これは今、何よりも読むべきかも!高野秀行著「謎の独立国家ソマリランド」

20131024謎の独立国家ソマリランド
さてさて。時々思い出したように書評を掲載してますが、まぁ〜僕の読む本は思いつきと雑多な発見で構成されてまして、守備範囲が無秩序に広い。その中では、かなりのメッケモノの著者が高野秀行さんでして、サハラ砂漠マラソンを「温泉饅頭だ」と銘打った透察力!「世にも奇妙なマラソン大会」を偶然目にしてからですね。お名前を刻んでおいたのは。

その高野秀行さんの最新刊が出たということで、何も考えずに図書館にリクエストしたのが梅雨の頃。まぁ〜そのうち読めるだろうと思っていたけど、ようやく読めるのかぁ〜と手に取ったらビックリ!500ページもあるではないか。

そして基本的に本の善し悪しを「早く読めた」とか「夢中になった」で、基準にしたくはない僕ですが、さすがにこの本には驚き、夢中になり、序盤は大笑いをさせてもらった!

まずはソマリランド。これってソマリアのとではないの?
いやいや。国連からは認められてはいないけど、かつてソマリアと呼ばれていた国は内部分裂を繰り返し、一般市民への大虐殺が起こり、そして、北半分は氏族の長老の会議のもと、平和裏に武装放棄して独立していた!それがソマリランド。
自分達は国の体裁を作っているが、アフリカでの独立は国連にとっても大変なリスクであるために、いつまでも認められる見通しが無い。ここよりいい加減な「国家」は世界中にゴロゴロあるのだが。

著者は出来るだけ人の入らない辺境を、実際に旅をし、そして思ったことをレポートすることをモットーとしているのだが。ソマリランドは今では誰も知らない奇蹟の平和な国家。まるで地上に突如あらわれたラピュタのようだ。。。もちろん宮崎駿。
だけど、その少し南にある南部ソマリアは、武力がモノを言う、未確認なものは“とりあえず”狙撃するという、リアル北斗の拳の世界。この対比でいきなりぶっ飛んでしまった。
まぁ〜ここからは著者が平和国家ソマリランド、海賊国家プントランドに戦国南部ソマリアを旅しますので、興味のある方は、読んで下さい。

印象的だったのは、ソマリランドが素晴らしいほどの民主化を遂げ、議会は氏族によって監視され、全ての法案は氏族の長が集まった会議で否決されれば、議会に戻される。議会の構成は基本的に人口比で決められている(アレ日本!?)だけど氏族は行政には一切口出しせず。コレってどこかで見たことある構図だなぁ〜って思ったら、スターウォーズの新作の方に出てきた評議会だよ。
で、素晴らしき民主主義「ハイパー民主主義」を実現したソマリランドのメディアの制作部にいる本編の登場人物が、著者と交わした論争。日本の議会制度について。

「それは無意味がないな」
「両方政治家がやっているじゃないか。もし与党が両方の議会で多数派なら、自動的に法案は可決されてしまう。もし上の議会(参院)で与党が少数派なら法案は通らない。もし下の議会(衆院)で多数派が三分の二以上なら上の議会はいらない。どっちにしても意味がない」—–本文より

さぁ〜日本流の安定にのど元までどっぷり浸かって、最近では窒息しても目が覚めない僕たちは言い返す言葉が見つかるのだろうか?

表紙は札束を抱える男たち。トンデモナイインフレで1ドルが現地通貨で7000シリング。でも紙幣を印刷する技術が無いのでイギリスで刷って持ってきている。でも最高紙幣が500シリングまでしかないから、こんな状態。
でも幸せの基準はどこにあるんだろうね?

高野秀行著/謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア

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