石田秀輝先生の講演を聞いてきました。読む価値があるけど、長いよ〜。

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今日のブログは国際センターで開催されました東北工業大学『地域連携シンポジウム「まちづくり、ひとづくり、ものづくりを考える」』から。
沖永良部島から石田先生がやってきて基調講演をされます。

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たまきさんブログでは、ほぼ1年ぶりの登場ですね。
「日に焼けましたね」「黒糖焼酎でコンガリ」だそうです。
まぁ、長い内容になってしまうし、細かく書いても書ききれないので、僕の雑感を交えつつ進行しましょう。


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先生は仙台駅に着いてから、さっそく地下鉄東西線で国際センターまでやってきたそうです。それも八木山動物公園駅まで登って、折り返してきたとか。「あの急坂を地下鉄が登るのか!」って思ったそうですが、元気よく上がったとのこと。
さて、講演のタイトル
「笑顔あふれる持続可能なまちつくり・ものつくり」
—–地球環境を考えることは心豊かに暮らすことなのです—–


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さて、僕らの文明がこのままどんどん進むと、いったいどんな時代が来るのだろう?
どういう時代が来るか?シンギュラリティ(技術的特異点)を越え、環境との新しい拮抗が生まれているのか?翻って2045年には安心安全の概念に変化が訪れているのか?どういう社会が来て欲しいかを、思考を深めてみましょう。



ここでいうシンギュラリティって、人工知能が人間の知能を超える瞬間とかをよく指したりしますが、先生のお話ししている技術的特異点は、もっと広範なものでしょうね。
僕らが石炭を地下から掘り出すことで始めた工業文明が、維持可能な環境と折り合いをつける点も含まれると僕は思いました。


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文明には発展する力と、それを止める力がある。現在の延長で予想される社会は求められているのか?再生医療が進化し寿命がどんどん伸び、自動運転の車が走り回る世界が来るのか?それを世界中の人が望んでいるのか?
論理的思考は、その前提条件が間違っていれば正しい解が導き出せない。そこで、足場を変えバックキャスト視点で考えてみましょう。


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では、昨年のことに目を向けましょう。
気候はすでに大きく変動しています。2014年の台風8号はとても強力で南の島では風速60メートルが観測されました。
広島で起きた集中豪雨の災害も、記憶に新しいです。


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沖永良部島でも強烈な風が吹いて、先生は笑い事では無かったそう。



僕の意見だけど。温暖化に対して細々反論は世にあるけど。。。気象ひとつ取っても、以前は無かったことが起きている。やっぱりおかしいよね。


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実際に赤道よりずっと緯度の高い地域の海水温が上昇しており、温まった水面では上昇気流で強力な台風が生まれ、日本を含む東アジアを襲うようになる。
——確かに今年は、日付変更線の向こうから生まれた台風が日本を襲い、そこから東へ戻った低気圧が北アメリカを襲いました。


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世界に目を向けると。フィリピンを襲ったスーパー台風。北米には大寒波が襲来し、続いて過去500年で最悪の干ばつが来ました。
——サンタバーバラに住む友人が「山の雪がぜんぶ溶けたのを見たのは、初めてだ!」て言ってたのを思い出す。


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地球環境は、とにかく激変しています。
恐竜が歩いていた時代は、生き物の種の絶滅は、年に一種ぐらいでしたが、今は年に4万種もの生き物が絶滅しています。
地球環境は人々の活動によって劣化しているのです。
——第6の大量絶滅なんて言いますね。


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さらに日本では人口が減少しています。ただ、人が減っていってもドイツの1.5倍ぐらいの人口があるので、さほど心配はしていません。ただ、問題なのは人口減の質が日本は良くない。都市部での高齢化が激しく、その割に首都圏での食糧需給率が0.6%と無に等しい。東北の食糧需給率は105%です。だから、都市部に人が集中し、地方が劣化することは大変に危険なことなのです。


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そこで、1992年の地球サミットに目を向けると「持続可能な開発」との標語があります。もう完全に陳腐化しています。
環境技術が生まれても、それが消費拡大社会の中に取り込まれると技術が消費の動機にしかならず、せっかくのエコテクノロジーが環境のためにならない。
——-これはあれですね。エコカーが登場したから、新しい車に乗り換えよう!では前の車はどうする??じゃあ新車は週末に、お父さんの通勤は古い車でいいんじゃない?全然エコじゃない。倍になってるし。。。


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そこで、私たち自身が変わる必要があるのです。
環境と経済のバランスではなく、環境と生命の成長に軸足を移すべきです。やることはライフスタイルを変えことです。
石炭文明から始まった、私たちを取り巻く環境を変えることで維持してきた暮らしを、厳しい環境制約の中で、心豊かに生きる道を選ぶべきです。
それでは社会が沈んでしまうか?いえ、生命の成長に軸足を移して幸せに暮らせば、経済はあとから着いてきます。


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すでに明確な予兆が現れています。
——スライドには「僕の自転車」なんて書いてあって、サイクリストの僕には期待大ですが。



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人がどのような豊かさを求めているか調べた統計があります。
1970年代は物質的な幸せが心の豊かさを上回っていましたが、1985年代から逆転し、2015年の今では、ものの豊かさより心の豊かさを求める人が30%近くも多いのです。そして物に対する考え方も変わっています。


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例えば、車を所有するより、自転車に乗ったり(オオッ!)アウトドアスポーツを楽しんだ方が幸せだと。
ビンテージものを手に入れることに心血をそそぐのではなく、ものを修理して長く使うようになったり。
今の若い人は、新品にこだわりがなく、中古を選ぶことに気兼ねもありません。
美味しいものを買ってくることより、ガーデニングや家庭菜園を楽しむことに価値を見出してます。
これだけの予兆があるに、ビジネスは拾いきれていないのが現状です。


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例えば、2004年の統計では発売から2年で52%の商品が市場から消え、新商品が利益を得られる期間も1.5年と大幅に短くなっている。これは1970年に発売された製品が25年も利益を生んでいたのと大違いです。
そして仕事の満足度は39%程度しかない。これでは人は幸せになれないでしょう。


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社会は今の延長で進んでも幸せになれず、閉塞感が漂っています。
そして新規に創業する人の20%は、日々の生産物で喜びが見出せる一次産業を目指している。
ビジネスにも生活にも、不安不信が渦巻いているのです。


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そこで、今までの産業革命以降続いてきた物質による豊かさを、あらためて精神の豊かさへ切り替える必要があるのです。


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これまでの人間活動の肥大化が、環境との境界(せめぎ合い)で、どのようなリスクがあるかをあげてみると。。。
エネルギー、資源、食料、人口、気候変動、水、生物多様性と、7つあげられます。


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そこで、エネルギーに注目してみましょう。


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人が一人暮らすのに必要なエネルギーは、1日2,400k(キロ)カロリーです。ところが、現代の暮らしは127,000kカロリーも使っています。
例えば、10kmを移動するとします。
歩くのに必要なエネルギーは308kカロリー。自転車だと、少し減って118kカロリー。ところが、車でやってくると8,670kカロリーも使います。
例えば洗濯も、手洗いでは176kカロリー。これが全自動洗濯機では1,300k〜2,700kカロリー。
では、手洗いに戻れますか?戻れないのです。
人間は利便性を手にすると、もう、あがらうことができない生き物なんです


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そこで環境との共生から課せられる制約を基準点にした「バックキャスティング思考」でテクノロジーを考えます。利便性を追求することでエネルギー枯渇のリスクが生まれるのです。


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ですがエネルギーの制約を伴う「節電」「省エネ」にのみ力を置くと、豊かな暮らしはできません。たとえば洗濯を手洗いに戻すことは、もう考えられないのです。そこでライフスタイルを変えることが求められます。


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今の暮らしの延長では、私たちを取り巻く環境は2030年ごろに破綻してしまう。それを避けるため暮らしに楽しみを見い出さなければいけない。
ワクワクドキドキ、暮らしを心豊かに変えながら、人間活動は停止、縮小へ向かわせなければいけない。


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地球環境を優先するか、豊かな暮らしを優先するかという議論はよく聞きます。そこで、地球環境という制約の上に豊かな暮らしを実現する方法を模索し、子供達に両者を天秤にかけないライフスタイルを残しませんか。


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例えば入浴を考える。
2030年の世帯数はおおよそ4900万世帯。その4900万世帯が300リットルの水を40度のお湯に変えるエネルギーは、もうない。
それを今までの延長で思考すると、入浴回数を減らす。シャワーにする。近くの川に行く。。。。震災の後と同じですね。


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我慢をするのは、今の生活を変えないフォアキャストの思考です。
そうではなく、バックキャストの考え方。エネルギーを大量に使うお湯なら、お湯の量を少なく、そして温まるようにしたらいい。その回答を、僕なら自然の中にヒントを探します。そして生まれたのは水のいらないお風呂でした。


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300リットルの水ではなく、3リットルの水から作る70度の泡のお風呂という発想です。一般用で3リットル。車椅子の人向けの囲いのついたお風呂で6リットルなので、重量が軽く作れます。移動できるお風呂ができるのです。
——-このお風呂は、石田先生が監修され平成28年3月に生まれる新しい博物館「ふじのくに地球環境史ミュージアム」にて展示されます。
これがバックキャストの実例ですね。


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また、多くの研究者グループは、未来の技術を研究しています。ところが、不思議なことに、たくさんのグループが同じ回答に辿りつきます。
なぜなら、今の技術の延長で次世代を考えているからです。典型的なフォアキャストの考え方です。


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例えば、2012年の世界中のデータセンターでは3000万キロワットのエネルギーを使っていました。
これが2015年の今では、データ量が17倍に膨れ上がりました。
その流れでコンピュータを考えると、一般の研究者は必ずと言っていいほど次世代コンピュータはウエアラブルになるといいます。
——–ウエアラブルコンピュータ。服やメガネ。時計など、コンピュータ端末がそこらじゅうに溢れることになります。ただし、洋服などにコンピュータを導入すると、データを服に保存できないので世界のどこかにデータを保存する場所と、さらに服地では高度な計算ができないので、服の代わりに計算するコンピュータも必要になります。


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では、その膨大なエネルギーはどうするのでしょう?コンピュータのために大量の原発を動かしますか?結果的に、今と足場を変えて考えていないことがわかります。


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では、人が潜在的に求めていることは何か?という統計があります。
利便性と同じぐらい、楽しみを求めています。また、自然にも強く惹かれています。
なので利便性は、同じぐらい価値のある楽しみなどに足場を置き換える必要があるのです。


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そこで私の研究室では、かつて物がなかった時代から、社会が大きく変革した時代へと生きてきた90歳の人たちにヒアリングを行いました。
戦前に成人となり、高度経済成長の基盤が出来上がった1960年代(環境負荷は現代の半分)を生きた人たちです。


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すると、数多くの日本で失われつつある、暮らしの価値があぶり出されてきました。
「自然に生かされていることを知り、自然を活かすことを楽しみ、自然を住なす」
こんな言葉が見えてきました。


20151208工業大フォーラム37

社会基盤に依存した暮らしと、不自由を不自由ではなく知恵や技術で乗り越える自立型の暮らし。


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双方のちょうど間の、楽しみを享受する「間」。心豊かな暮らしのかたちに必要な「間」が、現代社会ではすっぽり抜け落ちています。そこで私はいま「間抜けの研究」を行っています。


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例えば今、若者が物を欲しがらなくなったといいます。車に興味がない。服に興味がない。
違うのです。物に興味のない、悟りを開いた僧侶のような若者などいません。若い人も物は好きです。


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ただ、物に対する考え方が変わってきているのです。例えば人気のある家具店は、高級志向ではなく自分で組み立て、自分でコーディネートすることを楽しめます。ホームセンターも形を変えてきています。
自らのスキルで経験を価値に変えていくのです。


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そんな「間抜けの研究」のために、私は沖永良部島に移住し、地球村研究室を開きました。


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さらに、沖永良部島での研究を一冊の本にまとめ、12月9日、ワニブックスから出版しました。是非とも読んでみてください。


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ということで、ものすごく長くなりましたが、石田先生の基調講演をず〜〜〜っと追ってみました。


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っで、戻ってきて、すぐ本買っちゃった。
読み込んでます。いつか沖永良部島の地球村研究室にも行ってみたいなぁ〜。じゃあね。

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