環境出前講座で紙飛行機から火星の話まで。ホント?ってつながり

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毎度ご好評いただいている環境出前講座の本日のお題は紙飛行機。どこに来たかというと国道4号と広瀬川がぶつかるあたりの若林小学校の体育館です。
「進化する航空機〜紙ヒコーキから火星飛行機まで〜」と題して、東北大学大学院 工学研究科 浅井圭介教授の講座です。なんだか飛行機と聞くだけで、期待に胸が高まりますね。


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さてさて。若林小学校の3年生が集まってきました。
工学部の教授が小学生を相手に授業ってことは、これは一般の大人にもわかりやすい講座ではないでしょうか?


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はい。これから使う資料の配布です。
配っていただいているのは、生徒さんのお母さんです。


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今日の出前講座ですが、PTA親子行事として開催されており、3年生が集っているんですよね。そ〜いえばそろそろ夏休みだし。こういったイベント行事も増えますね。


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浅井先生の登場です。
大阪生まれの先生は子供の頃から飛行機が大好きで、飛行機の勉強を続けてとうとうJAXAにお勤めになり、飛行機の設計などをされていたとか。12年前からは仙台に転居してきて、空気力学を専門に研究されています。
写真は昨年発刊された、科学を志す人ならみんな知っている雑誌Newton。航空機のテクノロジーの特集号では監修もされたそうです。


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では、まず皆さんに聞いてみましょう。
飛行機は好きですか?は〜い。
星やロボットは?は〜い。
動物や昆虫は?はい!は〜い。(多いですな)
では、恐竜は?はい!はい!は〜い。(すごく多い)

さすが恐竜は大人気ですね。そして今日の話は、これらが全部出ます。


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太古に地球に住んでいた恐竜は、いまでは鳥になりました。これは化石を調べて分かったのですが、完全に進化の道がはっきりしたのは最近のことです。
この右側の本「そして恐竜は鳥になった」この本は最新の情報も織り交ぜつつ大変に面白いですよ。是非とも手に取ってみることを勧めます。
。。。。ん〜。なんか僕も読んだことあるな。


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ちなみに恐竜の進化を化石で順に追っていきますと、真ん中にある丸はティラノサウルスです。そして、さらに進化していくと、なんと鳥になる。鳥には恐竜の多くの性質が引き継がれているのですね。
そしてティラノサウルスの想像図もだいぶ昔と変わってきた。最新のものでは全身が羽毛に覆われて顔が赤いとか、なんだかニワトリのようですね。


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続いて空を飛ぶということ。
この地球には、地表から100kmもの厚みの大気があります。そして、地球にはさらに重力があります。この重力は、モノと物はお互いに引きあうというニュートンの発見した力です。
ちなみにリンゴの力は巨大な地球に比べると無視できるほど小さいから、地面に一方的に落ちているように見えるんですね。


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この、地球を取り巻く空気は何から出来ているかというと、酸素が1ぐらいで、あとの4は窒素で出来ています。
ではここでクイズです。
とても小さな酸素と窒素ですが、1立方センチメートル(1×1×1㎝)の中には幾つの分子が入っているでしょう?
a.1000個
b.1000,000個(100万)
c.1000,000,000個(10億)
ん?どれぐらいだ??


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答えはなんと、どれでもない。
26,867,540,000,000,000,000個!
2686京7540兆個でした。
こんなに沢山の分子が詰まった空気が、どれぐらいの重量を飛ばすことが出来るかというと。。。


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こちら。世界最大の飛行機エアバスA380。
通常は555人乗りの飛行機ですが、座席の間隔を詰めて全部エコノミークラスにすると800人も乗れてしまう。
重量は560tもあり、翼の大きさは845㎡。だいたい30メートル四方の面積ぐらいです。


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なんだか数字が大きすぎてイメージがわきませんので、翼の面積で飛行機の重量を割ってみますと、1平方メートルあたり660キロの重量がかかっています。なんと!
1平方メートルにお相撲さん3人分ぐらい乗っている感覚なのに、浮き上がってしまうんですね。


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その巨大な重量を持ち上げているのが空気の「圧力」です。


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では、圧力がどのようなものかを実験してみましょう。
皆さんに配ったコピーを切り取りまして。。。


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こんな形を作ります。ゲタみたいですね。


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これを、息を吹きかけて飛ばしてみましょう!
ふ〜!!!
すると。。。むしろカエルが這いつくばってしまった。飛ばないですね。


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では、こんどは紙を丸めた上の面を吹いてみましょう。


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フ〜。あれれ?こんどは丸まった紙が持ち上がってきました。これが気圧の差なんですよね。


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この気圧を上手に利用している動物がいます。
八木山動物園にもいるプレーリードッグです。


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プレーリードックは平らな草原に穴を掘って暮らしています。
ただ、トンネルだけ掘って穴の中で暮らしていると、穴の中の空気が澱んでしまいますね。
ところがトンネルの出口の片側だけを盛り土しておくと、土の山の上を通る空気の速度が速くなり、気圧が下がってトンネルの中の空気を吸いだします。生き物は自然にこんな知恵を伝えているのですね。


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そして飛行機の翼も仕組みは同じです。
翼の断面は上の方が盛り上がっているので、空気は上の方が速く流れて気圧も下がります。
一般的に地上の気圧は1013hpa(ヘクトパスカル)ぐらい。これが翼の上面は空気が速く流れることで980hpaぐらいに下がります。逆に下面は1050hpaぐらいになります。
ヘクトパスカルって、どっかで聞いたと思ったら、天気予報ですね。
980hpaというと、強力な台風の時ぐらい。
つまり、飛行機は空を飛ぶ時に翼の上に嵐を巻き起こしているようなものです。


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こんな写真がありました。
雲の中を突き抜けた飛行機が巻き起こした空気の渦で、雲が向かい合った二つの渦巻きになっています。


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では、実際に空気の圧力ってどのようなものかを実験してみましょう。
用意するものは、ヘアドライヤー、スチロール球(ピンポン球も可)、チラシ、テープなどなど。


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ドライヤーの空気が一定方向に出るようにチラシで筒を作り。。。。


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スイッチを入れると、ピンポン球は空気の流れに乗りました!


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面白いのは、ドライヤーを傾けても球は落ちないんです。
なぜなら、ドライヤーから吹き出す風は流速が早いので気圧が低い。すると球は空気の流れから離れそうになると気圧の低い方に引っ張られるんです。


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これが、飛行機を飛ばす原理。
飛行機には、地球に引っ張られる重力。空に浮かぼうとする揚力。前の空気に押し戻される抗力。これに向かって進もうとする推力が働きます。
そして飛行機は空の高いところを飛んでいきます。時速1000kmほどにもなります。これは空気の薄い空高くでは、抗力がかからなくなるからスピードが出しやすくなるからなんですね。


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ということで、飛行機が空を飛ぶなぞは判明しましたが、ではもう一つの問題を考えてみましょう。それは、まっすぐ飛ばない!ことです。


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自作の飛行機がまっすぐ飛ばないなら、まっすぐ飛ぶものをよく観察してみるといい。
ジェット旅客機「機体の後ろに尾翼が付いている」
プロペラ飛行機「翼がV字型をしている」
ダーツの矢「飛んでいく先端の方が重い」

おお〜何かヒントが見えてきました。


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では、また紙を切って飛行機を作ってみましょう。
こちら。丸っこい不思議な形ですが、折り曲げたり、重りのクリップをつけたりすることで、まっすぐ飛ぶようになるそうです。色々と工夫してみましょう!


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えい!


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うまく飛んだよって子に、飛行機を見せてもらいました。
確かに。翼がV字で、先端にクリップを挟んでいて、さらに尾翼のように垂直の翼もあります。


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高いところから飛ばしてみます。
う〜ん。くるくる回る子もいれば、飛んでいく子もいます。


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こちらは先生の見本です。
力をあまり入れなくても、上手にできていると綺麗に飛んでいくそうですよ。


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ホイ。


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ス〜ってね。(ピアノのとこ)


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続いて先生の活動の紹介です。
浅井先生たちは、いま、火星で飛行機を飛ばすことを計画しています。
東北大学とJAXAが協力している研究だそうで、早ければ2024年に実現しそうだとか。。。ワクワクしますね。


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では、地球と火星を比べてみましょう。
まずは大きさですが、地球の半径はおおよそ6400km。火星は3400kmなので、だいたい半分ですね。


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そして大気は。。。火星には空気がほとんどありません。
二酸化炭素の大気がわずかにあるだけ。
地球は1013hpaでしたが、火星は7hpa。


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そんなに薄い環境で飛ぶ飛行機となると、また形は変わってきます。こちらは予想図。


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こちらの計画に係わっている研究者は、なんと主に東北大学出身者です。


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そして、火星の大気は地球とはあまりにも環境が違いすぎるので、飛行機も地球のものと違ってきます。その研究に使う7hpaなんて薄い空気の実験室が東北大学にあります。世界でひとつの火星大気風洞です。


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火星の大気は地球の100分の1の気圧。こんな環境では、とても不思議なことが起きます。
たとえば、既存の翼の形だと、飛行機の翼から空気の流れは剥がれてしまう。これでは飛行機の翼は空に飛ぶための揚力を発生できません。
そこで、昆虫に学びます。トンボの羽はギザギザです。このギザギザ加減は、薄い空気の中では都合よく空気を翼に沿って流せるので揚力が作り出せます。
なんと、昆虫の持つ能力の豊かさは、ロボットを研究している先生達は、とても注目しているそうです。


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ただ、火星には飛行機のような大きな構造のものは簡単には持ち込めません。たぶんカプセルに入れて持っていくのでしょう。


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そのため飛行機も火星に着いてから、畳んだ状態から展開されます。こうして空に飛び立った飛行機からは火星の地上の様々な光景が観測できるのでしょう。


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ちなみに、こちらは火星周りを回る人工衛星の軌道上から撮影した不思議な地形。
人の顔みたいに見える岩もありますが、これはもっと高解像度のカメラで観測したら、普通の岩だったとか。
でも、クレータがニコニコマークみたいだったのは、偶然の産物だそうです。
そして最近の研究の結果では、火星には過去に確実に水があったそうです。
その火星で、いったい何が待っているのかがとても楽しみですね。


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ということで、先生の講義はこれでおしまいです。
科学に小さい頃から興味を持つということは、とても大切なことです。勉強して科学者になったり、エンジニアになったり、将来のためにいっぱい勉強してくださいね。

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