水のお話しを聞きにいきました。〜今日は長いです。ホントに。〜

ハロウィーン
先日に引き続き、今日も仙台市社会人学級の取材で富沢市民センターにお邪魔しました。

本日のタイトル、「社会の水問題と日本の食生活のつながり」気になりますね。

社会人学級の歌

講座の開始前には、必ず社会人学級の歌を唱和します。


水って日本に住んでいるとあまり感心が無いですね。まぁほっとけば流れてくるものと思い込んでますし、自販機では水はいっぱい売ってますね。
アーティストのレディーガガがミネラルウォーターのブランドを立ち上げようとしているって知ってました?そんなのどうでもいい???確かにどうでもいい話ですね。日本にいれば。。。ところが日本の水問題も、その道筋をたどっていくと世界に繋がるんです。今日の話も奥が深いですよ。

山田一裕先生
では、講師の先生の登場です。東北工業大学 環境エネルギー学科 山田一裕先生です。
先生は社会人となって最初のお仕事はCoop東京にいたそうです。その後は海外青年協力隊に参加してモロッコへ赴任。水質検査の技師として活躍されたのちに今の研究の道に入られたとか。


タコの話
そのモロッコでは日本と関係のある、とある食材が水揚げされていました。
ピンと来た方はいます?なんと「タコ」です。
何だか変な話ですよね。日本人のおなかを満たすために、遠く地球の裏で海産物を穫っていたなんて。現地では日本向けの輸出で地域の人は生活が潤っていて、日本人は安いタコが食べられた。「相互依存」というそうです。
ところが。。。。現地モロッコの人達はタコを食べないのです。なのに大量にタコは捕獲され、日本で消費され、乱獲のためにモロッコ沖のタコ資源が枯渇し、とうとう漁獲禁止となったそうです。そしてよくよく考えてみると、日本は海に囲まれた海洋国のはずなのに、燃料費を払ってまで地球の裏側から輸入していた。そして現地の人には食習慣が無いから、とれるだけ穫ってしまえと言う考えが強かったなんて。。。。

さてさて、そこで考えてみよう。日本の食料。
日本の食料の自給率は現段階で40%ほどです。総エネルギー(栄養)を基本にして計算するとこの数字なのですが、これを和食と洋食にして計算しなおすと、和食の自給率は、ちょっと持ち直って54%。ところが私たちが洋食を食べる時の食料自給率は、なんと14%なんです。

講話

そこで問題になってくるのが、その輸入した食品を作るのに、どのぐらいの水を使ったか?っということです。
例えば、日本人の成人は、一日に300リットルほどの水を使って暮らします。
これがアメリカ人だと570リットル。。。使いたい放題に近いですね。そして水の貴重な国、インドでは130リットルほどでした。
ですが。。。私たちは、小麦や大麦など穀物を輸入していますよね。その穀物/例えば小麦を1キロ生産するのに必要になる水は、なんと1000リットル。とうもろこしも、だいたい1000リットル。ところが、牛肉を1キロ生産するのに必要になる水は20トンにもなるのです!
驚きの量です!!!こういう見えないところで消費されているお水を「バーチャルウォーター」と呼びます。

だけどそもそも日本人って、そんなに牛肉を食べませんでしたよね。
僕の小さい頃は、食卓に上るタンパク源は「魚」「鶏肉/鶏卵」「豚肉」が多くて、たまにビーフシチューやハンバーグを食べてたぐらいな気がします。考えてみると、東京人の多くは、すき焼きも「豚バラ」肉で食べてました。
それが一体いつからだろう?食卓では今でもそんなに牛肉は食べませんが、外食では「ハンバーガー」「牛丼」なんかを食べるようになりました。牛丼をいっぱい作るために使うお水は、2000リットルだそうですよ。そうやって考えると、日本人の一日300リットルも怪しい数字に思えてきました。

井戸に集まる人
さてさて、以前にこのブログでも書きましたが、日本は水に恵まれている国ですが、世界を見渡すと水こそが、これからの食料問題に並ぶ問題だとか。
国連の統計では、2025年には世界の推計人口の70億人中、安全な水を飲めない人口が40億人にもなるそうです。
この水問題ですが、ただ、水を安心して飲めないだけではなく、水の問題は例えば、水の少ない地域では水を汲み上げるために女性や子供達が多くの時間を従事させられることがあり(これは私感ですが。。。そのような地域は封建的な思想が強いですね)、また、安全な水が手に入らない地域では感染症なども蔓延しやすく、病気になれば学校へ行けず、そうでなくとも水汲みに多くの時間をとられるようでは子供が学校に行く時間も無く。。。そして国力が衰えていく。なんてことになります。

以前紹介した「文明崩壊」の下巻にも、水が無いために住む地域によって貧富の差が生まれ、結果的に民族対立が起きて敵対する民族を虐殺するに至ったルワンダの惨劇もありましたね。小さな地域で起きている事件でも、隔絶した地域で起きていることは、地球全体で起こりえることの縮図なのです。

さて、さらに気がかりなこともあります。
地球の温暖化が進むと、世界中の降雨量にバラツキが発生し、今よりも雨が降る地域があると思えば、どんどん降らなくなる地域が出てきます。
その地図を見ると。。。今でも旱魃で苦しんでいるアフリカ北部や、世界中に、特に日本向けに小麦を輸出している北米大陸の「ハイ・プレインズ」と呼ばれる穀倉地帯での降雨量が極端に減ってます。そして降雨のある地域では、かつてない大型の台風が去来したり、って、皆さん何か思い出しませんか?
まさに今、史上最大の台風がニューヨークを襲っています。でも、史上最大って、ここ数年間、何回も更新されていませんか?
今年の沖縄地方は、8月末から2週に一回、例年にない巨大な台風がやってくるので船の欠航が多く、離島では食料問題が発生しているそうです。

ハイ・プレインズ
そしてさらに問題。さきほどのハイ・プレインズと呼ばれる穀倉地帯では、主に地下水をポンプで汲み上げることで、人工的に灌漑をした作物を育てています。ですが、そのポンプで汲み上げている水は「化石水」と呼ばれ、何百年にも渡る長い年月をかけて、じわじわと地下に溜まってきた水だそうです。
その水を人間は、自然に溜まる速度の14倍もの速度で汲み上げ、作物に使ってしまっています。
そのためにハイ・プレインズの地下水位は、1950年代には地下30メートルで汲み上げられていた水が、今では地下70メートルまで掘り下げないと汲むことができないそうです。結局のところ、そうやって環境に無理を強いて作った作物を、日本は燃料費を払ってまで輸入しているのです。
やはり見えない水(バーチャルウォーター)ですが、さらに質の悪い水の使い方ですね。

フードマイレージ

さらに食べ物はどこからやってくるか?を考えると、食べ物を輸入して持ってくる。燃料が余計にかかってくる。食べ物を生産するのにかかる「燃料」や、持ってくる「燃料」を計算したフードマイレージなるものがあります。
飛行機に乗ると、乗った区間に応じてマイレージが溜まりますよね。あれと同じく、持ってくる燃料を計算すると、食べ物もマイレージの数値が出るのですが、自給率の低い日本は、やっぱりフードマイレージも悪い。。。

では、私たちは身近なところから何ができるか?
このようなバランスの崩れた食生活スタイルを、どうすれば正せるのか?

給食の残り
そこで先生が勧めることは、まずは何といっても輸入する食材に気を使うことだそうです。
私たち日本人は狭い国土で暮らしているので現状では食物の輸入をしないという選択肢はあり得ません。なので、その輸入されてきている食材が、どういった方法で生産され、どういった方法で持ってこられているのか?関心を持って、必要でないもの、環境に良くないものは選択しないようにするという道があるそうです。そして、一度購入した食物は「食べ切る」「使いきる」が大切であり、食べ物の無駄をなくすことがとても大切なのです。


三つのキーワード

そこで、私たちがライフスタイルを変え、スマートに生きる選択肢のキーワードとして、山田先生は3つのキーワードをお話しくださいました。

足るを知る
温故知新
四里四方に病なし



1)足るを知る。
必要な量を知って、必要以上を求めない。最も身近なところでは台所のごみですね。
環境白書の資料から読み解くと、私たちの台所の生ごみの中から、「手つかづの食品」「食べ残し」があわせて40%も占めていたそうです。
これらの生ごみには、もちろん外国から持ってきたもの(その国の水を消費したもの)が含まれている訳です。必要な量を必要なだけ購入し、使い切る大切さを学ばなければいけませんね。

2)温故知新
有名な格言「古きを訪ねて新しきを知る」ですね。
私たち日本人が食べていた和食には、私たち日本人が生きていく上で大切な、長い時間をかけて培われてきた食べ合わせなどがあります。
ファーストフード全盛の時代ですが、伝統的な食べ物には調理にひと手間が加わったとしても、それにあまりある味覚の繊細さや、整った栄養バランスなど、簡単には用意できない大切な食の文化があります。是非とも大切にしましょう。

3)四里四方に病なし
食材を4里(16キロ)四方から入手する生活を続けていれば、環境にあった食生活により病が発生しないということですね。
まさしく、フードマイレージも限りなく“0”に近づきますし、他国の水資源も圧迫しません。

里水の利用

そこで今日の講座のまとめとなります。
先生の作った造語が紹介されます。それは「里水」という考え方です。
里水とは「集落・住宅地内やその近くに存在する川や湧水、井戸水等のうち、日常的な水利用とともに、利用者による維持・管理等が行われている水源」と称されます。
私たちが住む日本という国は、世界の降水量に比べて飛び抜けて多い訳ではないのに、豊富な水資源に恵まれています。
その水資源を井戸や湧水といった形で昔は利用していました。それは今も出来るはずです。
水源などの重要なインフラは、一カ所から供給したほうが衛生面などの管理がしやすいのは確かです。ですが、地域や町などで小さな水源を持つほうが災害に強く、また、現在では使われない水資源の再利用にも繋がります。震災の時に仙台各地の湧水に、水を求めた多くの列が出来たことを憶えていますか?
私たちの暮らしは水とは切っても切れない縁で繋がっていますが、私たち日本人の足元には、とうとうと流れる水資源があるのです。

そこでたまきさんも思い出す。
僕は関東の武蔵野台地で生まれ育ったのですが、僕の家のすぐ横には地区共同の井戸があったんです。
大きなタンクでしたよ。昭和50年代の東京は、水が美味しくなかったので、味のおいしい井戸水は大変に重宝したものです。
ですが、この井戸水も都市化が進み、安全基準に少しひっかかるようになってきたのと同時にタンクも老築化し、なにより東京の水道水が美味しくなってきたので「もう役割は終わったかな?」って、撤去されました。
残念だと思うでしょ?ところが、ぼくの町では、この井戸を東京に残る地区の井戸として、災害時の緊急用の水としても保存しようと、昔のように電動ポンプと高所タンクは設置せずに、手動ポンプに作り替えて、今でも残っているんです。なんせ僕の家の水は、秩父山系に降った雨が、関東ローム層をず〜っと通って僕の家のすぐ下にも、山の手大地全体に流れているんですから。

テーブルトーク

講習の最後のさいごに、先生からあるプロジェクトの紹介がありました。
それは、先生も所属している「MELON(財団法人 みやぎ・環境とくらし・ネットワーク)」の水部会、「水の神さまを探せ」プロジェクトです。
MELONと言えば、たまきさんでもおなじみの団体ですね。そしてこのプロジェクトでは、仙台各地に残る湧水や井戸などを地図上にマッピングして公開しています。
「水の神さまを探せ」プロジェクト


長々と書きましたが、先生のお話しはまだまだ広がりを見せていました。是非とも直接講座に参加して、お話を聞くことを、そして先生はとても気さくな方なので、どんどん質問をして見るといいですよ。

テーブルトーク

では、ここでいつものテーブルタイムです。
社会人学級では、講話を聞いたあとにテーブルごとに集まって、今日の講話の中味を話し合う時間を持ちます。その中で出てきた言葉を拾うと。。。

・地域の食材に目をむけ、もっと活用していこうと、改めて思う。
・震災の時にあれだけ気をつけていた水利用に、また、少しルーズになってきたと思う。もう一度意識し直そう。
・ペットボトルで水を買うこともあるけど、水道水の利用に目を向けよう。

テーブルトーク発表などなど、様々な意見が出ました。
その中で、とても重要な項目をひとつ。ペットボトルと水道水のお話しです。
水道水とペットボトルでは、管理している法律が違います。水道は水道水質基準を守る為に「水道法」という法律があります。そしてペットボトルは「食品衛生法」です。そして、双方の法律の基準を照らし合せてみると、安全規格として厳しいのは「水道法」なのです。


だけど実際のところ、捻れば水が出る国で水を買っているなんて、おかしくないですか?ペットボトルはリサイクルしているから大丈夫とおっしゃる方がいますけど、でも溶かして再利用するにも、廃棄されたペットボトルを運ぶにも、そして何より水を運んでくるのにも、水を売るために冷やしておくためにも、ぜ〜〜〜〜んぶエネルギーがかかっているんですよ。捻れば出てくるのに。。

確かに昭和40年代の水道の水はカルキ臭かったです。ですが、今では美味しさの技術も発達し、日本の水道はかつてに比べると格段に美味しくなっているんです。ヨーロッパを旅して思うのですが、あちらの国は地下水系を通った水は、ミネラル分が多すぎの硬水で、ヤカンなんかも白い沈殿成分が溜まるほどです。オーストラリアなんかは、大地に塩分が大量に含まれているので、地下水は塩水です。だけど日本は伏流水に恵まれているので、水道の水が軟水なんですよ!それをわざわざヨーロッパから運んできた水を買っていたりするのは、ハワイに住んでいるのに日焼けサロンに行っているようなもんですよ。
まぁ〜僕なんかケチなんで、ペットボトルの水なんか買うぐらいだったら、家の水道で汲んできて浮いたお金でビールを買いますね。サイクリストは水ボトルだけは、あちこちの大会の景品でもらってやたらと持ってますから。

まぁ僕のムダ話はこの辺にして。。。順番が逆転しますが、本日の講座で一番最初に先生がおっしゃった言葉をひとつ。

講話

「知識は蓄積するだけではなく伝えなければいけない。特に環境問題は座学ではない。行動が求められる。」
この理念は、今回の仙台市の社会人学級に通じるものですね。私たち社会人は、ことあるごとに学び、蓄積した知識は普段の生活にも活用して行動し、そして誰かに伝えなければいけないんです。
う〜ん。。。でもそう言うのってなかなか難しいなぁ。。。何て思いがちですが、僕の大好きなコミックの浦沢直樹著のマスターキートン1巻に、こんな例えがのってました。人は何故学ぶのか?「それは人間だからです。」(そういえばこの逸話も社会人学級が舞台でしたね。)



先生のパソコン

こちらは岩手の山田町だそうです。同じ山田つながりです。


学ぶということは、常に自分を人間らしくあるために必要なことなんですね。今回の講座でも取り上げた環境講座は、仙台市環境都市推進課の環境サロンが実施している出前講座を活用しています。
こちらの講座はどなたでも自由に申し込むことができるので、是非とも活用してみてください。

仙台市出前講座ネットワーク

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