過去の講座」カテゴリーアーカイブ

お花を植える土を作ろう!~廃泥土のリサイクル~【サロン講座】

たまきさんサロンスタッフです。

6月29日(土)に「お花を植える土を作ろう!~廃泥土のリサイクル~」と題して、サロン講座を開催しました。

今回は東北大学大学院環境科学研究科 高橋 弘教授を講師にお迎えして、浄水場などで大量に発生し、不要となった泥土を植物用の土へリサイクルする方法や、植物に使うだけではない活用の仕方などを教えていただきました。

まず初めに、浄水発生土がどのようなものなのか、どうして発生してしまうのか、説明していただきました。

普段私たちが飲んでいる水は、浄水場できれいな水に作り変えられ、各家庭に供給されています。

その主な水源となっているのは川や湖などからダムへ運ばれてきた水です。 しかし、ダムの水は水中に小さな土砂や浮遊物などのごみがたくさんあり、そのままでは飲むことができません。そこで浄水場を経由することによって水中の小さな土砂やごみが取り除かれ、きれいな水へと作り変えられています。人間が生きていくためには水を作り続けなければならず、この過程で発生するものが「浄水発生土」です。

宮城県内で1年間に発生する浄水発生土を家のお風呂に溜めた場合、どれくらいになるかというと、10万くらい?5万?3万?と声が上がっていましたが、答えはなんと約2万6千個分!全国では年間100万個分にもなるそうです。

このたくさん出る浄水発生土を何かに有効活用できないかと考えられたのが、今回のテーマでもある、植物用の土としてリサイクルするということです。

いよいよ植物用の土へと変える実験の始まりです!

実際に浄水発生土を用いて作る場合、太陽などの紫外線によって天日乾燥させ、泥の中の雑菌や在来種などの滅菌消毒を行う必要がありますが、今回はそれができないため模擬発生土を使っています。
マスクをつけたら、みんなのテーブルに配られた水の中に模擬発生土を入れ、一生懸命かき混ぜます。

そこに新聞紙などを切った古紙を半分ずつ足しながら混ぜていきます。

古紙が水を吸って重たくなってきても、すべての水を吸うまでひたすら混ぜます。
「重たーい」「手がつかれたー」と声があがる中、みんな頑張って混ぜます。

粘土のようなものができたところで、魔法の白い粉を入れ、また一生懸命に混ぜます。

この魔法の粉は赤ちゃんのおむつにも使われている吸水性ポリマーの粉だそうです。
この粉が水分を吸って、どんどん固く粘り気のある泥になってきました。

ここまでくるともうすぐ完成です。
最後に分散剤をいれると、粘り気のあったものがぽろぽろとしたそぼろ状のかたまりになり、土の出来上がりです。

最初の水はどこかへ行ってしまったわけではなく、できた土をぎゅっと絞ると水分が出てきます。

「この土を使って、お花を植え替えてみましょう!」

今回は「日々草」というお花を植え替えてみます。

きれいに植え替えることができました!

育て方も教わり、これからもきれいな花を咲かせ続けてくれるのではないでしょうか。

今回実験した方法は、浄水場から出る廃泥土処理のほかにも、震災で出たヘドロ処理にも活用され、リサイクルした土は、堤防の修繕や造成に使われているそうです。

セメントに古紙を混ぜ込むと、古紙の繊維がつなぎ役となってより強度が強くなるそうで、実際にどれだけ違うのかのこぎりを使って試してみました。

今回の実験を通して、ごみとなって捨てられてしまうものでも、工夫をすれば立派な原料や材料として使うことができるということを教わりました。

リサイクルは様々なところで行われていますが、普段から興味をもってごみを減らす工夫を考えていけば、地球環境の改善にも役立つのではないでしょうか。 まずは、身近なところから少しずつ始めていこうと思いました。

高橋先生、学生スタッフの皆さん、ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*
せんだい環境学習館 たまきさんサロン
平 日 10:00~20:30
土日祝 10:00~17:00
休館日 月曜(月曜が休日の場合は、その翌日)祝日の翌日・年末年始
      ※8月25日(日)は臨時休館とさせていただきます。
*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*

カテゴリー: 過去の講座, 環境, 環境講座, たまきさんブログ | コメントする

生産者と消費者が一緒に育む、持続可能な食環境を目指して【サロン講座】


たまきさんサロンスタッフです。6月26日(水)に「生産者と消費者が一緒に育む、持続可能な食環境を目指して」と題し、持続可能な食環境をつくる取り組みについてのサロン講座を開催しました。

講師には、畜産農家「むすびファーム」の上野まどかさんをお迎えして、“美味しい食材”がどのようにして作られ、どのように未来へつなげていけばよいのかについて教えていただきました。

講師の上野まどかさんは、宮城県登米市の稲作と畜産の農家のご出身です。
仙台の大学を卒業後、東京の企業に就職。その後、地元にUターン。2016年から実家の農家で黒毛和牛の繁殖と米作りをされています。
また、実家の田んぼをつかって「田植え&稲刈り体験」の企画を立ち上げたり、「東北風土マラソン&フェスティバル」の実行委員をされて、地域を巻き込んだイベントを積極的に行っています。


「はじまり」

上野さんは、生まれた環境が農家でありながら、食べることは好きでしたが、もともとは生産には無関心だったと言います。2010年に環太平洋パートナーシップ(TPP)協定の日本の参加検討が話題に出て来た時に、生産者や企業の意見ばかりがクローズアップされ、実際に農産物を食べる消費者が無関心なことに気づき、報道の世界に興味を持ち新聞社に入社。新聞社時代にお父さまが倒れ自分自身も「食」に関してとても弱い立場にあることを実感し、まず自分自身がちゃんと「農業」と向き合おうと決意します。

そして、農家を継ぐ決意をするもお父さまから猛反対され、まずは「東京で出来ることをやってみよう!」と、広告会社の地域事業部に転職。故郷登米市の農業をベースにした地域活性化事業やお米と仙台牛を使ったお弁当を企画するなど、積極的な活動を開始します。

その後、『東北食べる通信』(定期購読会員向けの食物付きの情報誌)のふるさとプロデューサーとしても活躍されています。



「Uターン」

自分自身も生産者として消費者とつながりたいという思いがますます強くなる中、登米市の実家に2016年にUターンします。
とは言っても、農家の実状をわかっているお父さまは、上野さんが実家の仕事をすることにやはり反対されたといいます。

まず、上野さんの1日の流れを教えていただきましたが、かなりハードなスケジュールに受講者の皆さんは驚いていました。
若い娘がこれをやりたいと言ったら、やはり親としては反対するかもしれませんね。


牛がいる限り、毎日休みなく続くわけですから・・・。


「ブランド牛」

宮城県のブランド牛と言えば、「仙台牛」ですが、全国にはなんと200銘柄のブランド牛が存在するそうです。

まずは、よく目にする和牛のランクについても教えていただきました。


A5・B5ランクの格付けに入っているのは、仙台牛だけということに驚かされました。
仙台牛って、そんなにすごかったんだ!

さらに登米市では、そんな仙台牛の40%位を生産しているということです。

上野さんの実家は、現在、親牛(繁殖雌牛)が11頭と産まれた子牛を飼養している黒毛和牛の繁殖農家です。

排泄物は全量堆肥としてコンポスト化し田畑に撒きます。そこで採れた米や稲わらを牛の飼料にするという循環型サイクルによる稲作と畜産の経営が行われています。どうやら、このあたりがおいしい牛ができる理由のようです。


ちなみに、メスのお肉の方がおいしいということです!


「繁殖」

肉牛の生産には、上野さんのお宅のように繁殖して子牛を出荷する「繁殖農家」と、その子牛を買って肉牛に育てて売る「肥育農家」の2つの生産者が関わっています。
牝牛は生後13ケ月位で種付けが行われ、その後1年1回のペースで5〜10回ほど、子牛を産むそうです。

牛は種付けから始まって(妊娠期間は約10ヶ月)、生まれてからお肉になるまで、2年半から3年という時間がかかります。生まれた時には25㎏~40㎏だった子牛が、10ケ月後に子牛市場に出荷される頃には300㎏位に成長しています。その後さらに1年半〜2年位かけて650㎏~900㎏位(雌と去勢でも大きさは違います)大きさに肥育され、食肉市場に出荷され、400kg〜600くらいの枝肉になります。


「Animal Welfare (動物福祉)」 

これは、初めて聞く言葉でした。このような指針のもとで、肉牛も適切な管理がなされて生産されていたのですね。

上野さんのお話では、牛も5歳児位の知能を持っていて、面倒を見てくれている人をちゃんと見分けられるそうです。


「食べ物をとりまく環境」

食べ物をつくる人も食べる人も、お互いが見えない中で、「食」への意識が低下している状況が、今の食べ物をとりまく環境なのではないのかと上野さんは指摘します。

つまり、「誰が作っている食べ物なのかわからない」「モノとしてだけの食べ物になっている」「誰が食べているのかもわからない」ということです。

それぞれの立場で、かかえている問題点や疑問点を見ると、以下のようなことがあげられます。

これらを解決する手段のひとつとして、生産者と消費者の接点づくりが考えられます。

そこで上野さんは、まず「田植え&稲刈り体験」を企画実施してみました。

これはつまり生産者と消費者を「見える化」することです。

一番身近で毎日食べる食材である「お米」を通して、生産の現場を見てもらう、体験してもらい知ってもらうことで、自分は誰が作った食べ物を食べているのか、自分が作った食べ物は誰に食べられているのかがわかり、そこに絆が生まれ仲間意識が生まれるのではないでしょうか。

CSAというシステムも、生産者と消費者をつなぐ有効な手段のひとつでしょう。

そして、自分の足元である「むすびファーム」から、そして登米から情報を発信していきたい。「農家のロールモデル」になりたいというのが、上野さんの目標です。

都内で仕事をしている時から「東北風土マラソン&フェスティバル」の実行委員としても活動していた上野さんは、Uターンしてからも実行委員として活動しています。


「おいしいの向こう側を伝える」

「東北風土マラソン&フェスティバル」という催しは、マラソン大会を通して東北内外はもちろん、世界中から人を集め、東北の魅力的な「風土」と美味しい「FOOD」を存分に楽しんでもらいたいという主旨のもと誕生した東北と世界をつなぐ企画です。

この催しの中の「東北風土ツーリズム」という催しで、登米の食の魅力を伝えるツアーを企画しています。それが「生産者と味わう仙台牛満喫ツアー」です。


豊かな食材を100年後にも200年後にもつなげていきたいというのが、上野さんの思いです。


そのために、ひとまず生産者と消費者にできることは何でしょう?


「まとめ」

生産者や国、自治体だけが食料について考えていればよいのでしょうか?
食べる人はモノとして消費して、余ったら捨てる。それで良いのでしょうか?

たしかにスーパーには、いつもたくさんの食材が並んでいます。
2011年の震災の時には、あの棚が空っぽになったことを覚えていますか?

例えば、2000年と比べると農業人口は、半分に減っています。日本の食料自給率はカロリーベースで38%です。そして、今まさに問題になっているフードロスは、毎日一人お茶碗一杯分出ています。

未来に向けて、みんなで考えなければならない大きな問題です。

今回の講座では、美味しい食べ物の向こう側にある生産者の苦労や思いを知ることが出来ました。そして、われわれ消費者にも“美味しい食材”を未来に残すために、少なからず責任があるということを教えていただきました。

上野まどかさん、参加者の皆さん、ありがとうございました。


*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*
せんだい環境学習館 たまきさんサロン
平 日 10:00~20:30
土日祝 10:00~17:00
休館日 月曜(月曜が休日の場合は、その翌日)祝日の翌日・年末年始
8月25日(日)は休館いたします。
*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*

カテゴリー: 過去の講座, 地産地消, 環境, 環境講座, たまきさんブログ | コメントする

初めて森歩きをする前に!森の親しみ方を知ろう!【サロン講座】

たまきさんサロンスタッフです。
6月1日(土)のサロン講座は、たまきさんサロンのご近所さまの【青葉の森緑地】からレンジャーの阿部正明さんをお迎えして、自然と接するおもしろさや楽しさを教えていただきました。

まずは、【青葉の森緑地】についてお話しいただきました。


【青葉の森】の中には【化石の森】もあり 掘り返したり、持ち帰ったりはできませんが、見ることができるそうです。


また、いろいろな動物がいるようです。
見せてもらった定点カメラの画像に映っていたのは、「カモシカ」や「イノシシ」、「キツネ」、「ネズミ」、「リス」などなど。


普通に動物たちは【青葉の森】で生活をしているそうです。

運がよければ会えるかもしれない!!!


【青葉の森】のアイドルのヤマドリの「やまちゃん」です。
一時、取材陣に追いかけられ、身を隠していたようです。
一緒に歩いてくれたり、靴をつついたり、人なつっこい子ですが、鋭い蹴爪を持っています。

「やまちゃん」にも運がよければ会えるかもしれません。


散策スタートです。
前日は雨が降り雷が鳴っていましたが、講座当日は晴天となり、気温は23~24℃、湿度もさほど高くなく自然観察を楽しむには絶好の空模様でした。
とはいえ、お日様にあたっていると、じりじりと日差しの強さを感じます。できるだけ日陰を歩くことと、水分補給を心がけます。

クイズ「この葉っぱはなんだ?」

目をつむり、手のひらに置かれた「サンショウ」の葉っぱのにおいを嗅いで当ててもらいました。

お母さま方、さすがです。
「サンショウ」は【青葉の森】にも【たまきさんサロン付近】にも生えています。自生しているのだそうです。


大きな「ブナ」の木の下で去年のブナの実やどんぐり等を拾いました。

青葉山新キャンパス内では、「クマ」や「キジ」「カモシカ」等が目撃されることがあります。

現在は電気柵が設置され、「クマ」達と「人間」との間には境界線がありますが、 もしかしたら、この木の実を食べに来てたのかもしれません…


発見!?


昆虫たちにも会えました。
甲虫は、背中がつやつや、ぴかぴかです。


植物に「アブラムシ」などの小さな虫が集まり、それを狙って「テントウムシ」が現れます。でも、気温が高くなると「アブラムシ」は活動を止めて隠れてしまうため、「テントウムシ」も見つけられなくなってしまうのだそうです。

ミルビンに「テントウムシ」を採集しました。
「観察終わったから、離してあげよう~~」と子どもたちから声が上がります。


これは「ウルシ」です。
肌に触れるとかぶれてしまうので要注意です。


「ゼンテイカ」または「ニッコウキスゲ」とも言います。
【青葉山新キャンパス】内にも自生していますが、なかなか珍しい植物だそうです。


これは「モミジイチゴ」。
完熟すると、濃いめのオレンジ色になり柔らかくなります。
食べてみると、甘酸っぱくておいしいです。

当然、「ムシ」達も食べますし、ひょっとしたら食事中なんてこともあります。


「ムシ」達の家づくりです。
きれいに筒状にしています。
白い泡の家もあります。


幹が「瓜」に似た模様であることが名前の由来の「ウリハダカエデ」。
これは、「ウリハダカエデ」の種です。
まだ、白っぽくピンクかかっていて、みずみずしさがあります。
茶色っぽくなり、水分がなくなり乾燥すると種自身が軽くなり、風に乗ってくるくると飛びます。


阿部さんが、昨年の乾燥した種を持ってきてくれて、親子で「ウリハタカエデ」の種の飛ばしっこをしました。
キャッチするのが難しい、おもしろい飛び方をします。


これは、なんでしょう?

太めのエビフライ・・・?
小さなパイナップル・・・?

正解は、
「リス」が剥いて種子を食べた後の「松ぼっくり」です。


おみやげとして阿部さんからもらいました。
おもしろい形ですね~


「リス」の巣を見せてもらったり、リアルな昆虫のシールのおみやげを貰ったりして 最後は、たまきさんサロンに戻り終了となりました。

他にも、「アリの巣」を見つけたり、「ワラジムシ」を捕まえたりいろいろな発見がありました。
また季節が変わると、違う発見と出会えるのでしょうね。
自然っておもしろいです。

【青葉の森】レンジャー阿部正明さん、ご参加頂いた皆さま、ありがとうございました。


*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*
せんだい環境学習館 たまきさんサロン
平 日 10:00~20:30
土日祝 10:00~17:00
休館日 月曜(月曜が休日の場合は、その翌日)祝日の翌日・年末年始
*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*

カテゴリー: 過去の講座, 環境, 環境講座, たまきさんブログ | コメントする

音(オト)―ク~音を録る者と音を奏でるものに聴く【サロン講座】

たまきさんサロンスタッフです。
5月25日(土)に「音-ク~音を録る者と音を奏でる者に聴く~」と題して、何気ない生活の中で聞き取れていない生き物などの音から生物多様性を感じ、身近な生き物を知ろう、というテーマでサロン講座を開催しました。

講師には、福島大学共生システム理工学類 永幡幸司教授、ゲストにバンド「アンテナ」のメンバーで仙台出身の渡辺諒さんをお迎えし、第1部では永幡先生の講義、第2部ではお二人とのトークディスカッションなどという、二部構成での開催となりました。

第1部が始まる前には、仙台市環境局環境共生課の職員から生物多様性とはどんなことなのか、仙台市が行っている生物多様性保全に関する取り組み、今回開催に至った経緯などが紹介されました。

<仙台市の生物多様性保全に関する取り組み>

仙台市では平成29年度から市にゆかりのある生きものの奏でる音をテーマにした啓発事業「生物多様性保全推進事業~せんだい生きもの交響曲~」をスタート。市民の方に豊かな自然や多様な生きものへの理解と関心を高めてもらうために様々な取り組みを行っています。
その一つとして、仙台にゆかりのある生きものであるカジカガエル、カッコウ、スズムシなどの生きものが奏でる音を録音し、ホームページから無料でダウンロードできるようにしています。この取り組みの際に、今回の講師でもある永幡先生にも、音の専門家として録音にご協力いただいたそうです。

<開催のきっかけ>

2017年に渡辺さんが所属するバンド「アンテナ」がメジャーデビューをするタイミングで、当時Date FMで元サッカー選手の千葉直樹さんとレギュラーを担当していたラジオ番組「サウンドジェニック」内の企画で、ファンやリスナーから自分の身の回りにある身近な音を募集し、それをもとに楽曲を作るということがあったそうです。ファンやリスナーからおよそ200ほどの音が送られてくる中、仙台市の事業にも音の専門家として協力していただいていた永幡先生ご自身も、事業の中で録音したある生きものの鳴き声を応募したところ見事採用され、楽曲が完成しました。

そこで今回お二人をお招きして、当時のお話も含めて生きものや音についてどのような考え方を持っているのか、聞かせていただく機会が実現したとのことでした。

ここで、永幡先生、渡辺さんにも登場していただき、永幡先生が録音した生きものの鳴き声が使われた楽曲を聞いて、カジカガエル、カッコウ、スズムシの内、どの鳴き声が使われているかクイズが出されました。
みなさん楽曲に真剣に耳を傾け、見事正解にたどり着いていたようでした。

クイズの答えでもある生きものとは「カジカガエル」

カジカガエルは鳴き声に特徴があり、「日本一美しい声で鳴くカエル」と言われているそう。環境省が定めた「日本の音100選」には、「広瀬川のカジカガエルと野鳥」ということで選出されているそうです。清流を好むカジカガエルはきれいな水環境がなければ生息できず、大都市の中でも鳴き声を聞くことができるのは、仙台くらいではないかと言われているそうです。

【第1部】

永幡先生の専門分野は環境音響学・サウンドスケープ論ということで、身近な例をあげながら、たくさんのことを教えていただきました。

<サウンドスケープ>
サウンド(音)+スケープ(風景、景観)
R.マリー・シェーファーによる造語で、直訳すると「音(の)風景」「音(響)景観」になります。
この言葉は、世の中的にはバラバラの意味で使われていますが、学術的には個人又は人々が知覚・経験・理解した音環境と定義されているのだそうです。

講義の中でいくつかの課題が出されました

①聞こえた音をすべて書きだしなさい。
参加者同士でお互いに書き出した音について意見交換する様子も見られました。
近くに座っていた人同士でも、書き出した音は意外と違っているようでした。そのことから、音を聞くということは、とっても個人的な経験なんだというようにまとめていました。そして、だからこそ、人々がどのように音を聞いているのかということに着目するサウンドスケープという考え方が、とても大事なのだ、とのことでした。

<フィールド・レコーディング>
フィールド(現場)+レコーディング(録音)
録音したい音が鳴っているところに出向き、録音すること、あるいは録音した音を意味します。
仙台市の生物多様性保全推進事業の一環としても行われていて、場所によっていろんな録り方があるそうです。

ここで再び永幡先生からの課題です。

②これから紹介する街はどこか?
・大都市でありながら、海や山に囲まれた緑溢れる街
・近代的なビルの合間に緑の公園が顔をのぞかせる
・自然と都会が見事に融合した、とても住みやすい環境が魅力的

仙台と答えていた方が多かったようですが、正解はバンクーバー。インターネットでバンクーバーを紹介するページを検索して、そこから持ってきた言葉なのだそうです。 バンクーバーと仙台は似ているところがたくさんあるから、言葉だけ聞くと、区別がつかなくてもおかしくないのだそうです。このことから、風景を伝えるには100の言葉よりも数枚の写真やその土地を象徴する音が有効という教訓が得られます。だから、サウンドスケープの研究をする人は、現場の音を録音することにもこだわる人が多いとのことでした。

生物多様性事業で配信している音もISOのサウンドスケープ調査の規格に基づいて、バイノーラル録音で録音されているとのことでした。バイノーラル録音した音は、ヘッドホンで聞くと、録音した場所にいるかのように聞こえるんだそうです。

録音の仕方には色々な方法があり、特別な研究用途を除けば、決してバイノーラル録音でなければダメだというわけではない。むしろ特定の音だけを録りたいときは、ガンマイクの方がよほどいいし、ICレコーダーに内蔵されたマイクでもいい音で録音ができるとのことです。

ではなぜ配信音をバイノーラル録音しているか?

それは「生物多様性」の大事さを伝えるための事業であるから。
生物は個別の種だけでは生き延びていくことができず、またそれぞれに適した環境がなければ生き延びてはいけない。このことを音で表現するには、個々の生き物が出す音ではなく、それらの関係性を表現する必要があると考えたからとのことでした。
生き物の奏でる音を録音しつづけることで聞こえてくることがある。
市民参加で市内の生きものの声を録音しアーカイブにできると、皆にとっても貴重な財産になりえる。まずは、身の回りの生きものの奏でる声に耳を傾けてくださいというお話でした。

【第2部】
第2部では、お二人のトークディスカッションを行いました。お二人には事前にお互いに聞きたいことをアンケートしており、それを中心に参加者からの質問にも答えていただきました。

まずは永幡先生から渡辺さんへ

Q1メジャー・ファースト・ミニアルバムに仙台の音を入れようと思った理由
→仙台の音だけではなく、SNSでまちの音をというところから。『イダンセ街』も仙台を逆から読んで、もじってできた架空の町。

Q2 (Q1と関連して)音を公募しようと思った理由
→仙台を誇れるものを一緒に作りたい。一緒に足取りを感じながら、歩んでいけるようにと思ったから。

Q3応募された音を作品の中に取り込む中で苦労した点
→苦労はあまりなかった。200あまり応募していただいて、10秒くらいのものもあれば、20分近いものもあった。永幡先生の応募されたカジカガエルの声も長くて、いいところを削り取るのは大変だったけど、テーマに合うように楽しみながらできたし、それぞれの生活を感じられてよかった。

Q4応募された音を聞いて、感じたこと・考えたこと
→永幡先生のお話であったサウンドスケープの通り。アンテナはライブソングがバンドのコンセプト。生活音が前に出てくると、ストレスにも感じられるが、応募されたチャイムや横断歩道の音などは、自分たちを温めてくれる。アンテナの曲もそういうものであり続けること、別な表現として考えられるいい時間だった。

次に渡辺さんから永幡先生へ

Q5音は時に騒音になることもありますが、癒し効果になる音との違いは音量差だけなのでしょうか?
→非常に大きな音は多くの人が騒音と感じる傾向はありますが,すごく小さい音でも騒音になることもあるし、騒音になるかどうかを音量だけで説明することは難しい。私たちが音を聞く時には,これまでの自分の体験とかに基づいて,それぞれの音に意味づけをしている。好ましい音,癒し効果のある音というのも,そういうように,自分のこれまでの体験とかによって形成されていくものではないか。

Q6今まで聞いた中で一番見た目と鳴き声でギャップがあった生きものは?
→白鳥。東北地方に住むまで本物の白鳥には縁がなく、見かけ通りに美しく鳴くものだと思っていた。大学に勤めるようになって初めて聞いたとき、想像とは異なるすごい声でがっかりした。元々、カモの声が好きで、それを楽しみに行った時に初めて白鳥の声を聞いたから、余計にがっかりしたのかもしれない。

Q7音が教育や児童の成長や性格構成などに影響を与えることはありますか?
→軍事基地の周りのようなところで大きな音にさらされて育つと、無気力感をいだきやすい子供が育つという研究があるなど、音が児童の成長に影響を与えることは間違いなくある。大人でも、大きな音を聞くと耳が痛いと感じることがあると思うが、子供は大人より小さな音で耳が痛いと感じるので要注意。耳が痛くなるような大きな音を聞いたら、耳に間違いなく影響がある。また、最近はヘッドホンで長時間音楽を聴く人が増えているが、大きな音でヘッドホンを使い続けると、ヘッドホン難聴になりかねない。電車など騒音のある所でヘッドホンを使う時は、ついつい音量を大きくしがちなので、そういう時はノイズキャンセリング機能のあるヘッドホンを使い、なるべく小さな音で聞くようにするのがお勧め。

参加者からの質問

Q心が落ち着く、心地よいと感じる音は
渡辺さん:自然の音。田んぼのカエルの鳴き声などを聞くと、自分の記憶とリンクして、地元に帰ってきた感じがする。
永幡先生:海の音、波の音。荒浜などによく行くが、遠くでなんとなくなっている波音をぼーっと聞いたりしている。

Q永幡先生に対してアンテナ渡辺さんの声はどんな声ですか
→すごくきれいな声。学生時代に音を録音するアルバイトをしていたことがあり、その時に本当にうまい人は限られているというのを感じていたが、本当にうまい人というのは、まさにこのこと。音程が合うだけでは説得力がないし、その秘密がわかれば自分もうまくなれるのではと思うけど、わからないので研究者になっている。真似のできない素敵な声。きっと、自分の声を冷静にフィードバックしながら聞いているからこそ、素敵な声が出せているのでは。

今回の講座で、改めて仙台にもたくさんの生きものがいるのだということを感じました。 普段の生活の中では聞き逃しがちになってしまいますが、生きものについて考えるいい機会になったのではないかと思います。

永幡先生、渡辺さん、参加者の皆さん、今回司会をしていただきました漆田さんをはじめ関係者の皆さんありがとうございました。

サロン内の展示スペースでは講座当日とその翌日、カワラバンさんによる特別開催として「広瀬川に住む生きもの」の展示も行われており、講座終了後は参加者の方々が興味深く観察されていました。

*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*
せんだい環境学習館 たまきさんサロン
平 日 10:00~20:30
土日祝 10:00~17:00
休館日 月曜(月曜が休日の場合は、その翌日)祝日の翌日・年末年始
*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*

カテゴリー: 過去の講座, 環境, 環境講座, たまきさんブログ | コメントする

バイバイ、レジ袋! ふろしき生活はじめましょう

たまきさんサロンスタッフです。3月17日(日)に「バイバイ、レジ袋! ふろしき生活はじめましょう」と題し、ふろしきの活用法についてのオープンサロン講座を開催しました。

講師には、「ACT53仙台」代表の矢吹真理子さんをお迎えして、レジ袋のことや家庭に眠っているふろしきの活用術について教えていただきました。

講師の矢吹さんは、長年にわたってごみ問題や3R運動の啓発活動にたずさわって来られた方です。
1991年に発足した環境NPO団体「ACT53仙台」は、今年で28年目を迎えられるということでした。現在も勾当台公園で年2回定期的に開催されている「もったいない市」は、市民に浸透した息の長い取り組みとして有名です。

 「プラスチック問題」

 わたしたちの暮らしの中に入り込んでいるプラスチックという、便利だけどちょっとやっかいなものについて、講座のはじめに矢吹さんから講義していただきました。

 プラスチックと言っても、レジ袋、食品トレイ、飲料や薬品などを入れるボトル容器、各種包装梱包容器、衣類ハンガー、おもちゃ、車体に使われる強化プラスチックなど、さまざまな種類があげられます。
では、なぜこんなにもたくさんのプラスチック製品が使われているのかというと、軽くて丈夫で、その上安価だからです。

 では、使用後のことを考えてみましょう。大きく三つに分けられます。

① リサイクル・・・ただし現在は、包装容器のプラスチックに限られています。

② 焼却処分・・・リサイクルできないプラスチックです。

③ 放置・・・その辺に捨てられたプラスチックは、野に埋もれ、あるいは河川から海まで流出していきます。それらは、紫外線や波によって小さく砕かれ、現在海洋での深刻な汚染問題となっている「マイクロプラスチック」生成の原因行為のひとつといわれています。

 私たちは、便利で使い勝手の良い物を、ひとまず使いたがります。

 深刻で大きな問題が起きてからでないと、立ち止まって考え直すことがなかなかできません。環境に配慮した行動をと頭ではわかっていても、なかなか実行できないというのが正直なところではないでしょうか。

 では、同じような使用方法が可能で、お金もかからず、便利で、使いやすい物で代用できないかという発想が、エコな考え方です。さらに、面白いもので楽しめるものならば、やる気も出るし長続きするのではないでしょうか。

そこで、今回の講座では「ふろしき」をとりあげてみました。

「ふろしきの歴史」
スタッフの佐々木さんに、まずふろしきの歴史から教えていただきます。

 ふろしきの歴史は、古く平安時代には物に被せるという使い方がされ、鎌倉時代以降、着替えを包むという使い方になったそうです。「風呂敷」という漢字を当てますが、これはまさに風呂場で着替えを包むという状況を表しています。江戸時代になると、ようやく庶民の間にも広く普及します。

 明治時代になると、広い意味で物を包む道具として使われるようになります。例えば、商品や婚礼品包みなど、文様も「吉祥文様」という縁起物のデザインを施したふろしきが好まれ使われたそうです。

 さて、昭和40年代の高度経済成長期を迎え、大量に物が消費される時代になると、ふろしきに替わって「紙袋」そしておなじみの「レジ袋」が登場して来るようになります。当然、「ふろしき」は、タンスの奥へと追いやられてしまったというのが、日本のふろしきの歴史です。

 平成に入ると、当たり前に普及してしまったレジ袋を削減しようという動きや、いわゆる「脱プラ」のニーズが高まってきました。そこで、眠っていた「ふろしき」に再び登場願ってはどうかというアイデアなのです。

「ふろしき活用術」
 スタッフの佐々木さんと木下さん、岡さんに、ふろしきを使った結び方・包み方を教えていただきました。基本の結び方は二種類。「真結び」と「一つ結び」です。この二種類を覚えておけば、ふろしきを使って何でも包んでしまうことが出来るのです。

<結び方の講習>

 次はいよいよバンダナやふろしきを使って、袋を作ってみましょう。

<バンダナ帽子>

<ポシェット>

<ドロップ・バッグ(肩掛けバッグ)>

 <バルーン・バッグ>

<リュックサック>

<簡易バッグ>

<びん包み>

<箱包み> 

<こんな使い方も!>

 皆さん、「こんな物も出来るんだぁ!」と、かなり興味を持たれた様子でした。
「これは使えそうだね」というお母さんたちの声も聞こえていました。

 最後に、今日の講座で習った結び方を使って、いろんな物を参加者の皆さんに包んでいただきました。短い時間でしたが、講師の先生方も驚くくらい様々な形の物を包むことが出来るようになりました。

 今日の講座では、レジ袋の代わりに「ふろしき」を使って物を入れたり包んだりしながら、誰もが身近な生活の中で楽しく「脱プラ」や「プラスチック削減」に取り組めるということを教えていただきました。このような小さな取り組みが、環境問題を考えるきっかけのひとつとなればいいと思いました。

 矢吹さんをはじめACT53の皆さん、参加者の皆さん、ありがとうございました。

<ふろしき活用術展>


*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*
せんだい環境学習館 たまきさんサロン
平 日 10:00~20:30
土日祝 10:00~17:00
休館日 月曜(月曜が休日の場合は、その翌日)祝日の翌日・年末年始
*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*

カテゴリー: 過去の講座, 環境講座, たまきさんブログ | コメントする

仙台海岸(深沼)の鳴り砂から環境問題を考える!!【オープンサロン講座】

2月24日(日)は、オープンサロン講座「仙台海岸(深沼)の鳴り砂から環境問題を考える!!」を開催しました。

講師にお迎えした、仙台湾鳴り砂探究会代表の早川紘之さんは、仙台湾における砂浜海岸の鳴り砂調査を約15年前から続け、平成17年には、亘理町のわたり吉田浜海岸で鳴り砂を発見しました。


仙台湾とは、宮城県石巻市の黒崎から福島県相馬市の茶屋ヶ岬までを直線で引いた内側にある海岸を言います。
わたり吉田浜海岸の鳴り砂を発見するまでは仙台湾の南側には鳴り砂が無く、「きっと、あるはずだ」という思いで探されていたそうです。


次は、鳴り砂の鳴る条件を知ることで、環境との深い関わりを教わりました。

鳴り砂は足で踏んだり、手でこすったり、力を加えることで音が鳴る不思議な砂です。
外国にも鳴り砂はあり、ミュージカルサンド(音楽砂)やシンギングサンド(歌う砂)と呼ばれています。
鳴り砂には、透明なガラスの原料にもなるキラキラ輝く石英(せきえい)が多く含まれています。
音が鳴る不思議な鳴り砂は、私たちの身近な「仙台海岸」にもあります。


「仙台海岸」とは、北は七北田川河口から、南は名取川河口までの長さ約9.5mにわたって広がる「長浜」と呼ばれる砂浜海岸のことを言います。
「仙台海岸」のほぼ中央に位置するのが、仙台市唯一の海水浴場「深沼海水浴場」です。


仙台湾内の砂浜海岸は、東日本大震災の津波被害を受けましたが、現在では砂浜が元の姿に戻りつつあります。しかし、鳴り砂の鳴り音は完全には復活していないそうです。

昔は日本の砂浜のほとんどが、鳴り砂の砂浜でしたが、海が汚されたり、高度成長期に埋め立てられたりしたため減少し、現在では全国で約30ヶ所だけなのだそうです。そのうち、宮城県内には7ヶ所の鳴り砂の砂浜があります。

 

福岡県糸島市の姉子の浜から宮城県気仙沼市の十八鳴浜、九九鳴き浜までを一直線で結んだ場所に鳴り砂の浜が多いことから、謎の一直線と呼ばれています。科学的な証明はされていませんが、一直線上の山中でも鳴り砂が発見されているのだそうです。


鳴り砂の砂浜は、川の上流にある「石英(せきえい)」を多く含んだ「花崗岩(かこうがん)」や「安山岩(あんざんがん)」の岩石が長い時間をかけて風化し、河川を下って海に出るまでに、柔らかい長石や雲母が土に還り、固い石英粒だけが残り、波によって打ち上げられ白い砂浜を形成しました。

「仙台海岸」の砂浜は、七北田川と名取川の源流である奥羽山脈の泉ヶ岳と神室山の周辺から運ばれました。


鳴り砂は、外から力を加えると、「石英」の砂粒の層が振動して鳴ると言われています。
砂の音が鳴る仕組みについては、未だに科学的に解明されておらず、様々な説が唱えられているそうです。

 

砂が鳴る条件は5つあります!
1、砂の中に粒のそろった石英粒子が約60%以上含まれていること
2、石英粒子の角がとれて、丸みをもっていること
3、砂の中に泥状の成分(シルトという粉状の粘土)が少ないこと
4、砂が常にきれいな海水で洗われていること
5、ゴミの少ない砂浜であること


実際に、いろいろな砂を鳴らしてもらいました。


広瀬川の砂は、石英が沢山含まれていましたが、丸みが無いため鳴りません。

沖縄県読谷村の万座ビーチの真っ白な砂は、サンゴが砕けた砂なので石英が含まれておらず鳴りません。

鳥取県鳥取市の鳥取砂丘の砂は、汚れていたため、鳴りませんでした。


神奈川県藤沢市の江の島片瀬海岸の砂は黒く、砂鉄が含まれているため、鳴りませんでした。

 

 

 

鳴り砂の砂浜でも「4、砂が常にきれいな海水で洗われていること」、「5、ゴミの少ない砂浜であること」が継続出来なくなると石英粒の表面が汚れ、鳴らなくなってしまいます。
汚れた石英粒は、きれいな海水で何度も洗われることで、再び鳴るようになります。
そのため、鳴り砂は環境汚染の度合いを示すバロメーターとも言われているのです。


鳴り砂の鳴る砂浜を守るためには、砂浜で焚火をしないことやごみを少なくすることが大切になります。

最近、環境問題として取り上げられているマイクロプラスチックは、5mm以下の微細なプラスチック破片のことです。
プラスチック製品のごみは太陽にさらされて劣化し、壊れて細かくなっていきますが、限りなく細かくなるだけで消えることはありません。

 

写真は早川さんが海岸清掃で拾ったプラスチックごみです。
仙台海岸では、カキ養殖用のパイプの漂着ごみが多くみられるそうです。


海鳥や魚など海で生活する生きものにとっては、海面を浮遊する小型生物に見えることからエサと間違え食べてしまい、体内で消化できず胃にたまってしまいます。さらに、その魚をエサとしている生きものもマイクロプラスチックを摂取することになります。

 

マイクロプラスチックのごみは、鳴り砂が鳴らなくなるだけではなく、生態系にも関わる問題でもあるのです。
ごみを捨てないことが1番ですが、捨てられてしまったごみは拾うしかありません。
細かくなってしまう前に拾うことが大切になります。


早川さんの定点調査では、鳴り音を5段階に分けて記録しています。
A(◎)かなり良く鳴る
B(〇)良く鳴る
C(◇)やや鳴る
D(◆)あまり鳴らない
E(▲)全く鳴らない

 

深沼海水浴場付近の調査では北側の砂が平成22年には、「Cやや鳴る」でした。
平成23年から27年までは防潮堤工事のため、調査ができませんでしたが、平成28年から再び調査をはじめ、平成28年は「E全く鳴らない」、平成29年は「Dあまり鳴らない」でした。昨年の平成30年には「Cやや鳴る」に変化が見られたそうです。
海の水や砂浜がきれいになった証です。


また、早川さんは定点調査を続ける中で、砂浜の砂が移動していることに気づいたそうです。
蒲生干潟への車両進入禁止の木柵を基準にした記録写真を見せていただきました。
場所:蒲生干潟
左側撮影日:平成16年4月22日
右側撮影日:平成16年9月16日

台風や高潮などで、高さ約2mほどの変動があることが分かります。


では、実際に砂を鳴らしてみましょう!

全国各地の砂浜の砂をご用意していただきました。


砂を鳴らす道具は、丸みのある“おちょこ”と“単三乾電池”です。
おちょこの半分くらいまで砂を入れ、単三乾電池のマイナス側で砂を押します。


「キュッキュッ」と音が鳴ると、どこの砂なのかを確認しあいながら鳴り砂の歌声を聞く体験をしました。


鳴り砂が環境汚染のバロメーターであることを知り、いつまでも鳴り砂が残る環境が続くように、これからひとりひとりが出来ることを考える講座となりました。

 

 

早川さん、参加者の皆さま、ありがとうございました。


*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*

せんだい環境学習館 たまきさんサロン
平 日 10:00~20:30
土日祝 10:00~17:00
休館日 月曜(月曜が休日の場合は、その翌日)・祝日の翌日・年末年始

*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*

カテゴリー: 過去の講座, 未分類, 環境, 環境講座, たまきさんブログ | コメントする

先人の知恵、和紙を知ろう!~にこにこ紙漉き体験付き~【サロン講座】

たまきさんサロンスタッフです。

2月16日(土)のサロン講座は、「先人の知恵、和紙を知ろう!~にこにこ紙漉き体験付き~」と題し、手すき和紙工房 潮紙 の塚原英男さんを講師にお迎えして和紙の技術と素材について教わりながら、紙漉き体験をしました。


紙の歴史は古く、約2,000年前に中国の蔡倫(さいりん)という方が発明したと伝えられています。
服の糸(繊維)を集めて漉いて紙を作ったことが始まりでした。当時の紙は、洗濯機のくずとりフィルターの中に溜る繊維を乾かしたものでした。


「紙」という漢字は「糸」と“薄く”という意味をもつ「氏」という字を合わせて出来ています。
紙の技術のほかに漢字も中国から日本に伝わってきたことが分かります。


中国から伝わった紙ですが、字を書きやすいように改良したのが日本の和紙です。
日本でいつから紙漉きが始まったのかは定かでありませんが、奈良の正倉院に1,200年前の和紙が保管されていることから、日本の和紙の歴史も1,200年以上前からあることが分かります。

和紙の原料になる木は、「こうぞ」、「みつまた」、「がんぴ」があり、それぞれ繊維の長さが違うため、用途が変わります。

繊維が長く1㎝ほどある「こうぞ」は、マスキングテープの原料になっています。ピッと切れ味が良く、指で簡単に切れるのは「こうぞ」の繊維の特徴を利用しているからです。
お札に使われている「みつまた」の繊維は6㎜ほどあり、繊維が絡み合い丈夫な紙になります。「がんぴ」の繊維は3㎜くらいで、あぶらとり紙などに使われています。


紙の色ってどんな色でしょうか?と聞かれたら、何色を思い浮かべますか?
白を想像する方が多いのではないでしょうか?
木の皮で出来ている和紙は、真っ白にはなりません。私たちが普段使っている用紙は、白が多いですが、それは薬品を加えて白くしています。


塚原さんが作っている、原料の「こうぞ」が和紙になるまでを教わりました。


「こうぞ」の原木を刈り出して大釜に入れ、2時間から2時間半蒸して皮を剥きます。
剥いだ皮を一昼夜水につけ柔らかくなったら刃物で黒皮と白皮に分け、白皮を木灰(あく)やソーダ灰で煮て不純物を取り除き、流水で洗い流します。


その後、白皮を水に浮かべて、手作業で細かい塵を取り除いていきます。
塵を取り除いた白皮の繊維をたたいて細かくほぐすと、ようやく紙漉きの下処理が完了です。
丁寧に手を加える作業は、一工程ずつそぎ落としていくことで雑味をなくし、澄んだ状態にする日本酒や和食と似ています。


ここからは、実際に紙漉き体験をしながら教わりました。
今回体験するのは「貯漉き(溜漉き)」といわれる、厚めの和紙を作る技法です。

丸い型を顔の輪郭と見立て、目、鼻、口の色紙のパーツを入れて“顔のコースター”を作ります。


水に浸した、「こうぞ」が入ったバケツの中を手でぐるぐるかき回すと、指に繊維がくっついて離れません。
これでは、紙が作れなさそうと不安です!


そこで塚原さんが取り出したのは、ねばねばした液体でした。
このねばねばは何でしょうか?
「のり?」「納豆!」「お米?」「オクラ!」
沢山の声が上がりました。
納豆では、紙ににおいがついてしまいそうですね。


答えは、オクラのねばねばと似ている、「トロロアオイ」という植物の根の部分から取り出した粘液でした。
ご家庭で紙漉きをする際は、オクラをざく切りにした後に水に浸して取り出したねばねばを入れて紙を漉くことも出来るそうです。

次は、紙を漉く道具「簀桁(すげた)」を使います。
今回は、丸い紙を漉くためにオリジナルの簀桁を用意していただきました。


簀桁の外側と内側の輪をしっかり持って、水と「こうぞ」「トロロアオイ」の入ったケースの中にがばっと入れます。すくったら10回ぐるぐる回します。
下から水が落ちなくなるまでじっと待ちます。
丸く回すことで、繊維がいろんな方向へ絡まり、強度の強い和紙になります。


四角い紙を漉くときは前後にゆするので、繊維が一方向に整い、繊維の方向に割くと破れやすく、反対方向からは破れにくい紙になります。

ぽたぽた水滴が落ちなくなったら、色紙を使って顔を作ります。


目、鼻、口のほかに、ひげやサングラスのパーツもあり、迷いながらもそれぞれの顔ができました。


顔が完成したら、今度はすこし霞がかかる程度に原料を入れて、色紙を閉じ込めます。
今度は水滴が落ちなくなるまで、回さずにじっと待ちます。

水滴が落ちなくなったら、水抜きです。


タオルを押し当てて水抜きをします。
コツは、最初はやさしくぽんぽんとタオルを当てて、2回目からはぎゅっと力を入れて水を取り除きます。
指で押しても水がびゅっと出なくなったら
完成です!


かわいいお顔が出てきました!


それぞれのお顔が出来上がりました。


窓などに貼り、日光に当てて乾燥させると出来上がりです。
和紙は濡れても乾かせば元通りになります。


コースター1枚には、木を蒸して、皮を剥いで、不純物を手作業で取り除いた「こうぞ」約2本分が使われています。


世界で一つだけの和紙のコースターを作りながら、字が書きやすい和紙を作り出した日本の技術と天然素材を知ることができました。

塚原さん、参加者の皆さま、ありがとうございました。


*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*

せんだい環境学習館 たまきさんサロン
平 日 10:00~20:30
土日祝 10:00~17:00
休館日 月曜(月曜が休日の場合は、その翌日)・祝日の翌日・年末年始

*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*

カテゴリー: 過去の講座, 環境, 環境講座, たまきさんブログ | コメントする

絵本de生物多様性【サロン講座】

たまきさんサロンスタッフです。
最近、あちらこちらで耳にする「生物多様性」ってなんでしょう?
絵本を通して身近な自然環境に目を向けるサロン講座「絵本de生物多様性」を1月27日(日)に開催しました。

「生物多様性」に関する絵本6冊を、ヴォイストレーナー&ヴォイスパフォーマーの荒井真澄さんに読んでいただき、その絵本に関する「生物多様性」の解説を仙台市環境共生課から行いました。


今回、荒井さんに読んでもらった絵本です。
1冊目「みんなうんち」(作:五味太郎 出版社:福音館書店)
2冊目「たったひとつのドングリが―すべてのいのちをつなぐ―」(作:ローラ・M・シェーファー/アダム・シェーファー/フラン・プレストン=ガノン/せなあい 出版社:評論社)
3冊目「たんぼレストラン」(作:はやしますみ 出版社:ひかりのくに)
4冊目「999ひきのきょうだいのおひっこし」(作:木村研 絵:村上康成 出版社:ひさかたチャイルド)
5冊目「よーくかんがえるカエルくん」(作:いわむらかずお 出版社:福音館書店)
6冊目「クマと少年」(作:あべ弘士 出版社:ブロンズ新社)

はじめに、仙台市環境共生課から「生物多様性」とは、生きものたちの豊かな個性とつながりのこと、そしてわたしたちの豊かな生活を支えてくれる大切なものであるということをご紹介しました。


1冊目の絵本は「みんなうんち」です。生きものたちは、姿かたちだけじゃなく行動もみんな違うというところに注目して聞いてみましょう。

歩きながらだったり、あちらこちらでだったり、決めたところでだったり、水の中でだったり、おとなも、こどもも、すべての生きものはうんちをします。

食べたものを体の中で消化して、いらないものをうんちとして体の外へ出しますが、
うんちは出しておしまいじゃなかった!
うんちを食べて栄養補給する生きものがいたり、木の実を食べた生きものの、うんちから発芽してお引越しをする植物がいたりします。
人間界でも、奇跡の肥料として扱われたり、エステサロンで使われたり、高級なコーヒーになったりするのです。

さて、2冊目の絵本、「たったひとつのドングリが―すべてのいのちをつなぐ―」はゆたかな個性とつながりのことに注目してみてください。

読んでいただいた後、ウクレレで弾き語りをしていただきました♫


この本の中にあるFSCマークを説明していただきました。
FSCは世界的な森林認証マークです。
長期的に適切に管理され守られた森林から作られた紙や机などの製品が増えていき、購入が進むことによって、森林を守っていくシステムのマークです。
絵本や紙袋やティッシュ、その他ノートやえんぴつなどもあるので、お家へ帰ってから探してみてください。

もっと身近な「生物多様性」のおはなし、3冊目の絵本は「たんぼレストラン」です。
たんぼを舞台に生きものたちの豊かな個性、つながりを考えてみましょう。

たくさんの生きものが登場しました。カエル、ザリガニ、サギ、カルガモ・・・全部で75種類、とても忠実に描かれています。
人間が作った環境にもこんなにたくさんの生きものが、つながりあって生育しているってすごいことだと思いませんか?
食べたり、食べられたりの食物連鎖、大事な生きもの同士のつながりです。

ちょこっと休憩です。
♫手遊び歌3曲をウクレレで歌っていただきました。


4冊目のおはなしは「999ひきのきょうだいのおひっこし」です。

わたしたちが生きていく上では、たくさんの生きものたちとの出会いやつながりで溢れています。カエルの一生の一部をカエル目線で垣間見てみましょう。

世界中でカエルが減ってきています。
陸地と水辺が無いと生きていけない、環境の変化に弱い生きものです。
カエルがいなくなると、カエルを食べている他の生きものや、カエルが食べている生きものがいなくなってしまう。自然の中のバランスが崩れてしまうのです。

そして、5冊目は「よーくかんがえるカエルくん」です。

登場するのはカタツムリ、チョウチョ、クマ、ウグイス、トンボ、イノシシ、タンポポ、キノコなどなど、共通点って何だろう?カエルくんは考えています。

共通点は「みんな生きている」。
大事なことです。
地球は46億才、最初に生まれた命がいろいろな場所に合わせて、生きやすいように体を進化させてきました。地球上にいる生物は、今は約3000万種とも言われています。

6冊目は「クマと少年」です。

クマは森を育てるのに大事な役割を果たしているといわれています。北海道のヒグマが川で鮭をとり、森で食べる、その食べ残しが土壌を豊かにしているともいわれています。
北海道で昔から住んでいる人たちがヒグマとどのような暮らしをしていたのでしょうか?

最後に一曲、歌っていただきました。
「クマと少年」とリンクし、「共に生きる」をより強く感じられ感慨深いものとなりました。

「生物多様性」というと難しく感じますが、いろいろな生きものたちと共に生きていくことなんだと絵本をとおして学ぶことができました。
荒井真澄さん、ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました。

 
 
 

*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*
せんだい環境学習館 たまきさんサロン
平 日 10:00~20:30
土日祝 10:00~17:00
休館日 月曜(月曜が休日の場合は、その翌日)祝日の翌日・年末年始
*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*

カテゴリー: 過去の講座, 環境, 環境講座, たまきさんブログ | コメントする

生き残ってきた“在来作物”と未来に残す“種”のおはなし ~ちょっぴりお味見~【サロン講座】

たまきさんサロンスタッフです。
1月19日(土)に「生き残ってきた“在来作物”と未来に残す“種”のおはなし~ちょっぴりお味見~」と題し、在来作物についてのサロン講座を開催しました。講師には、野菜ソムリエプロ、フードコーディネーターのカワシマ ヨウコさんをお迎えして“在来作物”を未来に残す大切さを教えていただきました。


講師のカワシマさんは、野菜ソムリエプロの資格を活かし、市民講座などの講師、コラムの執筆、宮城県の朝の情報番組などでも活躍中の方です。
また「みやぎ在来作物研究会」を立ち上げ、在来作物の存在を広く知ってもらうためにオープンセミナー「知る 続く 在来作物プロジェクト」や「みやぎの在来作物を食べる会」も開催していらっしゃいます。


「在来作物ってなに?」

まず在来作物の定義ですが、「ある地域で、世代を越えて、栽培者自身が自家採種などによって栽培・保存を続けながら、生活に利用してきた作物」としています。 また「種とり」だけでなく、「焼畑」「やとい」などの農法、あるいは保存方法なども含めて受け継がれてきた作物のことを在来作物といいます。
生態学的な意味での在来種とは異なります。何万年も前から続いてきた種という意味ではありません。せいぜい二、三世代に渡る四十年から五十年という時間の中で継承されてきたものを指します。
作物には、野菜を始めとして穀物、果樹、花卉(かき)なども含まれます。またその土地その地域における固有の農法や保存方法なども含めた広い意味での「在来作物」と考えてください。


「在来野菜と伝統野菜の違い」


・「伝統野菜」は、自治体や生産・流通者の団体などがブランド化を目的として、栽培地域、栽培暦、品質基準などを設定して認定した在来野菜のこと。
・「在来野菜」は、自家採種を繰り返すことで、地域の自然環境と人々の嗜好にかなう固有の形質が選抜・固定された野菜のこと。

このことは、新しく導入された作物でも、愛着を持って世代を越えて自家採種が続けられれば、その地域の在来作物となり得るということを意味し、地域の作物の多様性を保全するための定義でもあります。

簡単に示すと「在来作物>在来野菜>伝統野菜」という位置づけになります。
伝統野菜の例として、仙台市内の余目地区で栽培されている曲がりねぎで「余目ねぎ(あまるめねぎ)」と呼ばれているねぎを見せていただきました。このねぎは、曲がった背の部分に皺が寄っているという特徴があります。


「野菜ってなに?」

いつも身近にあって普段から見慣れ、毎日食べている野菜ですが、そもそも野菜ってなんでしょうか?
野菜は「草のもの」、果物は「木のもの」などとよく言われています。
野菜は、もともと「野生の植物」の中から、人間が食べられるものを選び、食べやすく改良してきたものです。
おなじみの野菜でも、原種と考えられるものを見ると、種が多かったり、細かったりして、あまり食べられる部分がなく、最初はとても食べづらいものだったことがわかります。スイカ バナナ、トウモロコシ、ニンジンの原種は、今身近に出回っているものとは外見からしてずいぶん違っています。
例えば、キャベツの野生種からは、いろいろな種類の野菜が誕生しました。
葉が大きく変化したものが、現在目にすることができる「キャベツ」や「ケール」です。芽が球状に変化したものが、「芽キャベツ」、花(つぼみ)が大きく変化したものが、「カリフラワー」や「ブロッコリー」なのです。


「いつ生まれたの?」

人間が農耕を始めた頃から「野菜」が出現していたと考えていいと思います。
中国では1万5千年以上前から稲作が行われ、シリアでは紀元前9千年頃から麦が作られていたようですから、かなり古い時代から野菜は人類と共に在ったと言えます。地域によって、栽培に適した野菜の種類も違っていました。
中国:ネギ、ハクサイ、ゴボウなど
インド:キュウリ、ナス、サトイモなど
地中海周辺:キャベツ、エンドウ、アスパラガスなど
アンデス:トマト、ジャガイモ、ピーマンなど
今では、DNAを調べることや遺跡の中から発掘される種などから、どんな種類の作物がどこで作られていたのかがわかります。


「日本生まれの野菜は?」

日本にも昔からあった野菜があります。
フキ、ウド、ミツバ、ワサビ、アシタバ、セリなどです。
やがて、交易が始まると、海外から多くの野菜が入って来ました。
1世紀頃までに、ゴマ、サトイモ、ニンニク、ラッキョウ、ヤマイモ、トウガンなど
古墳時代までに、ナス、キュウリ、ササゲ、ネギなど
古事記・日本書紀が編まれるまでに、カブ、ニラ、マクワウリ、ジュンサイなど
江戸時代から明治時代に、タマネギ、トマト、ニンジン、ピーマン、ジャガイモなどが海外からもたらされました。
以上は古い文献の記述によってわかるものばかりですが、実は今では残っていないような野菜の記述もされています。残念ながら消えてしまった野菜もあるのです。
また、海外から入って来た野菜は、初めの内は献上品の珍物や観賞用だったものが多く、広く栽培されて庶民が食べられるようになるのは、ずっと後のことです。


「宮城の在来作物」

主なものをあげてみます。

・大島かぶ(おおしまかぶ/気仙沼市大島地区)
・ミョウガタケ(みょうがたけ/名取市下余田地区)
・余目ねぎ(あまるめねぎ/仙台市余目地区)
・森合浅葱(もりあいあさつき/白石市森合地区)
・白石在来(しろいしざいらい/白石市森合地区)
・飯野川せり(いいのがわせり/石巻市河北町飯野川地区)
・長下田うり(なげたうり/登米市石越町長下田地区)
・土手菜(どてな/登米市豊里町)
・鬼首菜(おにこうべな/大崎市鬼首地区)

同じ宮城県内に住んでいても、初めて名前を聞く作物も多く、自分自身が在来作物というものをほとんど知らないで暮らして来たということに驚かされました。



「ちょっぴりお味見」


在来作物と言っても、地域限定のものがほとんどなので、なかなか手にすることも口にする機会もないのが現状です。
そこで今回は、カワシマさんが登米市豊里町二ツ屋地区に伝わる在来野菜の試食を用意してくれました。


・「しもふりささげ」霜が降りる時期まで収穫が出来るインゲン豆です。

・「くらかけまめ」種皮が馬に鞍をかけたような模様に見えることからこの名前がついています。


・「けの汁」豊里町二ツ屋地区に伝わる伝統郷土料理で、1月16日の小正月に墓前にお供えし精進料理として食べるそうです。手間暇かけて14日位からつくり始める料理で、十数種類の野菜と豆腐だけでつくられています。どんと祭も行われ、正月最後の行事を締めくくる料理です。「けの汁」は青森県や秋田県の伝統料理にも同様のものがあり、かつては東北地方で広く食べられていた郷土料理なのかもしれません。

今回は三品試食させていただきましたが、何だか素朴で懐かしい味でした。舌の記憶として残っていた味が甦るような不思議な味わいでした。ごちそうさまでした。


「在来作物と生物多様性」

なぜ自家採種を続けて来たのか?

①美味しいから
②子供の頃から食べてきたから
③食べる人の喜ぶ顔が見たいから
④先祖代々伝わってきた種を、自分の代で途切れさせてしまっては申し訳ないから

環境の変化に順応して生き残って来た在来作物たちは、このような食べ物や種に込められた想いと共に、これからも地域の自然環境に適応変化しながら残っていける可能性を秘めています。


「種をとり、残していくこと」

自家採種の良いところは、

①作物への愛着が生まれる。いい作物を守ってきたという自尊心も生まれる
②人と人とをつなぐ信頼の証し
③固有文化と多様性の保全。風土に順化(適応)した品種の確立
④食料の自立。食の根源を人任せにしない

在来作物は、種をとり残していくことによって、これからも地域の行事食のような形で食文化と共に生き残っていけるはずです。


「まとめ」

今回の講座では、土地や気候変動に合わせ変化しながら生き残ってきた“在来作物”を未来に残す大切さを教えていただきました。
在来作物は、流通している商業品種と同じ作物であると同時に、その地域固有の歴史や文化、栽培方法なども付随した知的財産でもあるのです。「生きた文化財」とも言われています
それにも関わらず、在来作物は普段の生活の中ではなかなか目にすることも出来ないような希少なものとなって来ています。
その原因として考えられることは、限定された地場物や時期物である在来作物にくらべて、商業品種の方が収穫量も多く、病気にも強いからです。また、商業品種の方が日持ちも良く形が均一であることが、流通上作物の痛みが少ないということもあります。購入する消費者の側からも、色や形など見た目がきれいで、味にもクセが無くて、万人向けに作られている商業品種の方が好まれる傾向にあるのは否定出来ません。
さらに、生産者の高齢化が進み、生産量が減少しているだけではなく、種(たね)の存続さえ危ぶまれているのが現状です。
将来、文献の上だけにしか残らないような作物にしないように、まず在来作物というものをもっとよく知り、次の世代まで継承していければ、食べ物の多様性ももっと広がることでしょう。地域に根ざした作物や種を守っていくことの大切さを教わりました。

カワシマ ヨウコさん、みやぎ在来作物研究会の皆さん、参加者の皆さん、ありがとうございました。


*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*

せんだい環境学習館 たまきさんサロン
平 日 10:00~20:30
土日祝 10:00~17:00
休館日 月曜(月曜が休日の場合は、その翌日)・祝日の翌日・年末年始

*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*

カテゴリー: 過去の講座, 未分類, 環境講座, たまきさんブログ | コメントする

マルハナバチって、どんなハチ? ~カードゲームとお話で楽しむ、ハナバチと花の世界~ 【オープンサロン講座】

たまきさんサロンスタッフです。12月22日(土)のオープンサロン講座は、遊びながら、マルハナバチの生態を学べるカードゲームの「まる花札」を制作された東北大学生命科学研究科 学振特別研究員RPDの小林知里さんと大野ゆかりさんにお出でいただき、「マルハナバチって、どんなハチ?~カードゲームとお話で楽しむ、ハナバチと花の世界~」を開催しました。


「ハナバチ」と言えば「ミツバチ」を連想される方が多いのではないかと思いますが、実は「マルハナバチ」も私たちの身近にたくさん住んでいて、重要な花粉の運び手なのです。
「マルハナバチ」だけに花粉を運んでもらえるように形を特化した「マルハナバチ媒花」というものまであるのだそうです。


まずは、大野さんから「マルハナバチ」から見る生物の多様性についてお話をしていただきました。

「マルハナバチ」ってどんなハチ?


かわいいと思うチャームポイントはおとなしくて、ちょっとドジで、食いしん坊、毛がふさふさとしていて丸っぽく、比較的大型で1~2㎝の大きさです。
普通の「ハチ」はひとつの花を取り合うのですが、「マルハナバチ」はみんな集まって仲良く蜜を吸っている光景をよく見かけます。
「蝶」に肩を組んでいるように手(足?)をかけ、蜜を吸っている姿を見ることもあるそうです。


おとなしく、ほぼ攻撃することはなく、威嚇行動は、ばんざいをして体を大きく見せることなのだそうです。
また、働きすぎて、ハゲてしまう頑張り屋さんの「マルハナバチ」もいるそうです。
ヨーロッパでは「ミツバチ」よりもポピュラーな「ハナバチ」です。


見分けるのはちょっと難しく、外来種も含め日本には16種が生息しています。


「クロマルハナバチ」の特徴はちょっと毛が短めで、黒いのはメス、オスは黄色と黒のシマシマでおしりがオレンジの派手なすがたをしています。


「マルハナバチ」は、「花粉かご」を持つ真社会性のハチです。
「花粉かご」とは足に長い毛があり、ここに「花ふんだんご」をいれるのだそうです。「マルハナバチ」のほかに「ミツバチ」、「シタバチ」、「ハリナシバチ」がいます。
「真社会性」とは「働きバチ」が「女王バチ」の子育てを手伝います。「マルハナバチ」のほかに「ミツバチ」、「ハリナシバチ」がいます。「マルハナバチ」はその中でも寒い地域に生息する種類になります。


土の中に巣を作り、1年でコロニーが終わってしまうのだそうです。
「女王バチ」は春先に冬眠から目覚め、一匹で土の中に巣をつくり、蜜や花粉を集め卵を産みます。
そこから生まれた子供たちが「働きバチ」になり、「女王バチ」を助けるようになると、「女王バチ」は卵を産むことに専念できます。
ここまではみんな女の子なのです。秋になると男の子が生まれ、「新女王バチ」と交尾をするのですが、そのころには「新女王バチ」を除くほかのハチは皆 死んでしまうのです。そして「新女王バチ」だけが冬眠に入るのだそうです。


「マルハナバチ」は頭が良く、サッカーをするそうです。人が訓練すると、「ボールが来るとゴールする」ことを覚えるのだそうです。
むずかしい花の形や色や、花の色の変わり方を覚えなければならないためです。


「マルハナバチ」によって舌の長さが違い得意な花が変わってきます。


お話しのまとめとして、生息数が減少傾向で、保全の対象になっている「マルハナバチ」のために、わたしたちにできることを教えていただきました。

その1、「まる花札」でお勉強しましょう。
その2、「マルハナバチ」が好きな花を育ててみましょう。
少し難しいですが、近隣に咲いているハチが好きな花の種を一部とって育ててみましょう。苗を抜いてしまうとその花は枯れてしまうので、生態系をくずさないようにしなければなりません。また、外来種には注意を払うことが大事です。
その3、【花まるマルハナバチ国勢調査】に調査に参加してみましょう。
写真を撮って「hanamaru.maruhana.870@gmail.com」へ送信することで、日本国内での「マルハナバチ」の現状を把握することができます。
ぜひご協力をお願いします。
講座終了後に【Hanamaru Maruhah Project】(ホームページ)を見てみました。その中では日本国内の「マルハナバチ」の分布をみることもできました。


さっそく、小林さんに教えてもらいカードゲーム「まる花札」で遊んでみました。
なぜ、花が咲くのかというと、花粉を運んでもらって種を作らなければならないのです。運んでもらうための広告塔が花なのです。種をたくさん作るためには、花をたくさん咲かせてたくさんのハチに働いてもらうことが大切なことなのです。


「まる花札」は24種類2枚ずつで48枚の花カードと、6種類のマルハナバチのカードがそれぞれ2~3枚、花粉カードや蜜いっぱいカード、捕食者カード、天候カードがあります。
花カードの下部にマルハナバチの種類ごとに色分けされて「好き度」が記してあります。


まずは練習です。

場札はハチカードです。「コマルハナバチが飛んできました。」
手札の花カードから、場札として飛んできた「コマルハナバチ」の好きな花のカードを選び「せーの!」で、花の名前を言いながらいっせいに出します。
「かたくり、好き度4」、「とちのき、好き度7」、「りょうぶ、好き度2」、「ふじ、好き度2」、「ぎんりょうそう、好き度2」など全部で13種類ありました。
「コマルハナバチ」は好き嫌いがあまりないようです。場に出そろった手札の花カードの中は「とちのき、好き度7」が勝ち!となり、「とちのき」カードを出した人の獲得札となります。
「好き度」と表しましたが、「ハチ」の種類ごとにどのくらいその花を訪れるか、その頻度を数値化したのだそうです。


「オオマルハナバチ」は舌が短いハチなので花が長くて蜜まで舌が届かないときに、花に穴をあけて蜜だけ取り、花粉は運ばない「盗蜜」をします。
「こばぎぼうし、盗蜜マーク好き度3」「たにうつぎ、盗蜜マーク好き度4」「つりふねそう、盗蜜マーク好き度4」盗蜜マークのカードは勝った人の獲得札とはならず「流れ札」となります。

「マルハナバチ」の生態と花との関係がわかりますね。
ゲームとしての駆け引きも味わえます。
場札や手札が無くなったら終了で、獲得札の「ハチカード」「花カード」の種類の多い人の勝利となります。


さて応用編です。

「花いっぱいカード」「花粉カード」「蜜いっぱいカード」と「捕食者カード」を加えてみましょう。
「花カード」と組み合わせて使うカードですが、「花いっぱいカード」「花粉カード」「蜜いっぱいカード」は加点カードです。
例えば「しろつめぐさ、好き度8」を出した人と、「しろつめぐさ、好き度8」と「蜜いっぱいカード+2」を一緒に出した人とでは「蜜いっぱいカード」を一緒に出したひとの勝ちとなります。


そして「捕食者カード」、どの「花カード」とも組み合わせて使える危険マーク感のあるこのカードを出した場合は「好き度」が一番低い人の勝ちとなるのです。
「マルハナバチ」の捕食者である「おおすずめばち」と「しおやあぶ」は、「マルハナバチ」がたくさん花に集まるとそれを狙ってやってきます。
そして食べてしまうのです。好き度が高い(人気の高い)花は危険性が高いということを表しているそうです。


さて、本番です。



「花いっぱいカード」、「花粉カード」、「蜜いっぱいカード」と「捕食者カード」が入ると白熱します。

今回は時間の都合で応用編2までしかできませんでしたが、「ペアカード」や「天候カード」を使用する応用編4まであります。


大野さんが連れてきてくれた「マルハナバチ」です。とてもかわいらしい風貌です。

「まる花札」は対象年齢8歳以上で東北大生協理薬店(仙台市青葉区)にて1,800円でお取り扱いしているそうです。また、別途送料が掛かりますが、”大阪自然史博物館友の会ネットショップ(http://omnh-shop.ocnk.net/product/1705)”でもお取り扱されているそうです。


カードゲームで夢中になるほど「マルハナバチ」の種類やそれぞれの生態系を知ることができ、「マルハナバチ」はかわいらしい身近の生物であり、わたし達とのかかわりを考えさせられる内容となりました。
小林知里さん、大野ゆかりさん、参加者の皆さま、ありがとうございました。


*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*
せんだい環境学習館 たまきさんサロン
平 日 10:00~20:30
土日祝 10:00~17:00
休館日 月曜(月曜が休日の場合は、その翌日)祝日の翌日・年末年始
*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*‥*

カテゴリー: 過去の講座, 環境, 環境講座, たまきさんブログ | コメントする