大倉小学校で、東北大学の教授が理科の授業です。環境出前講座。

20141118大倉小祖山先生講座01
本日のブログですが、ひさびさの環境出前講座です。
講師をしてくださる先生は東北大学大学院工学研究科 教授 祖山均先生です。そして講義のタイトルはというと「車の重さとエネルギーについての講座」金属をたたくと性質が変わることの実験、キャビテーションについての講座、キャビテーションを発生させる実験というものです。
そしていったい何処に来たのかというと。。。


20141118大倉小祖山先生講座31ジャーン。大倉ダム。



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そしてジャーン。大倉小学校。
相変わらず自転車で来たのかって?はい。「車の重さとエネルギーについての講座」ってことで、自動車一人乗りで出向くのは気がひけるなぁ〜と。なになにこれぐらいは自転車で、チョイって来る距離です。(途中雨が降って遅れそうになったけど)



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ではでは、駆け足で講座に戻ります。

皆さん。今日集まってもらったのは小学5〜6年生の皆さんですが、今から石油はあと何年ぐらい使えると思いますか?資源は限りあるものなので、大切に使わないとすぐに使い切ってしまいます。では残りは何年でしょう?
答えは42年です。42年というと、皆さんは確実に生きていますね。



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そのかぎりある資源。いま私達の暮らしで石油を消費してる割合を考えてみると、1/3は車が消費しています。
だったら、その資源をどうすれば長持ちさせることができるか?
車はエンジンで動きますから、皆さんがこれから中学校で習う公式
「力」=「質量」×「加速度」
で、考えることができます。すると、重さを減らしてあげればいいのではと、気がつきますね。



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そこで、こんな実験をしてみましょう。
この2台の自動車は、片方の車は鉄で出来ていて、もう片方はアルミで出来ています。



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実際に持ってみてください。重いでしょう。鉄の車は約7キロあります。それに比べるとアルミの車はとても軽い。おおよそ2.5キロほどです。
この2台の車をバネばかり付きのピストンで押してあげると、どれぐらいのエネルギーの差が生まれるでしょう?



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こちら。参考しにて下さい。
Nというのは力(ちから)の単位でニュートンと言います。この鉄の車を動かすと、どれぐらいだと思います


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1番の人。し〜ん。
2番は? ……。
3番は? はーい。


それでは実際に押してみましょう。お、2.5Nぐらい。3番ですね。これをアルミの車で試すと、なんと1/3の力で動いてしまった!

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鉄よりアルミは軽いのです。だから自動車を作るにも鉄よりアルミで作った方が有利なのですが。。。
「はい。このアルミの棒を何回も同じ場所で曲げてみてください」
ギコギコギコ。。
ポキッ!
「折れてしまいましたね!」
アルミは重量は軽いけど、簡単に折れてしまうんです。これはアルミの特性なんです。そして、これを解決するひとつの方法が、今日勉強するキャビテーションです。



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キャビテーションは、簡単に言うと泡です。
普通の泡は、こんな感じで丸かったり、少し潰れた形なんかもしています。



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例えば水に泡を作ろうとしましたら、熱を加えて沸騰させてあげればいい。水の沸点は何度ですか?
「100℃」
ハイ正解。ですが、これが山の上などにいくと沸点は下がります。
我々は意識していないだけで、大気から1センチ当たり1キログラムの力を受けています。だけど山の上にいくと大気が薄くなるので、水の表面を押さえつける力も弱くなるので、沸騰が低い温度で起きるようになります。
富士山の上ではだいたい87℃。これは登って実際に測ったのではなく計算して出た結果ですが、だいたいそれぐらいの数値です。



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ところがこの機械。左はフラスコを温めるだけの機械ですが、右はビーカーの中の空気を抜く機械です。
そして実際に空気を抜いてみると〜ブクブクブク。あ!沸騰した!!



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沸騰していたビーカーに空気を戻して、容器に入れてみましょう。どうですか?
・・・冷たい。
圧力が下がると、水は沸騰するということが理解していただけましたでしょうか?



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続いてこの機械。パイプの中に空気を吹き込む機械なのですが、ガラス管が途中細くなっています。
その細くなった部分にパイプを継ぎ足してありますが、勢い良く空気を送るとどうなるでしょうか?



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フッ!
なんと空気を送り込むごとに、下のビーカーから水が吸い上げられます。
これは、説明が難しくなりますが、パイプの径が細いところに空気がやってくると、人間だと狭いところ(出口の扉とか)にくると速度は遅くなるけど、空気などの物質は狭いところでは流速が上がるんですね。



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流速が上がるとエネルギー保存の法則(エネルギーは増えない、減らない)の原則があるので、
「速度のエネルギー」+「圧力のエネルギー」
片側(速度)だけエネルギーが増えることは無いので、代わりに圧力が下がります。
だから、パイプへと水が吸い上げられるんですね。



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では、これを空気ではなく水で同じことをやってみましょう。
左から水を圧力をかけて流してあげると。。。。あ!細い場所を通り抜けると、泡が出来た!



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流速が上がったとき、圧力も急激に低下するので水が沸騰しているんですね。だから泡が出来るのです。
ところが、パイプは元の太さに戻るので、再度圧力は元に戻ります。その時に出来た泡ボコは沸騰状態から水に戻るので、収縮して泡は消えます。この泡がキャビテーションなのです。
ところが、この消える瞬間に泡は消えたり発生したりバウンドして衝撃波を発生させます。
耳をすませてください。なんだか音がするでしょう。
「ジ〜〜〜〜〜」
こればキャビテーションの音です。



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この衝撃波というのは、空気中では1秒に340メートルで進むものが、水だと伝わりが速く1秒で1500メートルも進みます。
この衝撃波の特性を利用したのは、メガネを掃除する機械ですね。



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衝撃波発生装置が搭載されたこの機械は、メガネにつけた汚れなども綺麗に落としてしまいます。



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おもしろいところでは、自然界でテッポウエビだけはキャビテーションを発生させることができます。
ハサミみを「キュ」って閉じる時に、爪の一部にある凸と凹がうまくかみ合って、瞬間に圧力が下がり「パチン!」と音を立てています。



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では、ここからは実験装置を持っては来れないので、映像で見てもらいます。
この水をジェットノズルから噴出させると、やはり泡が発生して音もします。
この泡をアルミにぶつけるとどうなるでしょう?



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それがこちら。泡のぶつかった部分は表面が叩かれたようになっています。この部分は金属分子も押されて粒子が詰まっています。



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さらに、この押す力を均等にかけてあげると。。。



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あ!曲がっている。
泡のぶつかった部分には、衝撃波で金属分子も押されて延びているんですね。だから一枚板でも圧力がかかった方へ出っ張って曲がることになる。なんとこの技術を応用すると泡の力で飛行機の翼も作れるんです。



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このように、キャビテーションというのは不思議な魅力の詰まった泡で、色々と応用が出来るのではと期待されています。
キャビテーションで出来た泡が消えるとき、光も発するんだそうです。ちょっと不思議ですね。



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このように、科学を上手に使えるようにして社会と結びつけてあげる。「工学」とはそのような学問なのです。



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では、皆さんに実際に注射器を使ってキャビテーションを発生させてもらいましょう。
注射器は大・中・小の3種類。さらに、注射器に取り付けるノズルは太いのから細いのまで用意しました。



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これを各自、組み合わせを換えながら水に差して。。。。



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勢いをつけて水を通すと、
「ジ〜〜〜〜」
「こっちは重い」
「ぜんぜん鳴らない〜」
水を通すのに、最適な注射器の太さと、水の通る太さがあるのがわかりましたか!
「おもしろ〜い」



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最後にアンケート。気に入った実験を書いてくださいって質問には、やはりキャビテーション発生が一番多かったかな。



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本日の実験で質問のある人
「普通の泡とキャビテーションの泡の違いはなんですか?」
いい質問ですね。普通の泡は空気ですが、キャビテーションで出来る泡は沸騰した水。だから、同じ泡でもキャビテーションは水で出来ているんです。
そういった工学の不思議なこと、いろいろ知りたいなぁ〜って思ったら、みんな勉強して、がんばって学校で学んでください!
「それでは、先生に、拍手〜♬」

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