。。水のように粘っこいのです。
この粘っこい空気も、小さな渦のお陰で剥がれやすくなり、難なく空を飛べるのです。


これは何に応用できるかというと、風力発電なんです。
風力発電は、今の技術だと秒速1.5メートルぐらいの風が吹かないと、翼は回転しません。ところが、トンボの羽根の構造を応用すると、秒速20センチほどの弱い風でも回転するのではと期待されています。すごいでしょう?生き物の力は。


続いて蜂の巣の構造です。この6角形という形は、最小の素材で、最大の頑丈さを生むことができます。


蜂は自然にこの6角形が並んだ形を創ることができます。部屋の中の面積も無駄がなく、他の形より大きいんです。
こういう構造をハニカム構造と呼びます。


このハニカム構造の前後に板を貼付けると、大変に軽くて頑丈な板が出来ます。例えばアルミで作るとレーシングカー。段ボールで作ると、イスや机の中味なんかもそうです。蜂は自然と頑丈で効率の良い形を作ることを知っているのです。


さらに、カタツムリの殻はどうでしょう?
カタツムリも汚れが付かないですね。これも顕微鏡で見ると、小さな皺が沢山ついています。そして、同じ構造を今ではビルの外壁に応用しています。
最近開発の進んだ東京の汐留のビルを見てみると、壁面の清掃用のゴンドラが付いていないことに気がつきます。雨のちからで自然に汚れが落ちるんですね。


続いて蚊の針です。針と便宜的に呼んでますが、本当はこれは、蚊の顎で、しかも一本の針ではなく、6本の口が集まったものなんです。
この中の、とても小さな顕微鏡でしか見えないような小さなギザギザの付いた刃が二つあって、これを交互に動かすことで、人の皮膚を切り裂くようにして刺すのです。

人の皮膚には、痛みを感じる点が並んでまして、例えば注射針などは、この痛い点「痛点」に触れてしまうから、刺した時に痛く感じるのです。
ところが、蚊の口は、この小さなギザギザの刃を交互に動かすことで皮膚を切るので、痛点を刺激しないんです。なので痛みを感じないんです。

これは何に使うか。。。解りましたね。痛くない注射です。


このようにして、自然には多くの役に立つ技術であふれています。
私たちは、この自然を学んで、目を見開いてしっかり観察し、見つけることで暮らしが便利になったり豊かになったりします。
そんなワクワクドキドキした暮らしを夢見てみようではありませんか!


では、先ほどの生き物の技術で、私ならこうするというアイデアと感想を教えてください。

「今日は、トンボの羽根の秘密を小学生として初めて知ることができたり、タネを飛ばす実験を見れたりと、大変に楽しかったです。
私なら、アメンボの足の技術で、水の上を歩く靴を作りたいです。」


そうですか!皆さんも興味を持ったら沢山勉強して、生き物のことをいっぱい知ってください。


やぁ〜長々とレポートを書いてしまいました。先生の講義は本で読むよりも、実際にこうしてお話しに触れると楽しさがふくれあがってきます。
先生はとても忙しい方ですが、こうして定期的に講座を開催してくださいます。また、チャンスを見つけてお話しが聞けるといいですね!
ではまた!!

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