仙台七夕の由来と再生紙~8万羽の折り鶴のゆくえ~【サロン講座】

たまきさんサロンスタッフです。
8月2日(日)、仙台七夕飾りを手掛けておられる創業明治16年の鳴海屋紙商事株式会社の営業部長 鳴海 幸一郎さんをお迎えして、サロン講座「仙台七夕の由来と再生紙~8万羽の折り鶴のゆくえ~」を開催しました。

「戦後続いてきた仙台七夕が今年は開催されないことになってしまいましたが、七夕まつりは、元来「願い」「祈り」の祭りです。
仙台市中心部商店街さんや地元の商店会さん等が、【次回に思いをつなごう、次回、無事の開催を目指して七夕を楽しもう】と、商店街を訪れた市民のみなさまが七夕の雰囲気を感じられるよう小さめの七夕飾りを飾りました。
今日はみなさんも次回に思いを繋ぎ、次回、無事の開催を目指して、七夕を楽んでいただけたら…」と、鳴海さんのご挨拶から始まりました。

まずはミニ七夕飾りを作ります。
見本を見ながら、7つ飾りのうちの3つ、巾着(きんちゃく)・投網(とうあみ)・屑かご(くずかご)を作りました。


紙の裏表を確認しながら、ひとつひとつていねいに作ります。
「余った材料や、小さなキットが入っていた小袋などは持ち帰って、分別をして捨ててください」とのこと…これも七夕飾りに込められた願いです。


ミニ七夕飾りを作った後は、七夕祭りの由来について教えていただきました。
七夕まつりは中国の乞功奠(きこうでん)という星祭りに由来し、中国から台湾を経由したと思られ、その後、日本の京都・奈良に伝わり、京都から宮中行事として仙台に約450年程前に伊達政宗公が仙台に伝えたといわれています。

七つ道具の意味合いにもつながっていきますが、伊達政宗公が当時の世情の中で女性の節句祭りとしてお持ち帰りになった事は、伊達藩にとって大事なことではなかったでしょうか。
先見の目があった粋な武将、伊達男だったといわれる所以にもなったのではないかと鳴海さんは考えていらいらっしゃるとのことでした。

「機織りが上手な織姫さまと牛飼いで努力家の彦星さまが自分たちの仕事をおろそかにして、遊んでばかりいました。そこで天帝は、『自分たちのやらなければならないことを行ってから、好きなことをしなさい』と、織姫さまと彦星さまを離し、年に1度だけ七月七日に会うことを許しました。」

「勉強や仕事など、自分のやるべきことをしなかったら、その事を知っているのは誰でしょう?自分を一番見ているのは自分です。今日の自分はどうだったでしょう…たまには休んでも良い、その分は次に頑張れば良い…自分自身を見つめなおして道を究めなさい…と七夕さんは伝えたいのではないか」ということでした。
お話を聞いて、背筋が伸び、襟を正す思いです。

次は7つ飾りについて教えていただきました。
本来であれば、ひとつひとつはさみで切って糊で貼って7つの飾りをつくっていきます。


一つ目は、吹流し(ふきながし)
織糸をかたどって飾ります。
今は紙が主流ですが、昔は紙が貴重だったため、生糸を飾りに使っていました。

二つ目は、折鶴(おりづる)
家族の長寿を願い、長生きしてほしい家族の歳の数や長寿を願った数をおります。
自分で決めた想いを、祈りを込め自分でやり遂げる大切さを教えています。


三つ目は、短冊(たんざく)

現在は願い事を書いていますが、昔は文字が上手になるように願いを込めて「七夕」「おりひめ」「ひこぼし」「天の川」などの言葉を書いていました。
間違ったり、満足いかない出来だったものも一緒に飾ります。
目標にどう近づけていったか、頑張った過程が大切です。
願いが叶うように祈りながら墨で書き、上手や下手は関係なく、最後まで自分でしっかり書くことが大事だと教わりました。


四つ目は、紙の着物(かみのきもの)

裁縫や手芸の上達の願いと、子どもが事故にあわないように、病気やケガをしないように、無事に青年期を迎えられるようにという願いを込め3~4歳児が着る大きさの着物を先端に飾ります。


五つ目は、投網(とあみ)

お魚をとる網をかたどっていますが、大漁豊作を願う飾りです。お魚やお肉や野菜が取れますようにという思いが込められています。
わたし達は食べ物から力をもらって生きています。

鳴き声も言葉も発しない植物、鳴き声は発するが言葉を持たない動物、彼らの力をいただいて私たちは生きています。 彼らの力を無駄にしてはいけない、大事に無駄なくいただくことの努力の大切さを教えています。


六つ目は、屑かご(くずかご)

屑かごの中は飾り作りで出た紙屑を入れて作り飾ります。
食べ物と同じように何も言わぬ、私たちに力を貸してくれている道具たちも、感謝をもって最後まで大切に使い切ることの大切さを教えています。


七つ目は、巾着(きんちゃく)

お財布を表しています。むだ使いをやめ、質素倹約、節約の心を養うために飾ります。

「一つの表現としてですが、事故に遭わず、ケガや病気をせず長生きをすれば余計にお金はかからない、食べ物からしっかり力をもらい自分に蓄えれば健康でいられ、物を大切にすれば無駄に道具を買うこともなく、毎日少しずつお金がたまっていく… 七夕さんは七つ道具の締めに、正しいお金の使い方を身につけた大人になってもらいたいということを伝えたいのではないか」と鳴海さんは感じているそうです。


そして、仙台七夕は吹き流しの上部に、「くす玉」という丸い球体を飾ります。
仙台の青葉通りにあった老舗店「森天佑堂」の旦那さんによって初めて戦後復興を願って編み出されました。


ここからは、七夕の飾りつけ、設置から片づけまでを教えていただきました。
飾りづくりは女方の仕事で春彼岸から準備などが始まります。
紙の飾りなので湿気や温度に敏感で、仙台七夕まつりの日にいちばんきれいに咲かせるためには2か月前程からトップスピードを掛けて一気に作り上げるのだそうです。
男方は8月4日笹竹の取付け、6日飾りの取付け、8日「葉っぱひとつ残すな!」の合言葉のもとすべての片付けの3日間だそうです。

取付けから撤去までの様子の動画を見せていただきました。

午前9時までに飾りつけを終わらせなければいけない、真夜中~早朝の間の作業です。
動画を見ていると仙台七夕飾りが恋しくなりました。

8日の撤去は21時から23時59分までの間に「葉っぱひとつ残さず」すべて撤去するのだそうです。

そして、幹、葉っぱ、飾りとそれぞれ分別します。
さらに、竹の太い部分は仙台市のごみ焼却炉やお焚き上げの焚き付け用の薪として活躍しています。


また、ひとつの短冊に書かれた願いごとがきっかけで、仙台市立の小中学校に通う児童生徒による故郷復興プロジェクトの折り鶴も「再生紙」に生まれ変わることになったそうです。88,000羽の祈りを子どもたちに返したいとの思いから活動が始まりました。


この「再生紙」が最初に使用されたのが、オリンピック2連覇を達成した羽生結弦選手への表彰状でした。


その後、小学校の卒業証書や入学要覧、卒業要覧、ノート、等にも活用されることになり、また、【宮城野カルタ】の絵札・読み札がこの再生紙で作られました。

子どもたちが祈りを込めて折った8万羽の折り鶴が仙台七夕で祭られ、その後、たくさんの子どもたちや裏方さんの手で分別され「再生紙」となって生まれ変わり、再び子どもたちのもとへと戻っていくのです。

2017、2018年の再生紙のしおりをいただきました。
2019年の再生紙はコロナ過の影響で解体・分別作業等をすることができず、現在保管されているそうです。


最後に、鳴海さんは、
「何も言わない紙飾りには秘められた思いがあり、仙台にゆかりのある方は何がしかの気持ちが入っているのではないかと思います。
例年とは違いますが、8月中、場所によって期間はまちまちですが、仙台市内いろいろな商店街で七夕飾りが飾られます。
七夕飾りを楽しんでいただき、飾り込められた祈りに思いをはせていただければ、また、みなさんの周りの方にもお伝えいただければ幸いです。」と、締めくくられました。


鳴海屋紙商事 鳴海幸一郎さん、ご参加いただいたみなさまありがとうございました。

次回、無事に開催されます仙台七夕まつりで七夕飾りが見られますように…


*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*
せんだい環境学習館 たまきさんサロン
平 日 10:00~20:30
土日祝 10:00~17:00
休館日 月曜(月曜が休日の場合は、その翌日)祝日の翌日・年末年始
※8月30日(日)は臨時休館日です。
*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*

カテゴリー: 過去の講座, 環境, 環境講座, たまきさんブログ パーマリンク