日別アーカイブ: 2019年8月12日

夏休みの自由研究にいいかも?キリバスのこと、地球温暖化のこと、SDGsのこと。【サロン講座】


8月4日(日)のサロン講座は、一般社団法人日本キリバス協会代表理事であり、日系キリバス人1世の第1号者ケンタロ・オノさんをお迎えして「夏休みの自由研究にいいかも?キリバスのこと、地球温暖化のこと、SDGsのこと。」を開催しました。

仙台市出身のケンタロ・オノさんは、小さいころから南の島が好きだったそうですが、小学校5年生の時にテレビ番組で初めてキリバスを知り、自分が持っていた南の島のイメージそのままのキリバスにとても衝撃を受けたそうです。


キリバスへのあこがれが強くなり、どうしてもキリバスへ行きたいという思いを遂げるため、高校の時にキリバス領事館へ「キリバスへ留学することに決めました!なんとかしてください!!」と、思いを伝える手紙を出したそうです。
強く願えば、周りの大人は理解してくれます。1993年1月16日、パスポートと片道チケットを持ってキリバスへ旅立ちました。
たくさんの大人の方の協力を受けてキリバスの高校で3年間勉強して卒業後もキリバスに残り、23歳の時にキリバス人になりました。開発コンサルティング会社の設立や国の業務もこなし、2011年の東日本大震災の後に仙台に戻りました。現在はキリバス人としてキリバスの暮らしや現状を伝える活動をしています。

みんなは植物の種と一緒です。大きく育って実をつけるには 土、太陽の光、栄養が必要です。
学校は土、水は先生方、お家の人は太陽、栄養となる肥料は好奇心だと考えています。
故郷やすべてにつながっている海、そしてこの地球を愛する人として育つことを期待してやみません。


太平洋の真ん中にあるキリバスは、首都タラワのあるギルバート諸島のほか、ライン諸島、クリスマス島など海抜2mに満たない33のサンゴの島々からなる国です。
飛行機で3~4日かかります。

「はい、コロボキタイム~~~」…キリバス語で「書く」という意味です。
今日の話はどこの国の話でしょう~~か?

キリバス共和国(以下、キリバス)の“テー・ベー”と呼ばれる布の腰巻姿で登壇したケンタロさんは、「今日、この場にいる方はラッキーです!」と言います。

その理由は…世界の人口70億人のうち、日本には1億2000万人、キリバスにはわずか11万人程で、若林区の人口より少ないのです。キリバス人に会い、キリバス語を聞けること自体が貴重なスーパースペシャルな体験なのです。
ミクロネシア系の人たちの島で、普段はキリバス語で会話していますが、学校の教科書はキリバス語のものはないので英語で勉強しています。


主な産業は漁業で、海の恵みを受け生活しています。

キリバスの食生活は、魚が中心です。キリバスはどこに行っても、青い海と青い空、白い砂浜が広がっています。サンゴの島には土がなく野菜は育ちません。そのため野菜は輸入するしかなく、価格が高くなります。なんと!キャベツ1玉が日本円で約2,000円もするそうです。
キリバスと仲が良い台湾から、砂を改良し家庭菜園を作ることを教えてもらい、現在では簡単な野菜を作って食べることができるようになりました。これこそ地産地消です。


それぞれ考え方、当たり前と思うことが違います。
この写真を見たらどう思う?
会場からは「きれい~」と声が上がります。
でも、キリバスの人は「おいしそう」と思います。


キリバスでは生ごみは家で飼っている豚の餌にするため、ほとんど出ません。
豚も大切に育てみんなで食べます。
ご飯を食べるときには何と言いますか~?
「いたたきます」
食べ終わったら~?
「ごちそうさま」
日本人は「食べ物はいのちで大切なものだ」ということをよく知っています。
でも、残念なことに日本は世界でいちばん食べ物を「ゴミ」にしている国です。「フードロス」とは「命をゴミにしている」ということです。
「もう、やめよう」とケンタロさんは訴えました。


日本とキリバス関係についても教えていただきました。

戦争の時に日本の兵隊さんがジャンケンを子どもたちに教えてくれました。
「サーン ケー ボイ」大会~
最後まで勝ち残った子にはキリバスが真ん中に載っている世界地図をプレゼントでーす。
キリバスには、学校や発電所などの大切な建物が日本の協力で作られており、青年海外協力隊の方々も来てくれています。また、種子島で打ち上げられたロケットを監視するJAXA(宇宙航空研究開発機構)や300人ほどのカツオの1本釣り漁師さんもいます。
世界中のマングローブを研究し、マングローブを植える活動をしている国際マングローブ生態協会の協力もあり、マングローブもたくさん植えられています。

キリバスの人々は、とても環境にやさしい暮らしをしています。
学校には机やいすの他、給食やトイレもありません。教科書もなく、先生が黒板に書いたものを見て子どもたちは勉強します。


引っ越しをするときは、屋根をみんなで支えて移動し、建て替えます。
世界で2番目にCO2の排出量が少ないキリバスは今、地球温暖化で世界中が暖かくなりすぎて海面が高くなってしまって困ったことになっています。


なぜ、地球温暖化が起こっているのでしょう?
石油を使いすぎている、車の乗りすぎでガソリンを多く使っている、プラスチックやペットボトルを使いすぎている、森を壊しすぎてしまった、海を埋め立てすぎてしまった、食べ物をムダにしすぎてしまった…すべて、私たち人間が引き起こしたことです。


日本にいると「地球が暖かくなっても、気温が高くなってもそんなに困ることはないかな~」と思うかもしれません…。

でも、キリバスの島の高さは2m程しかありません。山もありません。島の幅も350m程しかありません。
赤道無台風地帯のため、風がほとんど吹かず、4月から10月は乾季、11月から3月は雨季で、年間の気温差がなく穏やかな赤道気候でしたが、日照りの日が続いたり、大雨が続いたり、海岸が削られたりということが頻繁に起こるようになってきました。


キリバスは台風の赤ちゃんが発生するところに位置しており、今まではあまり影響を受けていませんでしたが、海水温度の上昇により台風の赤ちゃんでも勢いが強くなってしまい、島に波がかぶるようになりました。


2050年には海水面の上昇によりキリバスの首都タワラの8割が海に沈んでしまうだろうといわれており、故郷を失うかもしれないという危機に直面しながら暮らしています。
すでに、住めなくなってしまった場所もあります。


スーパームーンの時、地球と月の距離が近いので月の引力で海水面が引き上げられてしまい、この2~3年は、島中がこんな状況に…


島が小さくなって住めなくなってしまうほかにも、心配なことがあります。

半年あった雨季と乾季の期間もだんだん長くなり、雨季に貯めた雨水は乾季に使い尽くしてしまい、水不足になってしまうことが増えてきました。また、海水の浸水により、地下水の塩分も上がり、小さな子どもの死亡率も高くなっています。


海の温度が上昇するとサンゴが死に、海の生態系が変わります。今まで捕れていた魚が捕れなくなり、毒をもつ魚も増え、食べるものもなくなってしまうのではないかと不安になっています。
大切なヤシの実の収穫もヤシの樹が海水の浸水により枯れてしまい、減ってきています。
このヤシの木は根が枯れてこの翌日に倒れてしまいました。


この問題はキリバスにだけ起こっているわけではありません。
ネパールでも沖縄でも宮城でも、この仙台でも異常気象などの地球温暖化の影響は増えていくだろうといわれています。

緩和策(地球温暖化が起こることを減らすこと)ってなんだろう?
石油(ガソリンやペットボトル)の代わりのものってなんだろう、どうすれば減らすことができるかな…
どうしたら森を大切にできるかな…
どう海を大切にしたら良いのかな…
どう食べ物を大切にしたら良いのかな…

もうひとつの2050年問題として、海のプラスチックごみが海のすべての魚の重さよりも重くなってしまうといわれています。 プラスチックを作るために多くの石油が使われており、すべての魚の重さよりも多くの石油を人間は海に捨てているということになるのです。


日本の東側とアメリカの西側の海にプラスチックごみの「太平洋ごみベルト」というものができています。 そこからキリバスに流れ着くプラスチックごみもあります。


ケンタロさんは言います。 「私たち人間が引き起こした問題は、わたしたち人間が解決しなければなりません。地球を大切にすれば地球は必ず答えてくれます。

30~40年ほど前、日本周辺の海はとても汚れていました。
今は、飛行機から眺めると日本の海はとても美しく、川にはサケやアユが帰ってくるほどきれいになりました。 人間が正しいことをしたら地球は答えてくれると希望を持っています。 夢は絶対かなう!だから僕は希望を持って信じています。


『グローバルに考えてローカルに活動する。』毎日の生活で世界を変えることは絶対にできるし、みんなは世界につながっています


SDGsとは『2030年にはステキな世界にしましょうね!』ということ、その中でも一番の目標は、『みんなで!だれひとり取り残さないで!』ということだと考えています。」


「たまたまキリバスに生まれたこの子たちに『2050年にあなたたちは難民になってしまう、あなたたちの故郷は無くなってしまう』と伝えることができますか?
そんなことを伝えなければならない世の中になってはいけない!すべての子どもたちだれひとり取り残さないよう、一緒に頑張っていきましょう。」

ケンタロさんに質問タイム~。

たくさんの手が挙がりました。
キリバスでのごみの処理はどのようにしているの?
キリバスの平均寿命は?
キリバスのスポーツって?
キリバスの人たちの就職状況は?
キリバスの税金は?などなど。

「2050年にキリバスが沈んでしまったら島の人たちはどこに住むことができるのですか?」の質問には、息をのんでしまいました。 30年後も40年後もずっと、当たり前のように健やかに故郷で過ごせなければ正しくないと感じました 。

講座の後半は、ストップ温暖化センターみやぎの三浦さんによる「エネルギーのカバン」を使った体験学習も行われました。
日本、アメリカ、中国の一人当たりの一日のエネルギー使用量を石油の重さに換算して詰め込んだバッグを持って比べてみました。



重い!

こんなに使っているのかと、驚きでした。私たちの周りには石油で作られたものがたくさんあるんですね…


キリバスの現状を知り、「人間が正しいことをしたら必ず地球は答えてくれると希望を持っています。夢は絶対かなう!だから僕は希望を持って信じています。」というケンタロさんの言葉が強く心に残り、「今、出来ることはもっとあるかもしれない…今、はじめなければ!」と生活の見直しをしたり、家族や友達と話していきたい、また、夏休みの自由研究のテーマとしてもすばらしい講座となりました。

ケンタロ・オノさん、ストップ温暖化センターみやぎの三浦さん、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。 

ケンタロ・オノさんの著書「キリバスという国」の売上の一部はキリバスの環境保全のために寄付されます。

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せんだい環境学習館 たまきさんサロン 
平 日 10:00~20:30 
土日祝 10:00~17:00 
休館日 月曜(月曜が休日の場合は、その翌日)祝日の翌日・年末年始 
8月25日(日)は休館いたします。 
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