広瀬川で暮らす生きものたち~川の環境を知ろう!~【サロン講座】

たまきさんサロンスタッフです。
10月14日(日)は、宮城教育大学 棟方有宗准教授をお迎えし「広瀬川で暮らす生きものたち~川の環境を知ろう!」を開催しました。

棟方先生は8歳のころから、親御さんに連れて行ってもらったことがきっかけで釣りを好きになり、17歳のころに出会った本「回遊魚の生物学」がきっかけで魚を研究するようになったことを教えてくれました。

海外では、ラオスのメコン川で釣りをしたこともあるそうです。

 

ここで、問題です!

メコン川は東南アジア最長の川で6か国をまたいで流れる川ですが、ラオスを流れる約2,000㎞の流域には、何種類の魚がいるでしょうか?

ヒント…地球上の魚の種類は約2万種類といわれています。

70種類から1,000種類までさまざまな数の回答が出そろいました。

 

 

 

正解は、約200種類です。

では、私たちが住む仙台の広瀬川はどうでしょう。
広瀬川の長さは、関山峠の源流から名取川に合流するまでの約45㎞です。川幅もメコン川より狭くなっています。
では、広瀬川には何種類の魚がいるでしょうか?

10種類から30種類という回答が出ました。

正解は、約72種類です。

川の中に棲んでいる魚の種類の多さは、川の長さや広さではなく他の理由があるようです。
広瀬川の上流、中流、下流の写真を見ながら考えてみましょう。

上流の奥新川キャンプ場付近の写真を見たみなさんの感想は、「おだやか」「水が冷たそう」「浅い」「狭い」「水が透明」「大きな岩がある」でした。

 

 

次に、上流から少し下った場所の写真を見た感想は、「大きな岩がなくなった」「石が丸くなってきた」「水が濁ってきた」「川の流れが速くなってきた」でした。

 

 

続いては、鹿落坂から霊屋橋を撮影した中流の写真です。市街地を大きくうねるように流れています。
「石が少ない」「草がかぶさってきた」「石が動かなくなる」という感想でした。

 

 

最後は、名取川との合流点である下流の写真です。左側から広瀬川が合流しています。
「土が見える」「濁っている」「透明度がなくなっている」という感想が出ました。
上流の水に比べ透明度がなくなっているのは、石が削られ粒子となって水に溶けているためです。

水温が一年中温かく上流から下流まで同じ環境のメコン川と比べ、広瀬川は流域ごとに環境が異なります。上流では、ごつごつした岩に隠れているヤマメやイワナやカジカ、中流では、苔をそぎ落として食べるアユやウグイやアブラハヤ(仙台では“にがっぺ”と呼ばれることもある)、下流では、フナやナマズやオイカワといった多種多様な魚が棲んでいることが分かりました。

広瀬川には、川と海とを行き来する回遊魚もいます。
「サクラマス(ヤマメ)」「アユ」「ウナギ」です。

 

 

サクラマスは、冬に川で生まれて育ちます。

 

 

 

外敵から身を守るため、稚魚の頃は、川底の砂利に似た模様をしているのが特徴です。

 

 

 

春になると、海の外敵から身を守るためにキラキラとした銀化(ひかりとも呼ばれる)が始まります。

 

 

 

鳥から狙われないように、背中は海と同化する青色となり、おなかは海の底から水面を見上げたときに反射する銀色になります。

 

 

1年経つと、キラキラした銀化から婚姻色となり、産卵のために広瀬川に戻ってきます。

 

 

 

 

 

中流の砂利の中に直径1m、深さ20cmの穴を掘って産卵場所にします。
メスが体をしならせ、尾びれを使って穴を掘ります。オスはメスが安全に穴を掘れるよう穴の周りをパトロールしています。

サケは産卵が無事に終わると死んでしまいますが、その死骸を水生昆虫たちが餌にし、サケの稚魚がかえると今度は水生昆虫たちが稚魚の餌となっていき、川の中で循環していきます。

 

 

上流、中流、下流の環境の違いや四季によって種類の多い広瀬川の魚たちですが、減ってきている魚もいます。
「アカザ」と「ヤツメウナギ」です。
「アカザ」は、山形県の赤川(あかがわ)や岩手県の閉伊川(へいがわ)で見られるそうですが、釣りをよくされている棟方先生でも宮城県内では見たことがないそうです。宮城県内で見つけた場合は教えてくださいと先生がおっしゃっていました。
「ヤツメウナギ」は、シーラカンスよりも古くから生息している魚ですが、まだ広瀬川でも見つけることができるそうです。

そして、仙台市内では20年前に太白大橋付近で目撃されたのを最後に、姿を消した「アカヒレタビラ」もいます。
貝に卵を産みつけるため、貝の減少が「アカヒレタビラ」の減少に繋がっていると考えられています。

 

「アカヒレダビラ」は、うみの杜水族館のラボコーナーで見ることができますが、名取市にはまだ生息しているようです。

野生のメダカ保護活動「メダカの里親プロジェクト」の紹介も宮城教育大学4年生の麻山賢人さんからありました。

東日本大震災の津波の影響で宮城野区井土浦に生息していたメダカは全滅してしまいましたが、棟方研究室では、震災の前年に研究のためのメダカを井土浦で採取していました。

生き残ったメダカの遺伝的多様性を守り、復興の象徴とするため、八木山動物公園などと連携して始めたのが「メダカの里親プロジェクト」です。

 

 

自然豊かな広瀬川の環境やたくさんの川の生きものを学び、朝に採取したばかりの川の生きものとふれあい、釣り道具や研究機材も実際に体験させてもらい、とても充実した講座となりました。

今回の講座が棟方先生のような研究者になるきっかけになるかもしれませんね。
棟方先生、麻山さん、ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

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