みやぎ生協の学習会「くらしの中のエネルギーを考えよう」を取材したよ。


なんと清々しい天気だろう!
仙台は梅雨でもさほど長雨が続くわけでなし。暑すぎず寒すぎずで、僕は15年ほどしか住んでないけど、なんて過ごしやすい街なんだろうなぁ〜って思ってました。これって温暖化もあるのかな?
ってことで、快晴の本日の取材先。キラキラに輝くAERにやってきました。



さぁ!何の講座でしょう。
今日は、みやぎ生協さんの主催の「くらしの中のエネルギーを考えよう」持続可能なエネルギー社会(自律・分散型エネルギー社会)をつくろう
東北大学 大学院 工学研究科教授の中田俊彦先生の講座を中心に、僕の感想も交えつつ講座の内容をお伝えします。

はい。中田先生の登場です。
なんとも気さくで、話題の合間あいまに小さな例えが「スルスルスル〜」って入ってくる、お話しの上手な先生です。
今日の講座は学生さん向けよりはよっぽど難しいそうで。短い間に細かい事柄を順を追って説明しなければならない。
「ウソを言えばすぐバレる。本当のことは次第に伝わってくる」
これからの日本は、どんな方向に向かうのか?
これは“まとめ”のときに出てくることなんですが、次の百年に進めること。が講座の主題となってきます。

ここから第一部の「地域のエネルギーを知ろう」の始まりです。
では。今の日本のエネルギー使用状況を見てみましょう。
これはちょっと古いデータだけど2009年のデータです。日本の一次エネルギー供給量20,482PJです。
はぁ?ってなってしまいます。まずは単位がPJペタジュール。ペタは10の15乗で、ジュールは熱量の単位で、これは書いてると長いから、ここを読んで!

ってことで、トンデモナイ熱量(表の中の一番左の円)が使われているということなのですが、それを日本中から宮城県に視点を移すと、左から2番目の円。全体の1.5%ぐらいが宮城県のエネルギー量。だけど。。。宮城県は中心部に巨大な政令指定都市の仙台を含んでいて、じゃぁ仙台市は、全体の0.5%ほどでした。


じゃ。日本のエネルギーってどうなの?って思われるかもしれないけど、本当はエネルギー消費の模式図の大半は、この小さな点々である地方が集まって巨大な円になっているんです。
そして肝心なのは、エネルギーは地域によってとても差がある。そしてエネルギーの観点からいうと、地方は様々なエネルギーの可能性がたくさんあるのだが、東京のような大都市は人口が密集しているので地元でエネルギーをつくり出す可能性が無い。そして、可能性の無い東京でエネルギー政策を考えるから、必然的に日本全体で巨大エネルギープラントの再稼働が必要だ!との結論になっちゃうんです。
本当は、地方には地方にあったエネルギーがあるはずなので、地方、特に東北は暖房が各家庭に完備されていない割には、寒さはそれなりにある。ある意味世界で家の中が一番寒い場所とも言えるので、この東北に合ったエネルギー利用の声をあげなくてはいけないんですね。


では、実際に日本のエネルギーフローはどうなっているか?を説明します。これは2010年のエネルギーフロー。震災前なので今とは大きく違います。
エネルギーは天然ガスや原油石炭などの資源の他に、原発からも多くがやってきています。ところが、そのエネルギーはそのまま全部使われているかというと、正味で利用されているのは6.7×10の18乗ぐらい。のこりの12.3×10の18乗は利用されずに捨てています。って説明しても良くわからないので、噛み砕いて言うと、エネルギーを利用しようとした時に、実際に役に立つのは3分の1ぐらいで、残りの3分の2は廃熱などでムダになっているってことです。。。


そしてさらに、こちらが東日本大震災後の2011年のデータで、原発はほとんど止まってしまって、正味エネルギー利用はやはり3分の1強。なんで強かというと、原子力利用はウランからの変換の効率が僕らが思っているほどは良くないので、停止した分だけ若干改善しているのだそうです。
そして、何の因果か解らないけど、何故か緑色になっている矢印は、石油の利用です。これは大半を輸入に頼っているのですが、半数近くは「輸送」に使われ、エネルギー効率から言うと、10%に満たない分がエネルギー利用。最近のハイブリット車では、少しは改善しているけど、エネルギーの大半は熱として消えているのです。
考えてみれば理不尽な話ですよね。
体重70キロの人が、1500キロの乗り物を動かしてやってきて、しかもAERの高い駐車場に入れているのです。
言い換えると、私(先生)が、象二頭を連れて、環境講座にやってきているということです。
皆さんも身に憶えあるでしょう?

「・・・・・・。」

僕(たまき)?僕は60キロの人間が、7.5キロの自転車に乗ってきて、一日50円の駐輪場に停めたよ。
ただ自転車がカーボンでできてるから、普通の自転車よりは造るとき電気を使ってるけど。


では、時間軸でエネルギーを考えてみましょう。
江戸時代。薪や油がエネルギーの主役です。それが明治になって、石炭が主役に置き換わった。この時に起きたのが、エネルギーの地方での利用から、産地から持ってくるという大規模集約型への移行です。そしてさらにこれが、石炭から石油へと置き換わった。この集約型のエネルギー利用は、産業界が発達した東京などの大都市にこそ必要でした。
では、その同じ内容が、地方にも当てはまったのでしょうか?東京に必要だった集約型のエネルギーも大切だが、地方には地方のエネルギー利用の形があっていいはず。先生の答えは。。。
「どちらも大切だが、選べることが必要なのです。」


それでは、エネルギーが何から造られているか(供給)を見ると、半数近くが石油から作られています。
そしてエネルギーの形態を考えると
「電力」「輸送」「熱」
の3つに分けられますが、実際に使われている区分を見ると、熱に変わっている分が多い。だけど、これは日本全体での話で、とくにココ、東北地方では冬の暖房用のエネルギーがとても多いのです。ということは、やはり地域には地域に合わせたエネルギーの形が必要だということです。
特に、今までは「東京に似せる」「繋げる」といった、量を増やす選択肢が選ばれてきました。だけどこれからは「減少しながら、幸せな価値観をつくり出す。」ことに注目してはいいのでは?とのことです。

う〜む。先生のところではお子さんがどんどんと育って家を出て行っているので、少ない中に暮らしの楽しみを発見しているということで。。。僕は全ての災厄の中心地、東京23区の出身だから。。。あそこも住んでた人にとっては、田舎町だったんだけどなぁ〜。いつからだろう?人がやたらと増えてしまったのは。


さてさて。お話しは第二部の「再生可能エネルギーの今は」へと移ります。
世界のエネルギー供給構成を見てみますと、やはり石炭、天然ガスに石油と地下由来のエネルギーが多くを占めていますが、ここ10年で再生可能エネルギーがどんどん増えています。でも、冷静にその中を見てみるとバイオマスが大きな割合を占めていますね。このバイオマスは、6割が調理・暖房用の薪となります。これは、江戸時代と一緒。煮炊きに使う薪ですね。
そして、その他のバイオマス利用ではアルコールを自動車の燃料に混ぜて使ったりしています。タイではE10なんていう、エタノールをそのまま燃料に混ぜて燃やすことも始まっています。

お〜!これはたまきさんサイトでも扱ったぞ。意外にグローバルな、たまきさんサイト。
この話題。最近は日本でもガソリンスタンドに青いラベルがついていてアルコールが混じっているようだと思われがちだけど。。。あれってE10と精製法が違うんだって。


そして再生可能エネルギーの賦存量。まぁ。。。世界中に再生エネルギーは、どれぐらいあるのだろうか?っていうことです。
これはまだまだ、本気を出せば利用できるエネルギーは沢山あります。今、工学系の人達が、一生懸命に機械を開発しているので、コストもどんどん下がって使えるレベルになるだろうとのことだけど、やはりエネルギーは地域に偏って存在するので、今は中東からタンカーで石油を持ってきているのだけれど、いずれはブラジルからエタノールを運ぶことになるかもしれないですね。


そして、第3部「過去に学ぼう」
まずは国別で見る、エネルギーの供給量です。
アメリカ。。。。。多いですね。
アメリカは日本の人口の倍ぐらい。っで、考えてもエネルギーの使用量が多い。だいたい日本人の倍は使っているそうです。
これは、アメリカ人が悪いとかではなく、日本人が近代化をする時に手本にしたのがアメリカやイギリスだったから。
でも、日本は国土が小さくて、その国の中にも暑い場所から寒い場所まで色々と環境が違う。一元的に北米のエネルギーの仕組みを取り入れるのは無理があるのでは?



そこでこちらの図。
エネルギーのなかで、再生可能エネルギーの比率で国を並べたものだけど、一番左側にあるのはアイスランド。
人口が少ないのもあるけど、アイスランドは豊富にある地熱をエネルギー源として、豊かな社会を作っています。輸入に頼っているのは、自動車の燃料ぐらいなので、燃料の輸入に関わるコストがかからない。燃料代を外国に払わないから、そのぶんのお金は、自国の福祉などにまわせるそうです。
日本は緯度から言うとドイツやデンマークに近い高さにある。ということは、ヨーロッパ型の暮らしに切り換えた方が、効率がいいのではないのか?
今のような石油ジャブジャブ型の暮らしを変えることができるのではないでしょうか?


はい。長々と書いてきましたが、最後の第4部にやってきました。
「地域につくろう」
こちら、まずは導入として、オーストリアの木材需給です。

オーストリアは……….
人口比は日本の6%
国土は日本の22%
森林面積は日本の16%

なのですが、木材の生産量は日本の155%もあります!
こちら、ドイツ語で書いてあるので訳が解らないですが、まぁ〜木材が産出されて、色々あって、上に向かう赤い矢印は輸出もしている。そして右に向かうデカい矢印はエネルギーになる。ってことです。

え〜〜〜ビックリ。
少々個人的な話ですが、たまきさんはオーストリアには自転車レースの関係で知り合いが、い〜っぱいいるんですよ。
けっこう僕にとって身近な国なんだけど、小さな国の割には不思議と人も活発で、ちょっと不思議に思っていたんですよね。


そしてさっきのデカい矢印は、薪にするのはもちろん、住宅用なんてのも読み取れるけど、一番上のまた太い矢印は、チップ燃料や蒸気の熱源となっている。本当にビックリです。この蒸気は、別に機関車動かしているんじゃなくて、あとで出てくるけど暖房用です。

まぁ凄いことです。樹々を使って見事なエネルギー循環を作っているんですね。こちら。。。。この講座のあとの川崎町の事例が、近いとこにいますね。


さてさて、もう。。。。書き出しだけで情けなくなる我が国の実情。。。。<<たまきの感想

こちらは日本の木材マテリアルフローです。
さっきのオーストリアの何倍もある巨大な矢印が!。。。。。上じゃなくて下を向いてます。。。。輸出じゃなくて、木材のほとんどを輸入しています。
その矢印は、輸入し、パルプになり、家も作ったけど、
「あ。あれ。。あれ。。。次のパネルがない。エネルギー利用は。あそうか、日本では木材のエネルギー利用が全然ないんだ。(これ実際に講座であった)」

なんだか日本の木材利用は情けなくなる一方ですね。
先生によると、木材エネルギー利用はそもそも研究者もいないそうで、大学の中にも森林学会と木材学会の先生ぐらいしかいなく、しかも森林学会の先生は自然林の保全が専門なので、木材の利用に関しては、木材学会の先生ぐらいしかたどる術がない。。。

日本って、世界に冠たる優秀な土壌だったんだけどなぁ〜。ベルギーの友人は、箱根の美しさに超感動してたよ。<<これも、たまきの溜息。


では、実際のところエネルギー利用はどうであるかを、コペンハーゲンの例から見ましょう。
この青い線は市中に張りめぐられた、地域熱供給の温水配管です。
ゴミ処理場などから出る廃熱や、さらに集約型のプラントで熱水を作って、各家庭に送っています。こうすると熱の損失が少なく、家庭では暖房機器のために換気も必要がないんです。
これが重要。家庭ごとに熱源をつくり出すために、家の中にボイラーを設置するような効率の悪いことは、しなければいいんです。


こちらの図は、ヨーロッパ各国で進む、地域熱供給の普及の割合です。
私たちが普通と思っている、家に一台ある給湯器。
マンションなどは、家の戸口が並んでいて、家ごとに給湯器が並んでいる。これほどエネルギー利用の面ではムダなことは無いし、すでに世界標準ではないのです。



そういえば。。。僕も海外に行って、給湯器を見た憶えがないなぁ。
あった場所は、オーストラリアの砂漠のまん中のガソリンスタンドにはプロパンボンベでうごかすものがあった。なぜなら100キロ四方に人が住んでないから。
ちょっと大きな街になると、地区の外れに写真のようなプラントの集まった場所があったなぁ。



ちなみに左の写真のまん中下のパイプが、温水を送るパイプ。
工場で作ったお湯を地域全体にグルグルまわして暖房しているそうです。燃料も、天然ガスや木材、地域の事情に合わせていろいろ選択できて、アイスランドはもちろん地熱です。
地域にあった燃料を選ぶということは、こういうことなんですね。それを東京のような大都市型で選んでしまうから、原子力のような大型の発電施設が必要になるそうです。


さて。最後のさいごに。次の百年に目指すこと。
ここは。。。もう書いてあることだけです。
ただ。大事なのは、日本はもともと地域で作り出してきたエネルギーを明治以来100年かけて否定してきました。それをまた方向転換するのは、並大抵のことではありません。100年かけて地域に戻していきましょう。とのことです。

たまき感想です。
本当に、僕らはエネルギーのことを集約化することで考えないようにしてきたのですね。だけど集約型のエネルギーは、地方では他の選択肢もあるし、そもそもムダが多い。ムダってイヤだなで済んでた時代は終わっていて、もうアチコチに地球環境にほころびが見えている。
僕はこの講義を聴きながら思っていたんだけど、「たまきさん」は環境好きでも環境に意識があるのでも何でもなくって、ムダと古い考えが好きではないのだなぁと。環境の為に積極的に行動しているのではなくって、数ある選択肢の中から選んでみたら環境にやさしいだけなんだと。
環境に良い=賢い暮らし
この図式だけは、しばらくは変わることがないなと、講座を聴いていての感想でした。


さてさて、続いて話題提供として「川崎町の資源をいかす会」から、菊地重雄さんのお話しです。
小水力の発電用水者を作るために、各方面の許諾をとったり、実際に水車を作ったりと、まぁ大変だったというお話しもありましたが。
それよりも附随した話をしようとしていた件が、中田先生の講座とリンクしてしまいました!

川崎町では木材の利用の促進のために、一町歩=3000坪=9917 m²もの森を全伐しているそうです。
え!その話凄いって思いました。
森にも色々あり、人工林と自然林。自然林には奥山と里山があり、里山はそのまま放っておくと、森が死んでしまうそうです。
今、北陸から奥羽山系に渡って楢の森が枯れていく「楢枯れ」が問題になっていますが、山そのものを伐採する全伐を行うと、残った根から20年かけて森が再生し、また立派な雑木林になるそうです。なので、20年かけて一町歩づつ、森を切っていくと、良い循環が生まれる。エネルギーも森から作り出せる。森も活性化する。素晴らしい事例だと仰ってました。

これ〜この2014に映画化される、三浦しをんの原作の「神去なぁなぁ日常」読むと、森に係わる人々の暮らしが出てくるよ〜。

全伐って、森の資源を涸らしてしまうのでは?って思いがちだけど、地面に光の射さない人工林は確かにそのようだ。だけど、雑木林は地表から樹々のてっぺんまで様々な生き物の住処になっていて、樹が切り倒されたあとも、残された切り株や地面に残った若い芽からどんどん再生するそうです。

奥山に関しては、かつて樹々を切り倒しすぎて問題になったとき、日本の権力者は樹々の管理を強くして、切ってはならない山を制定した。この辺の逸話もかつて紹介しましたっけね。

日本は、表土の観点から言うと、先のオーストリアの様に世界のなかでも植生の回復力のある地域なんです。だったら、樹々の利用はしっかり考えなければいけないんですね。菊地さんありがとうございました。


つづいて、みやぎ生協さんから、再生エネルギー活用へのお話し。
みやぎ生協さんは、震災前に使っていた古いロジックは完全に止め、危険な発電方法より、再生可能エネルギーを中心とした、エネルギー政策に転換すべき。ということで、省電力社会の実現にむけて、省エネ機器の導入や省電力計測メーターHEMSの普及促進、再生可能エネルギー施設の設置拡大を進めるということでした。


そして、MELON岸さんの登場。お!僕らのチラシですね。

来月から「たまきさんサイト」で、節電所キャンペーンをしますよ〜って告知と、節電セミナーの紹介です。でもこれ僕らのサイトのことでした。
せんだいE-Action2013始めますよ〜。


さぁ〜。最後に質疑応答です。でも時間の関係でお一人だけ。
「日本では、地域集約型のエネルギー政策は、何で実現できていないのでしょう?」


こちら。。。特に何かの妨害があるとかではなく、単に各分野が個別に自分達の省エネを進めようとした結果なんです。
例えば、エネルギー政策は経済産業省が管轄しているけど、パイプが地下に潜った途端に国土交通省の管轄になってみたり。。。
日本のエネルギー政策は、やはり歪んだ形で形成されてしまっているので、これを共通の目的を持って直していく必要があるのです。


ということで。。。大変に長いブログとなってしまいましたが、もう僕には興味満タンなこと。
日本と海外で、暖房機器の形ひとつとっても違うなぁ〜って思っていた謎が、氷解した気持です。

では、本日の感謝の気持も込めて拍手です。
パチパチパチ〜。
そしてこんなに長いブログを読んでくださった皆様にも感謝です。
たまきさんサイトでは、これからもあちこち取材して廻りますね〜。

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