フォーラム『震災漂流物の漂着への対応と海洋ごみ問題』レポート

海洋ゴミフォーラム

今日のブログで紹介するのは、3月17日の日曜日にエルパークで開催されたフォーラム『震災漂流物の漂着への対応と海洋ごみ問題』のレポートです。
このフォーラムの話が来た時『興味のある案件が来た!』と、飛びつきました。というのは。
僕は競技として自転車に乗り、趣味で山登りをしていますが、さらにもうひとつ。僕の大好きなアクティビティで、シーカヤックがあります。
一人の人間がこんなに色々やっていると怪しいと思われるかもしれませんが。。。もともと三陸沿岸に定住場所を決めたからには、これだけは憶えたいと思って始めたスポーツでして、度々乗りますが、その度に思うのは。。。。日本の沿岸には、何故こんなに『ゴミ』が落ちているのだろう?だったのです。
僕、レースでけっこうアチコチ行きましたが、こんなに海辺がゴミだらけなのは日本ぐらいですよ。
そして、海洋ゴミは国を超えて問題になっているそうだ。。。例えばグレートパシフィック ガべージパッチとか。。。そこまでいかなくとも、海洋に浮かぶプラスチック片のこととか、詳しく聞きたかったのです。



開会の挨拶

では、レポートスタートです。
開会に当たって、宮城で復興応援ボランティアで活動している団体KIDS NOW 代表の長山さんからフォーラムの趣旨説明です。
震災のはや2年が経ちました。今回の津波を起因するものでは、浮き桟橋や漁船など大型の漂流物の報告も出ていますが、そろそろ津波によって持ち去られた大量の瓦礫が北米沿岸部に到着する時期が来ているとの報告もあります。地球環境基金などではこの冬に人員を派遣し、太平洋のハワイ、北米大陸のまんなかオレゴン州への調査を実行しました。調査レポートと、実際に現地で活動している市民団体の皆さんの紹介で進行します。
ですが、アラスカ州だけは、訪れる時期が冬であるために無人の地への調査チームの派遣が難しく、現地から招待したお客様の発表で代わらせてもらいます。



鹿児島大学 藤枝先生

最初の講演は、鹿児島大学 藤枝繁教授です。
教授は先ほどの『震災起因漂着物調査』に同行され、ハワイ島3箇所、オレゴン州4箇所で漂着物調査と現地NGOとの打合せなど、かなりハードな日程だったとの事です。



ハワイ島カミロビーチ

この写真はハワイのカミロポイント。
ハワイのカミロポイントここ>>

この場所は、商業的に利用されていないビーチなので、道も未整備なまま。4輪駆動車に揺られて4時間以上の場所であり、作業のためにはトイレも携行する必要のある僻地だそうです。
そして、そんな人の行かないビーチで目にするのは。。。海岸線の波打ち際に沿って並んでいる、硬質プラスチックのチップの列です。
信じられますか?ここは人間が来ない場所なのです。そして何故プラスチックがこのようなチップになるかと言うと、プラスチックは紫外線や塩分にあてられ続けると『もろく』なるからです。だけど、バラバラにはなるけど、無くならないのがプラスチックの恐ろしさです。



海洋を循環する海流

では、このプラスチックは震災の津波で運ばれて来たものでしょうか?
いいえ。
これは海洋に浮かんでいる『海洋ゴミ』が打ちあげられたものです。
私たちの活動で海に放出されたプラスチックは、海洋の循環に乗り、太平洋の中心ハワイに集まるのです。
しかもここは以前、やはり同じように汚れていた場所を完全に掃除をした場所だとか。。。。



そこに漂うゴミの種類は

そこで、今回の調査で訪れた場所や、過去の調査箇所の中から、実際に海洋ゴミには何が含まれているかを、砂利を水に漬けて、浮き上がったものを漉しとって調べたところ。0.5mm以上の小さなつぶつぶの大半は、やはり硬質プラスチックでした。



ゴミのラインが引かれている。。。

カミロポイントでは、1平方メートルにどれくらいのゴミが落ちているかを調べました。そうしましたら、総数はなんと83個。
こんなに大量のゴミを、人の住まない地域で回収しているにもかかわらず、ゴミは次から次へとやって来て、砂浜を汚します。
そして、このプラスチックは、魚や鳥なども食べ、濃縮されて人間にまで危害を及ぼすと指摘されています。



オレゴン州から。
続いてICC(国際海岸クリーンアップ)コーディネーターからの訴え。
オレゴン州のBarianaさんです。
オレゴンでは定期的に市民が海岸のゴミの清掃活動を行っています。
これは市民がよく、海辺を歩く事とも関わりが深いです。そして市民団体による一斉清掃なども組織され、事業にはコミュニティからも一定の資金援助を受けることができます。
ただ、最近心配になっているのは、震災起因の大型の漂着物には様々な外来の生き物も付いているので、生物環境の汚染などが発生しないか?これは大変に注意して見ているところです。



アラスカの訴え

アラスカからのレポートでは、まずはアラスカの持つ地理的な紹介から。
アラスカは広大な土地に72万人の人口しかなく、海岸線の総距離に至っては、合衆国本土よりも長いそうです。
そしてその長大な海岸線には道が付いていないので、アクセスは主に船か飛行機となります。
なので、海洋ゴミの処理には、大変な労力と、大変なお金のかかる仕事だそうです。



回収したゴミはどのぐらいだろう

そして震災以来、海洋ゴミが漂着したかは、確認する方法がまずは大切だったので、飛行機を飛ばし、写真を撮って分析してゴミの多い場所から重点的に作業を進めることになりました。
そして。。。漂着するゴミの量は、ここのところ増加の一途をたどっており、大変に悩ましい事態だそうです。



人の行けない場所にも。

では、流れ着くゴミの中でも、もっとも厄介なものは?これは、圧倒的に発泡スチロールだそうです。
発泡スチロールは紫外線と塩で、すぐに劣化してモロくなり、フワフワになったクズは小砂利などに混じって回収が困難になるそうです。
また、風に乗って川もさかのぼってしまうので、誰もいない入り組んだ入り江や川に発泡カスが浮いているなどの事態も起きているそうです。



アラスカの訴え

こちらはアラスカでの海岸清掃のエキスパートのChristopherさん。
アラスカの海に関しては、誰よりも詳しいという事です。



海洋ゴミ回収作業の船

そしてクリスさんの率いるチームが清掃を行う際に使用する船。4トンの排水量のある船で出向くそうですが、昨年からはいつでもゴミで満載で帰ってくるそうです。


この部屋何杯分?

そして海岸清掃が始まって、アラスカ一帯で30年間で回収された漂着ゴミは。。。1億6500万ポンド。7484万キログラム。いったいどのぐらいの量なのだろう?
それはこのフォーラムを行っている部屋の30〜40配分に当たるそうです。
これは正直、会場はどよめきました。想像もつきません。しかもこれは回収が出来た分です。



ゴミの分布

そしてこちらは、アラスカはモンテギュー島の海岸です。
ゴミで埋め尽くされて、ゴミの正確な状況すら良くわからないですが。。。



矢印がゴミ

矢印を指した場所が、ゴミです。

震災漂流物は、確かに悲しい出来事ではありますが、問題の一端でしかない。
アラスカは、それよりもずっと長い間。海洋ゴミに悩まされてきたのです。



寄付金が贈られました。

ここで、一息。
岡山の山陽女子中学校の生徒さんが、海底のゴミの研究などを発表し、国際的な賞を受けたそうです。
こちらはその地歴部の活動を記したホームページです。

その時に、頂いた賞金を是非ともアラスカの海岸清掃活動に役立てて欲しいと、寄附されました。
僕らは、その行動力の素晴らしさに、驚きました。



JEAN 小島さん

JEAN 小島さんからのレポートです。



長崎県のとある島

こちらは恥ずかしながら、我が国です。
長崎の、道路のついていない砂浜を降りてみましたところ、ゴミが溜まりにたまっている。
こちらのゴミは、深いところでは2メートルもあったそうです。



海鳥の死骸から出て来たゴミ

そしてこれらのゴミは、ほとんどは川を通じてやってくるそうです。
私たちが適切に処分しないゴミが、川から海へ。そして他の国へと運ばれていく。この流れの例外は漁具だけだそうです。

そしてゴミは、排出者が適切に処分しなければいけないという原則があるにもかかわらず。。。海に関しては全くと言っていいほど実行されていないのが現実です。

こちらは海鳥の死骸から出てきたプラスチックゴミ。



3羽の海鳥から出て来たゴミ

そして会場の後ろに展示されていたものですが、海鳥の3羽の死骸から出て来たプラスチック製品です。
とくに、産地がはっきりしているもの。特定の場所でしか使われていない漁具などが含まれており、何ともやり切れない気持になります。



米国NGOからも

今日は大勢のスピーカーからのレポートがありましたが、最後の最後は米国NGOオーシャン・コンサーバンシーから、Nicholasさんの発表です。
発表の。。。予定だったのですが。もう既に多くの資料発表があったので充分という事、用意していた資料は使わずに、終りの言葉として、この一言を添えました。
今回の震災では、大量の瓦礫が発生しましたが、これに関してアメリカ人を代表して、震災ゴミで海岸が汚れた事を、怒っていないと。
流れてきたものは、対岸に住む日本の人達の、大切な暮らしの断片なのだから、とても気持を込めて、注意深く特徴などを見極め、戻せるものがあるのなら、還す努力を続けます。



会場から発言

会場からも一言。。。とのことで、岩沼市から来られた男性の発言。
この男性は震災被災者で、今は自宅が流され、仮設住宅にお住まいになっています。
そして沿岸部では、誰でも津波は何もかも『流した』とは言わず、『持って行った』と表現しているそうです。
ですので、先ほどのニコラスさんのお言葉には、とても胸に込み上げるものがあった。

また、石巻で活動している被災者支援をされている方の言葉からは、私たちは津波を乗り越えて、全人類として団結し、海洋ゴミ問題に取り組むべきだ。市民レベルでの交流をもっと増やそうじゃないか!と語られ、このフォーラムで、賛同の為の最大の拍手が送られました。



私たちの心ない行動から。。。

なぜなら、私たちは、海洋で繋がり、世界は皆、共通の問題を抱えています。
ニコラスさんからの、最後のさいごの最後に追加された、ちょっと苦言です。
『誰を責めるつもりもないし、指摘するつもりで発言しているのではありません。ですが、この私たちのテーブルの上に置かれたペットボトル入りの水は、カルフォルニアから運ばれてきています。私は、この訪問にあわせて数日間、日本の自然を見せて頂き、美しさに素直に驚きました。美しい自然に、有り余る清浄な水。そしてカルフォルニアは、水が良くない地域です。そこで生産された水のボトルが、船で日本まで運ばれてきているのです。同じようにフランスからも運ばれています。私たち自身の、不注意から同じようなことが数多く起きています。私たちはもっともっと賢く生きる選択をしましょう。』

この会議では震災の漂着物が主題になるはずでしたが、問題はもっともっと前から続き、規模も大きかったのです。

海洋ゴミの英訳はOcean garbageと直訳するのかと思ったら、Marine debrisが正解でした。単にそこに落ちているのではなく、どんどん人の目に見えない大きさになりながらも、漂い続けるのです、
プラスチックゴミの状況は悪化の一途をたどっており、私たちは自身で変わる必要があるのです。

最後に。海洋汚染の問題のほとんどは、プラスチックに起因するということで、この問題に関しては、こちらのサイトもおススメです。
Plastic Pollution
Facebookに登録すると、定期的に問題提起の情報が受けとれますよ。

今日はいつになくシリアスな僕でした。ではまた!

カテゴリー: 取材, 環境, たまきさんブログ パーマリンク