ちょっと街外れの、その向こうまで。

今回のブログは「旅」です。
旅にも上質と挑戦的なものの二種類があり、年を重ねるにしたがい「綺麗なベッドが無ければイヤ」とか、「オプションに○○は付けなければ」などと制約が多くなる。でも、旅の基本はどこにあるのだろう?使い古されたセリフでは「未知への旅は自分探し」などとしがちだが、ま、結局のところ人間は知的探究心の固まりのような生き物であり、隣りの隣りは一体どうなっているのだろう?と、覗きに行きたくなる生き物なのである。
ということで本日紹介するのは、8月の末の一週間ばかりの旅。全ては原点に戻って、とりあえず自分の足で出かけよう。


一番下のチビは長距離は乗れないので、今回はトレーラーに乗車。娘は自走です。お兄ちゃんと奥さんは留守番で、3人で出発。
トレーラーに荷物満載。


まずは家を出て、コギコギコギコギ東に向かいます。
仙台市の東側にあるものといえば〜仙台港です。
すると。。。船だぁ〜!


仙台市は住人にはあまり実感が無いけど、旅には恵まれた土地なんですよ〜。
道路っぱたで、自転車を分解です。分解して手荷物として船に持ち込むんですね。



仙台港からは北は北海道苫小牧、南は中部名古屋まで船が出ているのですよ〜。知ってました?
そして車を積まなければ格安で旅が出来るんですよ。
こちら太平洋フェリーの3隻ある船の中で一番古い「きたかみ」です。

仙台港を夕方に出航、北へ北へと向かいます。
今どきの豪華客船は船の中に温泉センターのような内風呂と、立派なレストランがついてまして、移動中は気持良くくつろげます。
フェリーって揺れるんじゃないかって?
コレぐらいの規模のフェリーだとスタビライザーもついているので大きくは揺れませんね。だいたい外洋は波の周期が大きいので、余程の低気圧でもない限り酔うほど揺れません。


一晩のんびり寝て、のんびり朝風呂入って、のんびり朝食をとっていると。。。。苫小牧港が見えてきました!


やぁ〜。あっという間に苫小牧港に到着です。
ここまで飛行機で来ればすぐなんでしょうけど、値段も高いし、機材も持ち込めない。
クルマで走ってきたらトンデモナく疲れる。(さらにエコでない。)
その点フェリーは夜中航行しているから無駄が無い。良い乗り物ですよね。


苫小牧は快晴だ!
心なしか少し涼しい。さぁ。さらに北へ向かうぞ〜。


苫小牧駅から電車で北へ。
自転車は輪行バックに収納すると、電車へは無料で載せることができるんです。(10年ぐらい前までは手荷物料が徴収されてました。今はタダ。)
苫小牧から室蘭本線で岩見沢まで。旅は途中でけっこうスケジュール変更が起きがちだからケータイをパソコンに繋いで電車の時間や経由地の情報を集めたりしてました。そしてあまった時間は。。。「タイラー・ハミルトン著/シークレットレース」文庫本読んでました。平和だなぁ〜。


岩見沢で函館本線に乗り換えて北東方面へ。
なんで情報に神経質になっていたかと言えば、この函館本線なんです。
旅の数日前に、この函館本線の札幌よりもっと西側が、ゲリラ豪雨のせいで線路が崩壊してしまい、復旧の目処さえ立っていなかったんです。
でも地方公共交通が一カ所の寸断だけで動かない訳が無いので、こちらはハイテクを屈指して運航情報を収集していたのです。
そしてやってきました!旭川駅です。
まぁ〜それでも遠かったかな。家を出て、24時間でここまで来ました。


本日の宿泊は、旭川の郊外にあるカムイの杜公園キャンプ場
ここの凄いところは、広大な敷地に遊具が山のようにあり、炊事場なども整備されているのに“無料”なんです。


北海道がアウトドア天国と呼ばれるのは、このように無料や格安で泊まれるキャンプ場が方々にあるからなんです。
子供たちは朝起きて、テントから飛び出し姿を消す。そして1時間後には汗ぐっしょりになって朝食に戻ってきました。なんと健康的。
そして旭川近郊にキャンプをした理由は、もうひとつありまして。。。。


空飛ぶペンギン〜旭山動物園だ!
10年ぶりぐらいにやってきましたけど、ますます見所が増えた気がしますね〜。
今日は北海道の夏休みの最終日らしく、親子連れの多いこと多いこと。


これ。。。虎のシッポです。
この先に繋がっている胴体は見えませんでした。


クマは猛暑の中、水に飛び込んでご機嫌です。プールを揺らして遊びに夢中です。


雪豹です。
「この場所が気に入っているので、下から突かないでください。」と、ごくまっとうな説明が書いてある。


チンパンジーの赤ちゃんのお昼寝です。


コレ凄いよ〜。
クモザルが、長い手足を使って、ポンポンと棒を渡ってくるんだよ。


ってことで、旅は長いので動物園はこの辺でオシマイ。
今日のキャンプ地に向かおうとしたら大雨だよ。
前後2キロメートルに何もない場所なのに、ここだけ屋根付のバス停があってセーフ。


そして本日のキャンプ場。キトウシ公園家族旅行村キャンプ場です。
ここの管理人さんは仙台市出身だとかで、いきなりジュースもらっちゃいました。
朝には雨もやんで。出発前の朝食です。向かうは南の。。。


美瑛町!


丘の連なる美瑛町。パッチーワークの丘です。


美瑛町に来たのは、プチ前田真三きどりに写真を撮るためではなく、もうチョイ別の目的がありました。


それは。あの山に登るためなんです。
大雪山系上ホロカメットク山
両隣に日本百名山十勝岳、美瑛山と花の百名山富良野岳があるのに、何故かこの山だけ上ホロカメットク山。
この山に登るには、登山基地であるキャンプ場まで700メートル近く登らなきゃいけないんだよなぁ〜。


正直なところ、望みは半々でしたね。
30キロ近いトレーラーを引っぱって、さらに登り坂では子供の自転車も牽引しつつ、さらに28キロ近いヒルクライムですよ。


う〜ん長い。白金温泉まではペースをあげて目の前にそびえる山々への距離を詰めました。
でも。。。最後の7キロは国立公園内の、観光道路なのでこう配もキツイキツイ。


天候の不安もあったんですよね。
昨晩から日中にかけて、小さな低気圧がオホーツクを通過中でした。
「雨よ降るな。雨よ降るな。」高所にかかる雲も、微妙な様相を示しています。祈りながらのヒルクライムです。


そして到着、吹上げ温泉白銀荘キャンプ場。
午後3時には到着って、いつにない早さだなぁ。
その理由はこちらになります。


かつて北海道をフラフラとオートバイで旅をしていた若者のあいだでは、知らない人がいない最果ての名湯「吹上の湯」です。
ところがそののち、ドラマ北の国からで度々ここがロケに使われ超有名になり、ついでに大規模改修もされて、いまでは立派な公共浴場みたいになっている。
田中邦衛と宮沢りえも入ったよ〜。ま、どうでもいいか。
疲れた体に心地のよい湯でした。


はい。朝です。
十勝岳は活火山なので山体からところどころ蒸気も昇っていますね。


早朝5時だというのに、もう登り始めている人がいます。
何故ならこの大雪山系は、標高こそ2000メートルチョイですが緯度の高い地域にあるので寒さがハンパでない。関東の山に比べると標高プラス1000メートルの装備が必要になるので、夏場でも重装備の防寒着が必要です。
なので、上昇気流で天候が悪化しがちな午後を避けて、朝早くから山に入る訳ですね。


僕らは吹上げ温泉から登山口の十勝岳温泉に移動して山登り開始。


谷沿いには今でも噴煙を上げる火口が。
土石流に備えて、センサーとカメラがありましたよ。


さて。尾根に出るまで登ります。登ります。
北海道の山のひとつの特徴は、谷間が広くて景色が大きいということ。
尾根までのアプローチでも、長いところでは8時間ぐらいかかっちゃいます。
でも僕らは片道3時間ぐらいのコースだから、えっちらおっちら。


しかし綺麗だなぁ〜。
雲の流れが速いのが一番気になるけど。。。


そして思いのほかアッサリと、上ホロカメットク山の山頂です。1920メートルでした。
写真では雲の中のようだけど、時々、雲間から絶景を楽しめました。


さて、下るか。
メジャーな登山ルートなので、道もちゃんと整備されてます。


あそこら辺に登った訳ね。
今回の旅のひとつの目的。登山も無事に終わって満足満足。


ここいらから、ちょっとマキで〜。大雪山から一気に下界へと降りてきて、中富良野の星が見える丘牧場に来ました。
テントを張った時には、もう日が沈む直前。
毎日全力で遊んでいるなぁ。


明け方。雲海の上に山々が見えます。
天候は安定しているようだけど、油断が出来ませんね。


ここの牧場の楽しいところは、動物たちが放し飼いにされているところなんです。
ウサギでしょ。


羊もいるよ。
っで、この牧場の名物のもうひとつは、ミシュランガイドにも載ったジンギスカンでして。。。。オレは喰わないって。


だいたいこんな具合にキャンプしていると
「!」


「ねぇねぇ。羊喰うの。僕ら食べるつもり?」


「なら自転車喰ってやる。」
って訳ではありません。とにかく動物との距離は0メートルです。


なんでこうも的確なキャンプ情報があるかというと、この本です。
北海道キャンピングガイド
2005年の旅で偶然にこの本を入手し、まぁ〜情報の確かさもありますし、編集者が似たような旅をしているからちょうど良いんでしょうね。今では北海道に行く時の必携の本です。

出発前のひとコマです。
ここのヘルパーさんは、関西の大学の自転車部の人が多いそうで、このあと遊びにきて自転車談義で盛り上がりました。


さぁ〜走るよ。
こんな感じで走っていたんですよ。


天気がいいね〜。
あの山のてっぺんに行ってきたんだよね。


この日は80キロ近く走って滝川の近くまで来ました。
写真は明け方。晴れ渡る青空。気持いい〜。
空には雲ひとつないなぁ〜。


なんて思いながら、下界の景色を眺めていました。(ちなみにキャンプ場はここ。エルム公園キャンプ場です。)
キャンプって、朝が一番気持がいいんですよね。
この何とも言えない緊張と緊張の合間ののんびりした弛んだ時間。
日々の忙しさも、この瞬間だけは忘れて。。。そうだ。トランジスタラジオを持ってきてたんだ。。。コーヒー飲みながら点けてみようかな。
「パキーッガガガ。朝の気象情報の時間です。」
お!ちょうどいいタイミング。
「本日の北海道は全域で気象が不安定で、積丹半島では一時間で40ミリの経験の無い豪雨が観測されており、雨雲は急速に発達しながら東に向かって〜」
オレ達のいるところだ〜!!!!



それからの1時間を何と言い表していいのでしょうかね。
僕は呑気にコーヒー飲みながら予備バッテリーを出してMacの充電までしていたのです。すると西の方角から明らかに雷様が中でどんちゃん騒ぎをしているような賑やかな真っ黒な雲がドンドンと向かってきまして、洗い物なんかどうでもいい、全ての装備を15分でパッキングしまして緊急出発。滝川の駅までは15キロの距離なので、全力疾走を始めた訳です。



すると雷様を載せた雨雲はみるみる一面に展開してきて、あたり一面そこら中で雷が鳴り始めた。
「ドッカンドッカン。バリバリドッカン!」
全力疾走の体に水滴を感じたかと思うと、一気に空の底が抜けたのではと思うほどの土砂降りが始まった。
ヤバい!!!っと思った目の前に高速道路の高架橋があらわれたんですよね〜。
ほぼ濡れずに逃げ込むことに成功。


高架橋の下には、同じように雨宿り中の工事のおじさん。
「こんな雨、見たことないね〜。」
「ああ。今日は仕事にならん。作業員もみんな帰したとこだ〜。」
「今年の気候は、少し変だよね。こんなに激しい雨は、今まで見たことが無い。」


土砂降りに雷。
同時に視界の中で3本の落雷を見た時は、生きた心地がしませんでした。昨日のうちに距離を伸ばしておいて良かった〜。午後の電車に乗れないと、仙台に帰り着けないスケジュールだったので、ギリギリまで詰めていたのが功を奏しました。


そして、僕らを救ったトランジスタラジオ
こういう旅の時は、ローテクが一番安全なんだよなぁ〜って、情報収集用に持ってきたのでした。


雨がやみまして、すっかり煩悩も汚れも洗い流された道を、のこり2キロ。滝川駅へ向かいます。


滝川駅前では、神社の祭典が開催されていました。
お腹が空いた。。。何か?食べるものは。


北海道って美味しいものが多いんだよなぁ〜。
ツブガイですね。でもコレ昼飯は、ちょっと違うか。


さてさて、また輪行です。
滝川から苫小牧まで。長い旅も、とうとう終盤ですね。


電車の中では疲れて眠りこけている人いっぱい。
輪行の旅人もいっぱい見かけたよ。


ところが旅の神さまは、最後のさいごまで波乱含みにしてくれました。
苫小牧まであと一駅。沼ノ端駅を通過すると、列車の窓に叩き付けるような強烈な豪雨が。。。
おいおい。大丈夫かよ?



大丈夫どころの騒ぎではない。
このとき苫小牧地方をゲリラ豪雨が襲っていまして、激しい雷雨が1時間も続いたあと。。。。今まで見たことのないような物凄い雨が降りました。そして、街路が沈んでしまったので、僕らは街中を縫うように冠水していない道を選んで港へ。。。街中にサイレンの音が響いてました。


そして。。。後で知ったのだけれど、旭川で僕らを見かけた大学生のグループは、富良野経由で日高〜夕張と通り苫小牧に戻ったのだけれど、連日の豪雨だったそうです。
それも濡れネズミになりながらのサイクリングで悲惨以外の何ものでもなかったそうで。。。。僕は雨雲チェックして南行きをそうそうに断念してました。


遠くに。。。船だ〜!



そしていっつも、船に乗る度に思い出すのは未来少年コナン。
沈みゆくインダストリアから、海底から引き揚げた船に避難民を乗せて、船は一路、ハイハーバーへ向かうんです。
あのシーンは好きだったなぁ〜。だから今も船が好きなのかな。
ついでに宮崎監督ご苦労様でした。

波乱続きの旅も、船が岸壁を離れるとひと安心です。
コレで家に帰れる〜。帰還の途についたというやつですね。あとは自動的に仙台に運ばれて行く。船の中でのんびり。

だったら旅に出るなって?
いやいや、コレ全部含めて旅なんですよ。

僕らは知らない世界を覗いてみようと思い立ち、先々の小さなことも興味にまかせて調べていく。
そして描いた計画というか細い線を、実際に巡ることが可能かどうかたどってゆく。始めの一日二日はおっかなびっくりで。。。その後は経験に則って、大胆に進んでいく。
これは、期間は短いけど小さな人生そのものだと思います。始めから行く先の解っている船になんか乗るもんか。


そして巡った長い旅路も、最後の数キロとなりました。
いつもの梅田川も、やけに新鮮だ。
そしていつも旅から帰ると思うことがある。仙台って、いいところだよなぁ〜。

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