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第10回気象サイエンスカフェ東北~わが町の気候変動 どうやって予測する?~【オープンサロン講座】

たまきさんサロンスタッフです。

11月16日(土)にオープンサロン講座として、「第10回気象サイエンスカフェ東北~わが町の気候変動 どうやって予測する?~」を開催しました。
講師に東北大学大学院理学研究科の 山崎 剛 教授を迎え、ファシリテータを日本気象予報士会東北支部の 杉山 公利 支部長に担当いただいての開催となりました。

気象サイエンスカフェは、参加者と気象の専門家が同じテーブルを囲み、1つのテーマについてお茶やお菓子をつまみながら語り合い、楽しく理解を深めることができるイベントで、10回目となる今回は、「地球温暖化」をテーマに開催しました。

グループごとのディスカッションに入る前に、山崎先生から気候変動や温暖化についてのお話をしていただきました。

21世紀末に向けて温暖化への対策が必要だと言われていますが、極地に近いほど気温が上がりやすく、上がり方も場所によって違いがあるそうです。

また、気温測定の多くは都市部で行われていることから、地球規模での温暖化以外にも都市化したことによる温暖化の影響もあるのだとか・・・。

気温だけでなく、降水量の観点からも温暖化の影響を知ることが出来ると先生は言います。

雨が降った日数自体は徐々に減りつつあるのに対し、1日に100mm以上降った大雨の日は徐々に増えつつあります。東北を含む北日本では、これまで豪雨が少なかったために大雨に対して弱いところがありますが、滝のように降る雨(1時間に50mm以上)の年間発生率は今後、高くなるという将来予測もあるそうです。

温暖化を悪化させないために今できること、やっていかなければならないこととして、二酸化炭素の排出削減や、省エネや再生可能エネルギーを使うようにするなどの緩和策、それでも起きてしまった・起こりつつある場合の対策、対処療法としての洪水や台風に対する水害対策、農作物の適地適作化などがあります。

2018年12月に「気候変動適応法」が施行されたことで、信頼できる予測をもとにそれぞれの地域でも計画を立てて強化を図ることがより大切になってきました。

そんな温暖化の予測、実は現在の天気予報と同じように、地球を縦と横のサイコロ上にし、それぞれの場所の温度や風、温室効果ガスの値などをコンピュータで計算して行われています。

しかし、地球全体を扱うには膨大な計算をしなければならず、また、地域で考えるにはまだまだ粗いためにダウンスケーリングという手法が用いられています。

ダウンスケーリングを用いることによって、よりたくさんの予測データを扱うことや、原理的には元データに含まれないさらに小さなスケールを表現することができるようになる一方、解像度を上げることで計算時間が急増してしまうために限られたものにしか適用できないのだそうです。

文部科学省の事業である、気候変動適応技術社会実装プログラムのモデル自治体7つのうち、長野県と岐阜県を対象に農業や防災、生態系、人口減少などの分野でダウンスケーリングを用いながら、東北大、気象庁気象研究所、防災科学技術研究所が共同の取り組みを行っています。

山崎先生のお話を聞いた後は、それぞれのテーブルにて山崎先生や専門家の方々を交えながら、ディスカッションを行いました。

活発な意見交換が行われ、ディスカッションの最後には、それぞれのテーブルで出た意見や質問に答える形で、山崎先生から再びお話をいただきました。

気候変動や温暖化に限らず、将来予測の精度向上に向けては、専門家の方々も日夜努力中なのだとか。そんな日々のご尽力のおかげで、天気予報や防災の危険度マップといった私たちの生活になくてはならない情報が発信されているのです。

気候変動も温暖化も地球規模の大きな問題ではありますが、まずは自分の住んでいる地域や身近な場所の気候がどう変化し、今後どんな変化が予想されるのかということに関心を持って、できることから始めていくことも大事なのではないかと思いました。

山崎先生、杉山さん、日本気象学会東北支部の皆さん、日本気象予報士会東北支部の皆さん、そしてご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

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歩くひと~歩くことで見えてくること~【サロン講座】

たまきさんサロンスタッフです。10月27日(日)に「歩くひと~歩くことで見えてくること~」と題し、海や山といった自然の中や街なかを歩くことで得られる新たな発見や出会いの魅力を、「歩き」の達人たちから入門編として学ぶサロン講座を開催しました。

講師には、「東京スリバチ学会」会長の皆川典久さん、「青葉山・八木山フットパスの会」の内山隆弘さん、「NPO法人みちのくトレイルクラブ」事務局次長の板橋真美さんをお迎えして、環境科学研究科棟二階大講義室にて、それぞれの活動の様子や歩きの魅力について教えていただき、最後には参加者の皆さんも交えてのトーク・セッションで締めくくりました。

「挨拶」

近年、シニア世代を中心に「山歩き」や「街歩き」が盛んに行われています。これは、単に健康志向のための「ウォーキング」とは違い、地域の自然や街なかを歩くことで、新たな発見や人との出会いを楽しもうという、より積極的な活動になっています。

今回の講座では、活動されているフィールドが違う三人の講師の方をお招きして、それぞれのフィールドの魅力と、そこを歩くひとたちについて語っていただきます。


「青葉山・八木山フットパスの会」

まずご登壇いただいたのは、地元であるここ青葉山を中心に歩かれている「青葉山・八木山フットパスの会」の内山隆弘さんです。「青葉山・八木山フットパスの会」の皆さんには、催しのたびに「たまきさんサロン」を休憩地点や座学の場としてご利用いただいております。青葉山から八木山を歩かれているだけあって、皆さん健脚揃いでいつも驚かされています。

青葉山や八木山が地学的にも史学的にも非常に重要な研究フィールドであるということを、初めて教えてもらったのも「青葉山・八木山フットパスの会」のパネル展からでした。
本日も、「ガイドパネル」が会場に展示され、多くの参加者の目を捉えていました。


「歩くことで道ができる」とは、至言です。そこから考えると、多くの人々が長い年月をかけて歩き続けて来た道が今に残っているわけです。
その痕跡をたどるという「歩き」を通して、我々は時間や空間を超えて、在りし日の風景を幻視することが出来るとも言えるでしょう。

そして、フットパス(散策路)でつながる新たな道も見えてくるように思えます。


NPO法人みちのくトレイルクラブ

「みちのく潮風トレイル」とは、2011年の東日本大震災後、持続可能な地域づくりを目指すと共に豊かな自然と地域の暮らしを未来に引き継いでいくために、故・加藤則芳氏の提唱を受け、環境省によって策定された「グリーン復興プロジェクト」の取り組みの一つです。

2019年6月9日に全線開通した、青森県八戸市から福島県相馬市までの4県28市町村にまたがって太平洋沿岸を一本の道でつなぐ全長1,025kmのロングトレイルです。

自然と人との関わり方を考えるために、「自然の中を歩くこと」で「人と自然」「人と人」とのつながりを感じ、自分自身の中に新たな「言葉」を発見していくという行為と言ってもよいかと思います。
トレイルの魅力というのは、歩く速度で普段の目線の高さで自然や人と関われることと、自分の足で歩くということで得られる充実感や達成感なのかもしれません。

また、ルートは地域住民も交え決めていくため、地元でしか知られていない古い道の復活やその地に遺された記憶の風景、さらに絶景が楽しめる道などが設定されていることも魅力のひとつとなっています。

「みちのく潮風トレイル」全線を統括し、拠点となっているのが「名取トレイルセンター」です。ここには、トレイルの管理を委託されている「NPO法人みちのくトレイルクラブ」のスタッフが常駐し、ハイカーのサポートをはじめとして、トレイルに関する情報発信の拠点としての役割だけではなく、「歩く」ための各種講習会の開催、地域住民との交流の場にも使用されています。今回講師をお願いした板橋さんも、こちらのスタッフです。

トレイルは、まだ日本では海外ほど盛んではありませんが、まだ見ぬ景色を求めて潮風を感じながら無心に歩く旅をする「歩くひと」が増えることを願ってやみません。


東京スリバチ学会

NHKで2015年7月に放送された『ブラタモリ』仙台編によって、皆川さんの名前を知った方も多いと思います。

スリバチ・・・つまり谷地形のことです。これを探るために、皆川さんは「東京スリバチ学会」という学会まで立ち上げた方です。

宅地開発が進んだ都市部では、古い地形はどんどん均されていって往年の名残をとどめていないのが現状です。それでも、土地の高低差は残り、暗渠化されても川は残り、何らかの痕跡をその場にとどめているものです。皆川さんたちは、それを探っているのです。

「昔、ここはどんな風景だったのか?」「その当時の人はどんな風景を見ていたのか?」という素朴な疑問から、町がどのように発展していったのか、変わらなかったものは何かが見えてくるのだと思います。

皆川さんからほぼ毎週活動されているということを聞き、驚きました。雨だろうと雪だろうと、とりあえず集まって、自己責任で歩き出す。
そのエネルギーとバイタリティが凄い。

東日本には、各地にスリバチ学会が増殖中だそうです。東北にも「宮城スリバチ学会」「秋田スリバチ学会」ができて、盛んに活動中ということでした。

スリバチ学会、おそるべし!です。


「洞穴小ばなし」

本日の司会を務めている、たまきさんサロンスタッフの私も、実は長年、洞穴探検を趣味にしております。

皆川さんの「スリバチ」地形に触発されて、余談ながら小ネタを用意させていただきました。

洞穴(特に鍾乳洞)関係の探検においても、スリバチ地形は非常に重要なアイテムの一つになっています。

地図記号の「おう地」。この記号が狭い地域に集中して多数記されている場所があります。

それは、鍾乳洞で有名な秋吉台です。実際に現地で見てみるとわかりますが、地面がきれいなスリバチ状にくぼんでいます。これは、その地下にある石灰岩が崩落し空洞ができて地面がくぼんだことを現わしているのです。多くは土没しているので、このくぼみから直接地下世界へ入れるとは限らないのですが、地下に鍾乳洞が存在するかも?というひとつの指針にはなります。

そんなわけで、洞穴探検家はこんなスリバチ地形「ドリーネ」にとても惹かれているのです。


「トーク・セッション」

今回の企画を発案した時に、同じ「歩き」でありながらもフィールドが違う講師をお招きすることになるので、この機会にぜひ対談も組み込みたいと思いました。

(司会者)まず、環境学習施設のたまきさんサロンとして、聞いておきたい問題点があります。それは、歩くことで見えてくる「環境問題」についてです。例えば、過剰な開発による景観の破壊やごみ問題などなのですが、いかがでしょうか?

(内山さん)青葉山は、かつてはお城の水源として大切に守られてきた場所であったのですが、今、青葉山を歩くと、残念ながらごみの不法投棄が目につくようになってしまっています。これは、人が歩かない場所だからこそ捨てられているとも言えるかもしれません。

(司会者)人の目が当てられ、道がきれいに整備されていれば、ゴミも捨てづらいということですね。

(内山さん)青葉山もかつては土の道がかなり多かったわけで、災害のことを考えれば整備も大事なことではありますが、アスファルトの道に整備されてしまうことで、土の道が持つ価値観というものを損ねてしまうということになるのではないかとも思っています。

(皆川さん)仙台では「四ツ谷用水」がいい例ですが、歴史的な痕跡がまだまだ残っている場所があります。忘れられ、あるいは気づかずに整地され失われてしまうのは非常に残念なことです。もっと町の中に眠っているお宝に気づいて目をかけて欲しいですね。

(司会者)開発や整備、景観や遺構の保全の問題は、大きな課題だと思います。

(皆川さん)最近は、水害をはじめとして水の悪い面ばかりが注目されていますが、水と人、水と街との関わりを、もう一度見つめ直すような街歩きを仕掛けていきたいと思っています。

(板橋さん)山と海とのつながりを体感できる「みちのく潮風トレイル」の場合、短い道のりの中でコースが山に入ったり海岸沿いの道になったりしますが、車が入って行けるような林道沿いには大型のごみが不法投棄されていたり、海の入り江にはプラスチックごみが打ち寄せられているのを目の当たりにします。

(司会者)海洋プラスチックごみの問題は、世界規模での大きな環境問題になっています。

(板橋さん)残念に思ったハイカーがごみ拾いをする。歩くことが環境を整備するきっかけにつながっていくということを感じます。

(司会者)先生方が活動されている中で、「歩くひと」としてこの先どんな「野望」を持って歩みを進められていくのかお聞きしたいです。そのためには、乗り越えねばならない壁もたくさん見えていると思います。その辺りも含めて教えてください。

(内山さん)青葉山・八木山には魅力的な場所がたくさんありますが、どうしても避けて通れないのが事故の問題だと思います。いつも自己責任での参加ということを強調していますが、山歩きをする以上は常についてまわる問題です。

(司会者)保険は各自で加入しているのですか?

(内山さん)参加費の中からイベントごとに強制加入にしています。とはいえ、保険ではカバーしきれない事故が発生する可能性があるということです。

(司会者)洞穴探検の場合も企画者がその都度、強制加入しています。

(内山さん)あと問題なのは、道の所有者が誰か、誰が管理する土地なのかということがあります。

(司会者)私有地とのからみですね? どこでも自由に入っていけるわけではない。

(皆川さん)八木山は所有者の許可を取って歩いているわけですね? 国有林の中は自由に歩いてもいいのですか?

(内山さん)「八木山治山ガーデン」という名前があるのですが、そこは自由に歩ける場所です。

(内山さん)危険に対する自己責任の意識や土地の所有・管理区分といった問題は、たしかに大きな壁ではありますが、「歩く」ということの価値を共有することで乗り越えていくという方法もあるのではないかと思っています。

(皆川さん)スリバチ学会としての野望は特にないのですが、地形や水というものに着目して街の魅力を発見するということは、どこの地域においても汎用的に通用する方法論だと思います。そんな趣味を持って街歩きをやってみたいという方は、ぜひお声がけいただきたいです。実際に歩くことやマップづくりをしながら地形ファンを増やしていきたいと考えております。

(司会者)もう一度、『ブラタモリ』を仙台に呼ぶとか?

(皆川さん)今のところ私が出る予定はないのですが、番組の方から私の方へ「何かネタはないですか?」と連絡が来るので、裏の方では動いております。近々、秋田スリバチ学会の会長さんが番組に出演される予定になっておりますので、楽しみにしてください。

(板橋さん)私たちは、ようやく繋がったこの「みちのく潮風トレイル」の道が、最低でも百年は長持ちして続くようにしたいと考えています。それは、道が途絶えないようにすること。そのためには、道の管理を一定の水準で皆さんが安心して歩けるようにし続けることが大切だと思っています。

(司会者)板橋さんは、何か大きな野望は抱いていないのでしょうか?

(板橋さん)個人的なことになりますが、この1,025kmという道を制覇したいと思っています。実はまだ400 km位しか歩いていないのです。

(皆川さん)素朴な疑問なのですが、トレイルは誰でも気軽に歩けるものなのですか?

(板橋さん)基本的には既存の道をルートとして使っているので、街なかを通る道だと普通の恰好でも歩けます。ただ、ルートによってはそれなりの装備や計画が必要になってくる場所もあります。まずは、全線の地図の中から自分の体力や興味にあった場所を選んで歩かれるといいと思います。

(司会者)道の整備のお話が出ましたが、どのような形で行っているのでしょうか?

(板橋さん)行政、NPOが主体となって、ボランティアの方を募って整備をしています。また、登山道などは地域の方々にも整備にご協力いただいています。

(司会者)内山さんの会でも整備をされていましたよね?

(内山さん)金剛沢市有林の道沿いに参加者の足形を型どった標識を置いたり、今年の春には空き地を借りて手作りの公園「青葉山フットパーク」という公園を作りました。

(司会者)そういった整備は何を財源としているのでしょうか?

(内山さん)フットパークについては「緑の環境プラン大賞」という都市緑化機構という団体がやっている賞に応募し、100万円をいただいたので材料費にあてました。労力はすべてボランティアによりますが、そういう地道な作業もまた道に愛着を持ってもらうということにつながると思っています。歩くイベントで来たのが、いつの間にか雑草取り大会に変わっていたなんてこともよくあります。

(司会者)それはそれでいいことですね。何をするにもお金は必要なものなので、イベントのたびに基金や寄付をお願いするというのも、ひとつの手かもしれません。

(内山さん)ガイドマップなども作って販売し、売り上げをプールしておくこともしています。

(司会者)道を整備することによって、多くの人が歩けるようになる。それが、また道の保全につながっていくということでしょうか。

(参加者からの質問)環境省のトレイル、県の宮城オルレなどがあるが、横のつながりはどういうふうになっているのでしょうか?

(板橋さん)今のところ、横のつながりはまだ出来ていない状況ですが、先日も鳴子に新しいオルレのルートが出来ていますし、今後同じ道を歩く仲間として一緒にイベントなどが出来るようになればいいと思っています。

(司会者)仙台市としては、例えば四ツ谷用水の跡を歩くツアーなどを毎年開催していますが、まだ国や県とのつながりは出来ていない状況なので、今回のような企画を通して可能な部分では連携していければよいと考えております。


「まとめ」

今回は座学ではありましたが、いろいろな視点から「歩く」ことの魅力をたっぷりと学べたと思います。同じ風景を見るにしても、違った視点から眺めて見ることで、それまでとは違うものが見えてくるとは、よく言われていることです。

また、歩くことで道ができ、保全にもつながっていくということを学びました。

参加者の中には、まだ「歩き」を本格的に経験されていないという方も多かったのですが、いただいたアンケートには「実際に歩いてみたくなった」という感想が多く寄せられていました。講座企画者としては、うれしい限りです。

例えば、地形や地層、動物や植物、遺跡や化石、自然環境や街並みの変化など、実際にその現場に立ってみないと見えてこない風景があります。そんな新たな風景を求めて、時に時空間をも超えながら、「歩くひと」は旅を続けていくのだと思います。

まずは、近所の散歩からでもいいので、気楽に一歩踏み出してみましょう!

講師の先生方が書かれた本や資料は、たまきさんサロンにも置いてありますので、興味のある方はぜひ読んでみてください。

皆川さん、内山さん、板橋さん、そして参加者の皆さん、ありがとうございました。

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<三陸世界>を考える~災害と向き合う暮らし~【サロン講座】

たまきさんサロンスタッフです。10月19日(土)に「<三陸世界>を考える~災害と向き合う暮らし~」と題し、南三陸町に暮らす人々が、自然災害も含めた「自然環境」とどのように向き合ってきたのかについて社会学的に学ぶサロン講座を開催しました。

講師には、宮城教育大学准教授で歴史社会学を専攻されている山内明美先生をお迎えして、今後ますます退縮化していく地域社会にあって、ひとつの突破口としての社会体系の再構築の可能性について教えていただきました。

講師の山内明美先生は、宮城県南三陸町入谷のご出身です。
昔から自然災害が多く発生してきた三陸沿岸部の農村漁村を研究フィールドにして、そこで暮らす人々が、いかにして繰り返し襲ってくる災害と向き合い乗り越えてきたのかなどについて、社会学的に調査研究されています。


「はじまり―自己紹介―」
山内先生の研究の発端は、南三陸町で農家を営む父親から子どもの頃にもらった「三角田んぼ」だったのかもしれません。
「自分で食うコメは自分でつくれ」という教えだったそうです。形が悪く耕作機械も入れられず、米を作るといっても、すべて手作業で行わなければならない効率の悪い田んぼだったのです。
それでも150kgくらいの米はとれ、中学生が一年間食べる量にはなったといいます。


「三陸世界とは何か?」
1993年、先生が高校生の時に起きた、いわゆる「平成の大凶作」と呼ばれる災害では、三陸沿岸部の作況指数は「28」だったそうです。
この米の作柄を示す数値は、通常平年並みの収量だと一反(10アール)の田んぼからとれる米は500kg~600kgのところ、20kgしか取れなかったことを表しています。時代が違えば餓死者が出たり、身売りが出て村が全滅していたかもしれません。
多感な時期にあった先生にとっては、農家の現実と直面せざるを得ない衝撃的な体験だったはずです。

東北地方、とりわけ三陸沿岸地域の歴史は、自然災害と向き合い続けてきた歴史といっても過言ではないくらいです。地震、津波、台風、大雪、冷害・・・といった自然災害に頻繁に見舞われ、多くの犠牲と悲惨な傷痕を人と土地の記憶に刻みつけてきました。

それでも、人々がこれほど災害の多い場所にずっと住み続けているということは、自然災害のたびに土地や海を「手当て」しながら、生きるための暮らしの風景をつくってきたといえるのではないでしょうか。
その暮らしの姿と精神をとりまく世界観。それが三陸世界だと先生は考えています。


「世界の農村風景」
世界に目を転じ、現在でも「天水田(てんすいでん)」が一般的なインドやアジアをまわって、その土地で行われている農業を観察すると、そこに日本の農業の原風景を見出し、機械化された近代農業にはない知恵に気づかされます。


「インドの天水田」

多種多様な穀物を混ぜて植えることによって、たとえ米が不作だった場合でもアワ、ヒエ、タロイモなどのどれかが生き残ればいいという考え方です。
日本のように市場で人気のある単品種だけを大量に作付している場合のリスクを、改めて考えさせられます。
機械化と品種の均質化が進んだ近代農業技術が先進的とばかりも言えないのかもしれません。


「インドネシア・バリ島の棚田と稲の神」

バリ島の天水田では、水争いを避けるため、世界遺産にもなっている「スバック(水利組合)」のような組織で貴重な水を管理し、さらにヒンドゥー寺院の水路を必ず通すことで、「神様と一緒に米をつくる」という神事化された意識を強く持って農業を営む国もあります。


「ネパールの田園風景」

丘陵地の狭い土地を最大限に活かした農業では棚田がつくられ、水田の中に住居がぽっかり浮いているような、不規則ではあるが、ある種の美しさを持った田園風景が広がります。
耕作機械に合わせて田んぼの区画を整えていないゆえの美しさでしょうか。
機械化農法が進んだ日本では、ほとんど失われた風景です。


「ネパールの田植祭り」

男たちが泥田をこね、女たちが苗を植え付けるという、国民的なお祭りとして大々的に行われる儀式としての田植えは、自然と人との一体感を表わしているものです。


「生業世界とは」
生業(なりわい)世界とは、海や山といった天然資源と向き合う暮らしであり、近代資本制からはみ出た部分での生きる術を持ったもう一つの社会体系と言えます。
つまり、農業や漁業という生業は、単に食糧を生産するだけの労働として存在しているのではなく、海や山との関係性のなかで、生きる景色を生みだす仕事のことです。


「10軒で500年続いてきた三陸の村の話」
そこで、ひとつのヒントとなる事例の紹介です。

南三陸町歌津に「払川(はらいがわ)」というたった10軒の限界集落があります。歴史は古く、登山口に位置し修験者の受入れ集落として500年間続いて来た集落でもあります。

外側から見た価値観では、「何もない集落」「不自由な暮らしをしている集落」という印象を抱きがちです。確かにコンビニもスーパーも自動販売機さえ無く、携帯電話も繋がらない僻地であり、直感的に不便をイメージしてしまうかもしれません。

実は、この集落では年間およそ300種類の食料が自給自足されているのです。これは、都市部のスーパーよりも種類が多いことになります。

実際にこの集落の住民は、何の不自由も不足も感じず、「集落全体で一つ」というとてもバランスのとれた世界を形成し暮らしているのです。


「奉一切有為法躍供養也」(いっさいの ういほう おどり くよう たてまつる なり)
南三陸町戸倉水戸辺に建てられている鹿子躍(ししおどり)の供養塔には、このような碑文が記されています。
意訳すると、「この世の森羅万象のすべて、諸行無常のすべてを、躍って供養します」という意味です。

この石塔には、過去50年間くらいに起きた天災のことが記されてあります。ここからは、災害の悲惨、困苦に対し、地域の人々がどのように向き合って来たのかということが読み取れます。

まず、亡くなった人を供養するだけではなく、森羅万象のすべても含めて供養するという考え方です。
災害が起きた時に、その原因である「自然」とどういう政治的交渉をするかということでは、生業世界に生きる人々は「神と交渉する」という生きる技術を持っています。
まず神と対話し、災害を生じさせた神の怒りの原因を探ろうとします。
そして、神事としての作法上、動物(鹿)の姿に扮装し、躍り、すべてを供養するのです。

自然との一体感や共生観から生まれた自然との交渉手段としての芸能が「鹿子躍(ししおどり)」なのです。


 「鹿子躍(ししおどり)の供養塔と碑文」


「毎年8月14日早朝にお寺に奉納される水戸辺の鹿子躍」

「まとめ」
将来の東北の姿を想い描く時に、そもそも寒冷地に適さない熱帯、亜熱帯地域原産の栽培植物である稲が、しかも災害が絶えない東北の地で改良を重ね、自然災害と向き合いながらも集中的に栽培されるようになった経緯から考えてみる必要がありそうです。

日本の米の自給率が100%になったのは、1960年代半ばになってからで、実はそれまでは輸入に頼っていたのです。
逆に1970年代には減反政策が始まり、余剰米の発生、米価の下落、農業人口の減少、若者の農村離れといった現象が起きました。

例えば、現在の日本のように人口減少による労働人口の減少など多くのリスクを抱え込んで退縮化していく傾向にある社会では、これ以上の経済成長は望めず、労働が報酬に見合っていないという状況になって来ています。

エネルギー依存型の利益追求のための効率化社会のほころびが見えてきた今、ゆきづまった社会のひとつの突破口として、我々は自分たちが本当に必要だと思うものを自給するという当たり前のシステムを、もうひとつ別の社会体系として考え直してみるべき時期にきているのかもしれません。


今回の講座では、農業や漁業といった「生業」が大事なのは、それらが単に農産物や海産物を生産収穫するという労働にとどまらず、土地や海という自分たちをとりまく世界に働きかけながら、「生業」という文字通り、いのちそのものを産み出す暮らしも兼ね備えた仕事だからなのだということを学びました。

山内明美先生、参加者の皆さん、ありがとうございました。

山内先生が書かれた本は、たまきさんサロンにも蔵書がありますので、興味のある方はぜひ読んでみてください。
・こども東北学(イースト・プレス発行)
・「辺境」からはじまる―東京/東北論―(共著)(明石書店発行)


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「ヤギに会いに行こう!~人と動物との支えあい~」【サロン講座】

たまきさんサロンスタッフです。
9月14日に「ヤギに会いに行こう!~人と動物との支えあい~」と題して、サロン講座を開催いたしました。今回の会場は、たまきさんサロンではなく、サロンのご近所さんでもある宮城教育大学にお邪魔しての開催となりました。
講師には、宮城教育大学 教授 齊藤千映美先生をお迎えして、ヤギのこと、人とヤギとの関係性についてなど教えていただきました。

まず初めに、ヤギとはどんな動物なのか参加者の子供たちからも意見が出る中、齊藤先生からお話をしていただきました。

それでは早速移動して、ヤギやウサギ、烏骨鶏に会いに行きます!

こちらは最年長ヤギのつよし。ヤギは大体10年近く生きるそうですが、つよしは現在9歳。人間で考えてみると、おじいちゃんヤギなのだそうです。そんなつよしはどんぐりも大好き。秋、大学内に落ちているどんぐりを手のひらにのせてあげるとバリバリと美味しそうに食べるそうです。

学生さんと力比べのようにお相撲をとっている姿も見ることができました。

こちらはゆきみちゃんともきちくん。1年前は子ヤギだったゆきみちゃんともきちくんもぐんぐん成長中。

そして、今年生まれたばかりのかしわちゃんとよもぎくん。まだ固い歯が生えていないため、固い茎などは食べられないそうですが、かしわちゃんはきゅうりも大好きだそうで、水分補給代わりに美味しそうに食べていました。

烏骨鶏やウサギのつくしちゃんともふれあいを楽しみました。ウサギはとてもおとなしく、毛もふわふわとしていました。

そんなヤギたちにも好き嫌いがあるそうで、下の地面に生えている草よりも木などの枝についている葉っぱの方が好きだったり、草によっても食べたり食べなかったりするそうです。おいしい草を見分けているのでしょうか?

ふれあいの最後にヤギ小屋の前で、記念撮影も行いました。

生き物たちと触れ合ったあとは、ヤギたちとお散歩がてら再び教室までもどります。
途中ちょっと寄り道もして、草をむしゃむしゃ食べるつよし。

お散歩の途中にしたフンも学生の皆さんたちがきれいにお掃除してくれました。

教室に戻ってから、ヤギについて気付いたことは?と齊藤先生からの質問に対して、子供たちからは子ヤギの毛はふわふわだけど、大人の毛は堅かった。強いヤギもいれば、やさしいヤギもいた。人の気持ちのようにヤギにも気持ちがあるのだと感じた。などたくさんの意見がありました。

今度は、先ほどふれあった烏骨鶏の卵やヤギのミルクを使って、ホットケーキとチーズ作りですが、その前にヤギのミルクをみんなで試飲しました。今回初めて飲むという方がほとんどのようでしたが、牛乳にも味が似ていて美味しかったです。

チーズ作りにもヤギのミルクを使いたいところなのですが、少し高価なため今回は牛乳を使っています。それでもチーズが簡単に作れることに驚きました。

ホットケーキ作りには、チーズを作る過程で出来たホエーを使います。ホエーと烏骨鶏の卵を使うとより膨らむそうです。手際よく美味しそうなホットケーキが出来あがっていました。

最後に齊藤先生から、まとめのお話をしていただきました。

1991年にアルプスで発見された約6000年前の「アイスマン」のミイラ。その「アイスマン」が着ていた衣服にもヤギの皮が使われていることが分かり、はるか昔から人々の役に立ってきたようです。ヤギはミルクや食肉を提供してくれ、皮は衣服以外にも手袋やお財布などの皮製品に、毛は高級なブラシやカシミアセーターなどにもなります。また、草を食べて草刈りをしてくれ、そのフンは肥料にもなります。まさにエコな生き物。そして穏やかで、好奇心の強い動物なので、ふれあい動物園では人気者として活躍しているそうです。

ヤギと比べて一度にたくさんのミルクを提供してくれる牛のおかげで、今の日本ではそれ以前に比べると、ヤギを飼っている人はとても少なくなったそうです。しかし、ヤギのミルクはアレルギーになることが少ないことから、近年増加傾向にあるとのことでした。

今回ヤギやウサギ、烏骨鶏とのふれあいを通して、人々の生活にいかに役立っているのかを学べたのではないかと思います。また、ヤギにかかわらず生き物も人間と同じように幸せな生活ができるよう、考えてあげなければいけないなと感じました。

齊藤千映美先生、宮城教育大学の学生の皆さん、参加者の皆さんありがとうございました。

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クマ・イノシシ対策講座~生態を正しく学び被害を未然に防ごう~

8月24日(土)に『クマ・イノシシ対策講座~生態を正しく学び被害を未然に防ごう~』と題したサロン講座を開催しました。

野生鳥獣の生態や対策などについて、県内外で指導や講演をされている「㈱地域環境計画 小野 晋氏」と「(一社)サスティナビリティセンター 相澤 あゆみ氏」の2人を講師にお迎えして、ツキノワグマとイノシシの生態と出遭ってしまった場合の対処法などについて教えて頂きました。

まずはツキノワグマについてのお話からスタートです。

初めに、今年の8月以降、泉区の水の森公園周辺で出没が相次いでいたクマについての説明がありました。
夏は山中にクマのエサとなる食べ物が少なくなるとともに、クマが繁殖期を迎えるため、エサとパートナーを探して歩き回るうちに、高速道路沿いの細い樹林帯などを通って、水の森公園や住宅地の周辺まで入り込んでしまったと考えられるとのことです。

ニュースなどでも取り上げられている話題とあって、参加者の皆さんも集中して耳を傾けます。

時折、身振り手振りを交えながら、小野さんよりクマの生態や、クマに出遭ってしまった場合の対処法などの説明が続きます。

《クマの生態について》
クマは植物食中心の雑食性で、春は山菜、夏はヤマザクラの実やアリなどの昆虫、秋は栗やドングリなどを食べています。
野外でクマが残す痕跡は、足跡やクマ棚、クマのフンなどがありますが、中でも、クマのフンは、クマの消化器官が肉食獣に近いため、食べた物がうまく消化されずに、食べた物のにおいがそのままするそうです。

《仙台市内における近年の出没状況》
クマの出没は通常であれば、山中のエサが少なくなり、クマの繁殖期である夏に多くなりますが、秋のクマの主要なエサであるドングリなどの堅果類が不作になると、エサを求めたクマが人里近くに出没を繰り返すことがあるそうです。
過去には、平成28年度にドングリなどの堅果類が不作になり、秋以降もクマの出没が相次ぎ、5件の人身事故が発生しています。

《出没の要因と対策》
クマが人里に出てきてしまう要因として、クマの生息域と人間の生活域の境界線があいまいであることが挙げられました。
対策としては、藪地の下草を刈って見通しを良くすることや、果樹の幹にトタンを巻いたり、畑全体を電気柵で囲うなどの防除策が重要とのことです。

《クマに出遭ったらどうするか?》
万が一、クマに出遭ってしまった場合には、、、
・大声を出さない(クマを興奮させない)
・走らない、背中を向けない
・ゆっくりと後ずさりしてその場を離れる
以上の対処法をとると良いそうです。
とはいえ、まずはクマに出遭わないようにすることが重要なので、仙台市のホームページで出没状況を確認したり、クマ鈴やラジオを携帯するといった対策をしっかりとしましょう!

質疑応答と休憩を挟んで、イノシシについてのお話が続きます。

イノシシもクマ同様、近年、里山だけでなく住宅地周辺にも出没することが増えていて、農業被害も年々深刻化してきています。

講師の相澤さんから、イノシシの生態や対策などについて学びます。

《イノシシの生態》
イノシシもクマと同じで、植物食中心の雑食性です。
クマとは異なり、冬も冬眠せず活動するため、冬の間は土を掘って根茎を食べているのだそうです。
性格はとても臆病なため、人間が活動していない時間帯に行動する習性があるようです。
また、イノシシの対策として、ワイヤーを使ったメッシュ柵がありますが、強靭な鼻を持つイノシシは少しの隙間があると、そこから鼻先を突っ込んで柵を持ち上げてしまうため、柵を設置する際は注意するようにアドバイスがありました。

《対策の基本的な考え方》
イノシシの被害への対策として、「環境整備」と「被害防除」、「個体数管理」の3点を挙げた相澤さん。中でも、「環境整備」と「被害防除」にもっと目を向けて力を入れてほしいと話します。
個体数管理に力を入れて、イノシシをたくさん捕獲しても、イノシシが再び出没しないように、下草刈りやメッシュ柵・電気柵の設置と適切な管理を並行して実施しないと意味がなくなってしまうのです。

《万が一イノシシに遭遇してしまったら》
こちらもクマと同様に、出遭わないようにすることが1番だとしたうえで、、、
・刺激しない、近づかない(ウリボウにも!)
・騒がずにゆっくりと後ずさりして距離をとる
・車の場合はクラクションを鳴らして様子を見る
以上の対策を挙げられました。

クマとイノシシの講座はここまでですが、同会場でクマの生態等に関する企画展「仙台とクマ展」が同時開催されていて、参加者の方々は実物大のクマのパネル等の展示物を見ていかれました。
※企画展は8月29日までで終了しています

講座で学んだ知識を活かしてクイズに挑戦する参加者の姿も見られました。

私たちも、野外で突然クマやイノシシに出遭ったら、、、と想像すると怖いですが、それはきっとクマやイノシシにとっても同じで、突然人間に出遭って怖い思いをしているはず!

彼らの生態や行動、出遭ってしまった場合の対処法などを正しく学んで、お互いが適切な距離を保ち、「共生」していけるといいですね。

講師の小野さん、相澤さん、スタッフの皆さん、参加者の皆さんありがとうございました。

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“生ごみ”って本当にごみなの?~生ごみからエネルギーを作ろう~!【サロン講座】


たまきさんサロンスタッフです。8/10に「“生ごみ”って本当にごみなの?~生ごみからエネルギーを作ろう~!」と題したサロン講座を開催しました。

今回は東北大学大学院農学研究科准教授の 多田 千佳 先生を講師にお迎えして、生ごみからエネルギーを作る方法や、実際に生ごみから作られたエネルギーを使った実験などたくさんのことを教えて頂きました。

まず初めにエネルギーについてのお話から。

エネルギーって何があるかな?という問いに対して、参加してくれた子どもたちからは水素、化石燃料、石油などが挙げられました。

今回生ごみから作るエネルギーはメタンガス。

メタンガスは都市ガスとしても使われているものですが、自然界で普通に発生するガスでもあります。

その例としては、牛が出すゲップや田んぼなどで見られるぷくぷくとした泡。
メタンガスを作っているのは小さな微生物たちですが、微生物とは1000分の1mm~10分の1mmという大きさの目には見えない生物です。

牛でいえば、牛の胃の中に暮らしている微生物たちがメタンガスを作っています。
この目では見ることのできない小さな微生物たちが食べ物を消化する過程で、それぞれの役割を分担し、チームワークによってエネルギーとなるメタンができているのだそうです。

ちなみに人間の胃の中にある胃酸はすっぱくて数値でいうと㏗1~1.5。
それに比べて牛の胃の中は酸っぱくも苦くもない中性で㏗6.9くらい。
微生物たちはやや苦い㏗7.5くらいが一番元気に活動できるそうです。

じゃあどうすれば、生ごみからメタンガスを作ることができるのか、ガスができる牛の胃の中はどうなっているのか、それぞれのテーブルごとにみんなで考えてみました。


その結果、いくつかの条件が見えてきました。


ここからはペットボトルを牛の胃の中に見立てて、実際に生ごみからエネルギーを作る実験です。

まず、参加者それぞれに持って来てもらった生ごみ200gに水を加えます。


水を加えた生ごみがドロドロになるまでミキサーにかけます。


ドロドロになったらボウルに移し、マルチミネラル・ビタミン剤がとけた黄色い液を加えてかき混ぜます。


㏗試験紙を使って㏗を測ります。目標数値は7.5。数値の調整には重炭酸ナトリウムという白い粉を使います。


数値の調整ができたらそれぞれのペットボトルに200㎖ずつ移します。


次は微生物が入っている消化液を200㎖ずつペットボトルへ入れるのですが、微生物は空気に触れると元気がなくなってしまうため、ここは素早く行います。


ペットボトルにすべて入れたら、ペットボトルの中身を39度に保ちながら3週間ほど置く
と、メタンガスができるそうです。

今回は時間の都合上、多田先生が事前に用意したメタンガスを使って、実際にお湯が沸くのか実験です!

まず、空き缶に水を200㎖入れます。次に空き缶にアルミ箔でふたをして、温度計をセット。

台に取り付けたら1人1つずつメタンガスの袋を持って、一列に並び順番に火をつけてもらいます。缶の底に当てる火が消えないように軍手をした両手で優しく袋を押しながらガスを出していきます。

火が消えてしまったら次の人と交代です。お湯の温度が70度になるまで、みんなで順番に火をつけ続けます。


いち早く70度を達成したグループから、自分たちで沸かしたお湯を使って束の間のお茶の時間となりました。

水の温度を70度まで沸かすのに、3袋や3.5袋使ったというグループが多かったようですが、中でも2.5袋と効率よく少ないガスの量で沸かせたグループには、みんなから拍手が送られていました!

日本人は1日平均1人当たり200gの生ごみを出しているといわれているそうです。
生ごみ200gではスープを3杯温められるのに対して、牛の糞2㎏ではなんと12.5杯も温められるエネルギーが作れるそうです。

今回行ったような仕組みでつくられたバイオガスは、実際に電気を発電するときや、灯りを灯すことに使うことも出来るそうです。聖火の火も作れるということで、今回はさらに最後にミニ実験。
ミニトーチとミニ聖火台を使って実際に点灯式を行いました!

トーチを持つ人、トーチにつながるガスを押す人、聖火台のガスを押す人、それぞれ配置についたら、いざ本番です。

見事成功!子どもたちからも歓声があがっていました。

ガスの仕組みが分かって良かった。
牛の胃の中を簡単に再現するだけで、ガスが作れることが分かって楽しかった。
など、子どもたちも大満足の講座になったようでした。

エネルギーにも様々な種類がありますが、身近なものを使って自然界でも普通に発生するガスが作れるということは、とても勉強になりました。
ただ捨てるだけの生ごみも、資源として利用することによって新たなエネルギーへと生まれ変わり、リサイクルへとつながっていくのではないかと思います。

多田先生、サポートスタッフの皆さん、参加者の皆さんありがとうございました。


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夏休みの自由研究にいいかも?キリバスのこと、地球温暖化のこと、SDGsのこと。【サロン講座】


8月4日(日)のサロン講座は、一般社団法人日本キリバス協会代表理事であり、日系キリバス人1世の第1号者ケンタロ・オノさんをお迎えして「夏休みの自由研究にいいかも?キリバスのこと、地球温暖化のこと、SDGsのこと。」を開催しました。

仙台市出身のケンタロ・オノさんは、小さいころから南の島が好きだったそうですが、小学校5年生の時にテレビ番組で初めてキリバスを知り、自分が持っていた南の島のイメージそのままのキリバスにとても衝撃を受けたそうです。


キリバスへのあこがれが強くなり、どうしてもキリバスへ行きたいという思いを遂げるため、高校の時にキリバス領事館へ「キリバスへ留学することに決めました!なんとかしてください!!」と、思いを伝える手紙を出したそうです。
強く願えば、周りの大人は理解してくれます。1993年1月16日、パスポートと片道チケットを持ってキリバスへ旅立ちました。
たくさんの大人の方の協力を受けてキリバスの高校で3年間勉強して卒業後もキリバスに残り、23歳の時にキリバス人になりました。開発コンサルティング会社の設立や国の業務もこなし、2011年の東日本大震災の後に仙台に戻りました。現在はキリバス人としてキリバスの暮らしや現状を伝える活動をしています。

みんなは植物の種と一緒です。大きく育って実をつけるには 土、太陽の光、栄養が必要です。
学校は土、水は先生方、お家の人は太陽、栄養となる肥料は好奇心だと考えています。
故郷やすべてにつながっている海、そしてこの地球を愛する人として育つことを期待してやみません。


太平洋の真ん中にあるキリバスは、首都タラワのあるギルバート諸島のほか、ライン諸島、クリスマス島など海抜2mに満たない33のサンゴの島々からなる国です。
飛行機で3~4日かかります。

「はい、コロボキタイム~~~」…キリバス語で「書く」という意味です。
今日の話はどこの国の話でしょう~~か?

キリバス共和国(以下、キリバス)の“テー・ベー”と呼ばれる布の腰巻姿で登壇したケンタロさんは、「今日、この場にいる方はラッキーです!」と言います。

その理由は…世界の人口70億人のうち、日本には1億2000万人、キリバスにはわずか11万人程で、若林区の人口より少ないのです。キリバス人に会い、キリバス語を聞けること自体が貴重なスーパースペシャルな体験なのです。
ミクロネシア系の人たちの島で、普段はキリバス語で会話していますが、学校の教科書はキリバス語のものはないので英語で勉強しています。


主な産業は漁業で、海の恵みを受け生活しています。

キリバスの食生活は、魚が中心です。キリバスはどこに行っても、青い海と青い空、白い砂浜が広がっています。サンゴの島には土がなく野菜は育ちません。そのため野菜は輸入するしかなく、価格が高くなります。なんと!キャベツ1玉が日本円で約2,000円もするそうです。
キリバスと仲が良い台湾から、砂を改良し家庭菜園を作ることを教えてもらい、現在では簡単な野菜を作って食べることができるようになりました。これこそ地産地消です。


それぞれ考え方、当たり前と思うことが違います。
この写真を見たらどう思う?
会場からは「きれい~」と声が上がります。
でも、キリバスの人は「おいしそう」と思います。


キリバスでは生ごみは家で飼っている豚の餌にするため、ほとんど出ません。
豚も大切に育てみんなで食べます。
ご飯を食べるときには何と言いますか~?
「いたたきます」
食べ終わったら~?
「ごちそうさま」
日本人は「食べ物はいのちで大切なものだ」ということをよく知っています。
でも、残念なことに日本は世界でいちばん食べ物を「ゴミ」にしている国です。「フードロス」とは「命をゴミにしている」ということです。
「もう、やめよう」とケンタロさんは訴えました。


日本とキリバス関係についても教えていただきました。

戦争の時に日本の兵隊さんがジャンケンを子どもたちに教えてくれました。
「サーン ケー ボイ」大会~
最後まで勝ち残った子にはキリバスが真ん中に載っている世界地図をプレゼントでーす。
キリバスには、学校や発電所などの大切な建物が日本の協力で作られており、青年海外協力隊の方々も来てくれています。また、種子島で打ち上げられたロケットを監視するJAXA(宇宙航空研究開発機構)や300人ほどのカツオの1本釣り漁師さんもいます。
世界中のマングローブを研究し、マングローブを植える活動をしている国際マングローブ生態協会の協力もあり、マングローブもたくさん植えられています。

キリバスの人々は、とても環境にやさしい暮らしをしています。
学校には机やいすの他、給食やトイレもありません。教科書もなく、先生が黒板に書いたものを見て子どもたちは勉強します。


引っ越しをするときは、屋根をみんなで支えて移動し、建て替えます。
世界で2番目にCO2の排出量が少ないキリバスは今、地球温暖化で世界中が暖かくなりすぎて海面が高くなってしまって困ったことになっています。


なぜ、地球温暖化が起こっているのでしょう?
石油を使いすぎている、車の乗りすぎでガソリンを多く使っている、プラスチックやペットボトルを使いすぎている、森を壊しすぎてしまった、海を埋め立てすぎてしまった、食べ物をムダにしすぎてしまった…すべて、私たち人間が引き起こしたことです。


日本にいると「地球が暖かくなっても、気温が高くなってもそんなに困ることはないかな~」と思うかもしれません…。

でも、キリバスの島の高さは2m程しかありません。山もありません。島の幅も350m程しかありません。
赤道無台風地帯のため、風がほとんど吹かず、4月から10月は乾季、11月から3月は雨季で、年間の気温差がなく穏やかな赤道気候でしたが、日照りの日が続いたり、大雨が続いたり、海岸が削られたりということが頻繁に起こるようになってきました。


キリバスは台風の赤ちゃんが発生するところに位置しており、今まではあまり影響を受けていませんでしたが、海水温度の上昇により台風の赤ちゃんでも勢いが強くなってしまい、島に波がかぶるようになりました。


2050年には海水面の上昇によりキリバスの首都タワラの8割が海に沈んでしまうだろうといわれており、故郷を失うかもしれないという危機に直面しながら暮らしています。
すでに、住めなくなってしまった場所もあります。


スーパームーンの時、地球と月の距離が近いので月の引力で海水面が引き上げられてしまい、この2~3年は、島中がこんな状況に…


島が小さくなって住めなくなってしまうほかにも、心配なことがあります。

半年あった雨季と乾季の期間もだんだん長くなり、雨季に貯めた雨水は乾季に使い尽くしてしまい、水不足になってしまうことが増えてきました。また、海水の浸水により、地下水の塩分も上がり、小さな子どもの死亡率も高くなっています。


海の温度が上昇するとサンゴが死に、海の生態系が変わります。今まで捕れていた魚が捕れなくなり、毒をもつ魚も増え、食べるものもなくなってしまうのではないかと不安になっています。
大切なヤシの実の収穫もヤシの樹が海水の浸水により枯れてしまい、減ってきています。
このヤシの木は根が枯れてこの翌日に倒れてしまいました。


この問題はキリバスにだけ起こっているわけではありません。
ネパールでも沖縄でも宮城でも、この仙台でも異常気象などの地球温暖化の影響は増えていくだろうといわれています。

緩和策(地球温暖化が起こることを減らすこと)ってなんだろう?
石油(ガソリンやペットボトル)の代わりのものってなんだろう、どうすれば減らすことができるかな…
どうしたら森を大切にできるかな…
どう海を大切にしたら良いのかな…
どう食べ物を大切にしたら良いのかな…

もうひとつの2050年問題として、海のプラスチックごみが海のすべての魚の重さよりも重くなってしまうといわれています。 プラスチックを作るために多くの石油が使われており、すべての魚の重さよりも多くの石油を人間は海に捨てているということになるのです。


日本の東側とアメリカの西側の海にプラスチックごみの「太平洋ごみベルト」というものができています。 そこからキリバスに流れ着くプラスチックごみもあります。


ケンタロさんは言います。 「私たち人間が引き起こした問題は、わたしたち人間が解決しなければなりません。地球を大切にすれば地球は必ず答えてくれます。

30~40年ほど前、日本周辺の海はとても汚れていました。
今は、飛行機から眺めると日本の海はとても美しく、川にはサケやアユが帰ってくるほどきれいになりました。 人間が正しいことをしたら地球は答えてくれると希望を持っています。 夢は絶対かなう!だから僕は希望を持って信じています。


『グローバルに考えてローカルに活動する。』毎日の生活で世界を変えることは絶対にできるし、みんなは世界につながっています


SDGsとは『2030年にはステキな世界にしましょうね!』ということ、その中でも一番の目標は、『みんなで!だれひとり取り残さないで!』ということだと考えています。」


「たまたまキリバスに生まれたこの子たちに『2050年にあなたたちは難民になってしまう、あなたたちの故郷は無くなってしまう』と伝えることができますか?
そんなことを伝えなければならない世の中になってはいけない!すべての子どもたちだれひとり取り残さないよう、一緒に頑張っていきましょう。」

ケンタロさんに質問タイム~。

たくさんの手が挙がりました。
キリバスでのごみの処理はどのようにしているの?
キリバスの平均寿命は?
キリバスのスポーツって?
キリバスの人たちの就職状況は?
キリバスの税金は?などなど。

「2050年にキリバスが沈んでしまったら島の人たちはどこに住むことができるのですか?」の質問には、息をのんでしまいました。 30年後も40年後もずっと、当たり前のように健やかに故郷で過ごせなければ正しくないと感じました 。

講座の後半は、ストップ温暖化センターみやぎの三浦さんによる「エネルギーのカバン」を使った体験学習も行われました。
日本、アメリカ、中国の一人当たりの一日のエネルギー使用量を石油の重さに換算して詰め込んだバッグを持って比べてみました。



重い!

こんなに使っているのかと、驚きでした。私たちの周りには石油で作られたものがたくさんあるんですね…


キリバスの現状を知り、「人間が正しいことをしたら必ず地球は答えてくれると希望を持っています。夢は絶対かなう!だから僕は希望を持って信じています。」というケンタロさんの言葉が強く心に残り、「今、出来ることはもっとあるかもしれない…今、はじめなければ!」と生活の見直しをしたり、家族や友達と話していきたい、また、夏休みの自由研究のテーマとしてもすばらしい講座となりました。

ケンタロ・オノさん、ストップ温暖化センターみやぎの三浦さん、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。 

ケンタロ・オノさんの著書「キリバスという国」の売上の一部はキリバスの環境保全のために寄付されます。

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「エナジーカフェ夏休み企画『親子でDIY!直流ベランダ発電!』」 &「エネルギー実験室」

 たまきさんサロンスタッフです。8月2日は、NPO法人環境エネルギー技術研究所の早川昌子さんをお迎えして、 「エナジーカフェ夏休み企画『親子でDIY!直流ベランダ発電!』」と題したオープンサロン講座を開催しました。ミニ太陽光発電システムを作り、再生可能エネルギーを私たちの暮らしの中に取り入れる方法や災害時に役立つ知恵を学びました。

 まず、早川さんから「電気のしくみ」について、簡単に教えていただきました。

 電気には直流と交流があり、発電所から家庭のコンセントまで送られて来ているのが交流電気(AC)です。スマートフォンなどは直流電気(DC)を使っています。どこの家庭にもACアダプターという機械があって、家庭のコンセントとパソコンやスマートフォンとの間につないで充電などを行っているはずです。つまり、この機械で交流電気を直流電気に変換しているわけです。

 使っているACアダプターが熱くなっていることに気がついている方もいると思います。これは、電気エネルギーが熱エネルギーになって逃げているからです。言い方を替えると、電気が熱という形でむだになっているということになります。

 それならば、最初から直流電気を作って、そのまま使えるようにすればよいのではないでしょうか?そこで、直流電気をつくることができる太陽光発電などの再生可能エネルギーを使った電気の高効率利用の研究が注目されています。

 今回の講座では、実際に直流ミニ太陽光発電システムを組み立て、電気を作ってみましょう。

工作大好きな子どもたちが集まってくれました。

「太陽光発電パネル」キットを使って組み立て開始です!

 お母さんにも手伝ってもらいながら組み立てます。

意外にむずかしいかな・・・?

ちゃんと発電してくれるかどうか、外に出て実験です。

どうやら大成功のようです! 簡易扇風機が回り出しました!

 ついでに、たまきさんサロンで育成中の緑のカーテンを使って、太陽のエネルギーについても少しお勉強です。

 赤外線サーモグラフィという機械を使って、陽の当たる所と日影の部分を測ってみました。

 参加者のみんなには、放射温度計を使って、いろいろな場所の温度を測ってもらいました。

 赤や白で表示されているのが陽の当たっている部分で、レンガ舗道の表面は何と最高57.8℃にも熱くなっていました。青色で表示されている緑のカーテンの裏の日陰では、30℃~35℃くらいです。こんなにも違うのですね。

  つまり、それだけ大きなエネルギーを地球は太陽から受けているということなのです。

  

午後の部 「エネルギー実験室」

午後からは、誰でも参加可能な「エネルギー実験室」を開催しました。

太陽光パネルを使って発電した電力で、いろいろな工作にチャレンジです!

環境系学生サークル「海辺のたからもの」代表の畠山紳悟さんと、午前に引き続き、NPO法人環境エネルギー技術研究所の早川昌子さんにご協力いただき、太陽光発電パネルで発電した電力を使って、キーホルダー作りやガラスエッジングを体験しました。

 今回のキーホルダー作りで使う材料は、仙台市の荒浜に打ち上げられた「プラスチックごみ」です。

 荒浜海岸には、9㎡におよそ300個のプラスチックごみがあり、マイクロビーズと呼ばれる小さなプラスチック粒になると、地層を成して堆積しているそうです。

 畠山さんたちは、地元の人たちと定期的に海岸清掃を行い、拾い集めたプラスチックや貝殻、流木などを使って、今回のようなアクセサリーを作るワークショップを開いたり、展示販売なども行っているそうです。

 使う電力は、大型の太陽光パネルで発電します。

 こちらはガラスエッジング。下絵の型紙をコップの中に入れて・・・

 型紙に沿ってルーター(電動やすり)で、コップの表面を削っていきます。

 みなさん、上手にオリジナルコップを作っていました。

 今回の講座では、再生可能エネルギーのお話や海洋プラスチックごみなど、これからみんなで考えていかなければならない大きな環境問題について勉強しました。

 講座タイトルに「DIY」と入っているのは、発電のような電気に関することでも、必ずしも発電所まかせではなく、身近な家庭でも手軽に発電できるということを知ってもらいたいという意味をこめて名付けられています。身近なところから、地球全体のことを考えていきたいですね。

 早川さん、畠山さん、ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

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お花を植える土を作ろう!~廃泥土のリサイクル~【サロン講座】

たまきさんサロンスタッフです。

6月29日(土)に「お花を植える土を作ろう!~廃泥土のリサイクル~」と題して、サロン講座を開催しました。

今回は東北大学大学院環境科学研究科 高橋 弘教授を講師にお迎えして、浄水場などで大量に発生し、不要となった泥土を植物用の土へリサイクルする方法や、植物に使うだけではない活用の仕方などを教えていただきました。

まず初めに、浄水発生土がどのようなものなのか、どうして発生してしまうのか、説明していただきました。

普段私たちが飲んでいる水は、浄水場できれいな水に作り変えられ、各家庭に供給されています。

その主な水源となっているのは川や湖などからダムへ運ばれてきた水です。 しかし、ダムの水は水中に小さな土砂や浮遊物などのごみがたくさんあり、そのままでは飲むことができません。そこで浄水場を経由することによって水中の小さな土砂やごみが取り除かれ、きれいな水へと作り変えられています。人間が生きていくためには水を作り続けなければならず、この過程で発生するものが「浄水発生土」です。

宮城県内で1年間に発生する浄水発生土を家のお風呂に溜めた場合、どれくらいになるかというと、10万くらい?5万?3万?と声が上がっていましたが、答えはなんと約2万6千個分!全国では年間100万個分にもなるそうです。

このたくさん出る浄水発生土を何かに有効活用できないかと考えられたのが、今回のテーマでもある、植物用の土としてリサイクルするということです。

いよいよ植物用の土へと変える実験の始まりです!

実際に浄水発生土を用いて作る場合、太陽などの紫外線によって天日乾燥させ、泥の中の雑菌や在来種などの滅菌消毒を行う必要がありますが、今回はそれができないため模擬発生土を使っています。
マスクをつけたら、みんなのテーブルに配られた水の中に模擬発生土を入れ、一生懸命かき混ぜます。

そこに新聞紙などを切った古紙を半分ずつ足しながら混ぜていきます。

古紙が水を吸って重たくなってきても、すべての水を吸うまでひたすら混ぜます。
「重たーい」「手がつかれたー」と声があがる中、みんな頑張って混ぜます。

粘土のようなものができたところで、魔法の白い粉を入れ、また一生懸命に混ぜます。

この魔法の粉は赤ちゃんのおむつにも使われている吸水性ポリマーの粉だそうです。
この粉が水分を吸って、どんどん固く粘り気のある泥になってきました。

ここまでくるともうすぐ完成です。
最後に分散剤をいれると、粘り気のあったものがぽろぽろとしたそぼろ状のかたまりになり、土の出来上がりです。

最初の水はどこかへ行ってしまったわけではなく、できた土をぎゅっと絞ると水分が出てきます。

「この土を使って、お花を植え替えてみましょう!」

今回は「日々草」というお花を植え替えてみます。

きれいに植え替えることができました!

育て方も教わり、これからもきれいな花を咲かせ続けてくれるのではないでしょうか。

今回実験した方法は、浄水場から出る廃泥土処理のほかにも、震災で出たヘドロ処理にも活用され、リサイクルした土は、堤防の修繕や造成に使われているそうです。

セメントに古紙を混ぜ込むと、古紙の繊維がつなぎ役となってより強度が強くなるそうで、実際にどれだけ違うのかのこぎりを使って試してみました。

今回の実験を通して、ごみとなって捨てられてしまうものでも、工夫をすれば立派な原料や材料として使うことができるということを教わりました。

リサイクルは様々なところで行われていますが、普段から興味をもってごみを減らす工夫を考えていけば、地球環境の改善にも役立つのではないでしょうか。 まずは、身近なところから少しずつ始めていこうと思いました。

高橋先生、学生スタッフの皆さん、ご参加いただいた皆さん、ありがとうございました。

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生産者と消費者が一緒に育む、持続可能な食環境を目指して【サロン講座】


たまきさんサロンスタッフです。6月26日(水)に「生産者と消費者が一緒に育む、持続可能な食環境を目指して」と題し、持続可能な食環境をつくる取り組みについてのサロン講座を開催しました。

講師には、畜産農家「むすびファーム」の上野まどかさんをお迎えして、“美味しい食材”がどのようにして作られ、どのように未来へつなげていけばよいのかについて教えていただきました。

講師の上野まどかさんは、宮城県登米市の稲作と畜産の農家のご出身です。
仙台の大学を卒業後、東京の企業に就職。その後、地元にUターン。2016年から実家の農家で黒毛和牛の繁殖と米作りをされています。
また、実家の田んぼをつかって「田植え&稲刈り体験」の企画を立ち上げたり、「東北風土マラソン&フェスティバル」の実行委員をされて、地域を巻き込んだイベントを積極的に行っています。


「はじまり」

上野さんは、生まれた環境が農家でありながら、食べることは好きでしたが、もともとは生産には無関心だったと言います。2010年に環太平洋パートナーシップ(TPP)協定の日本の参加検討が話題に出て来た時に、生産者や企業の意見ばかりがクローズアップされ、実際に農産物を食べる消費者が無関心なことに気づき、報道の世界に興味を持ち新聞社に入社。新聞社時代にお父さまが倒れ自分自身も「食」に関してとても弱い立場にあることを実感し、まず自分自身がちゃんと「農業」と向き合おうと決意します。

そして、農家を継ぐ決意をするもお父さまから猛反対され、まずは「東京で出来ることをやってみよう!」と、広告会社の地域事業部に転職。故郷登米市の農業をベースにした地域活性化事業やお米と仙台牛を使ったお弁当を企画するなど、積極的な活動を開始します。

その後、『東北食べる通信』(定期購読会員向けの食物付きの情報誌)のふるさとプロデューサーとしても活躍されています。



「Uターン」

自分自身も生産者として消費者とつながりたいという思いがますます強くなる中、登米市の実家に2016年にUターンします。
とは言っても、農家の実状をわかっているお父さまは、上野さんが実家の仕事をすることにやはり反対されたといいます。

まず、上野さんの1日の流れを教えていただきましたが、かなりハードなスケジュールに受講者の皆さんは驚いていました。
若い娘がこれをやりたいと言ったら、やはり親としては反対するかもしれませんね。


牛がいる限り、毎日休みなく続くわけですから・・・。


「ブランド牛」

宮城県のブランド牛と言えば、「仙台牛」ですが、全国にはなんと200銘柄のブランド牛が存在するそうです。

まずは、よく目にする和牛のランクについても教えていただきました。


A5・B5ランクの格付けに入っているのは、仙台牛だけということに驚かされました。
仙台牛って、そんなにすごかったんだ!

さらに登米市では、そんな仙台牛の40%位を生産しているということです。

上野さんの実家は、現在、親牛(繁殖雌牛)が11頭と産まれた子牛を飼養している黒毛和牛の繁殖農家です。

排泄物は全量堆肥としてコンポスト化し田畑に撒きます。そこで採れた米や稲わらを牛の飼料にするという循環型サイクルによる稲作と畜産の経営が行われています。どうやら、このあたりがおいしい牛ができる理由のようです。


ちなみに、メスのお肉の方がおいしいということです!


「繁殖」

肉牛の生産には、上野さんのお宅のように繁殖して子牛を出荷する「繁殖農家」と、その子牛を買って肉牛に育てて売る「肥育農家」の2つの生産者が関わっています。
牝牛は生後13ケ月位で種付けが行われ、その後1年1回のペースで5〜10回ほど、子牛を産むそうです。

牛は種付けから始まって(妊娠期間は約10ヶ月)、生まれてからお肉になるまで、2年半から3年という時間がかかります。生まれた時には25㎏~40㎏だった子牛が、10ケ月後に子牛市場に出荷される頃には300㎏位に成長しています。その後さらに1年半〜2年位かけて650㎏~900㎏位(雌と去勢でも大きさは違います)大きさに肥育され、食肉市場に出荷され、400kg〜600くらいの枝肉になります。


「Animal Welfare (動物福祉)」 

これは、初めて聞く言葉でした。このような指針のもとで、肉牛も適切な管理がなされて生産されていたのですね。

上野さんのお話では、牛も5歳児位の知能を持っていて、面倒を見てくれている人をちゃんと見分けられるそうです。


「食べ物をとりまく環境」

食べ物をつくる人も食べる人も、お互いが見えない中で、「食」への意識が低下している状況が、今の食べ物をとりまく環境なのではないのかと上野さんは指摘します。

つまり、「誰が作っている食べ物なのかわからない」「モノとしてだけの食べ物になっている」「誰が食べているのかもわからない」ということです。

それぞれの立場で、かかえている問題点や疑問点を見ると、以下のようなことがあげられます。

これらを解決する手段のひとつとして、生産者と消費者の接点づくりが考えられます。

そこで上野さんは、まず「田植え&稲刈り体験」を企画実施してみました。

これはつまり生産者と消費者を「見える化」することです。

一番身近で毎日食べる食材である「お米」を通して、生産の現場を見てもらう、体験してもらい知ってもらうことで、自分は誰が作った食べ物を食べているのか、自分が作った食べ物は誰に食べられているのかがわかり、そこに絆が生まれ仲間意識が生まれるのではないでしょうか。

CSAというシステムも、生産者と消費者をつなぐ有効な手段のひとつでしょう。

そして、自分の足元である「むすびファーム」から、そして登米から情報を発信していきたい。「農家のロールモデル」になりたいというのが、上野さんの目標です。

都内で仕事をしている時から「東北風土マラソン&フェスティバル」の実行委員としても活動していた上野さんは、Uターンしてからも実行委員として活動しています。


「おいしいの向こう側を伝える」

「東北風土マラソン&フェスティバル」という催しは、マラソン大会を通して東北内外はもちろん、世界中から人を集め、東北の魅力的な「風土」と美味しい「FOOD」を存分に楽しんでもらいたいという主旨のもと誕生した東北と世界をつなぐ企画です。

この催しの中の「東北風土ツーリズム」という催しで、登米の食の魅力を伝えるツアーを企画しています。それが「生産者と味わう仙台牛満喫ツアー」です。


豊かな食材を100年後にも200年後にもつなげていきたいというのが、上野さんの思いです。


そのために、ひとまず生産者と消費者にできることは何でしょう?


「まとめ」

生産者や国、自治体だけが食料について考えていればよいのでしょうか?
食べる人はモノとして消費して、余ったら捨てる。それで良いのでしょうか?

たしかにスーパーには、いつもたくさんの食材が並んでいます。
2011年の震災の時には、あの棚が空っぽになったことを覚えていますか?

例えば、2000年と比べると農業人口は、半分に減っています。日本の食料自給率はカロリーベースで38%です。そして、今まさに問題になっているフードロスは、毎日一人お茶碗一杯分出ています。

未来に向けて、みんなで考えなければならない大きな問題です。

今回の講座では、美味しい食べ物の向こう側にある生産者の苦労や思いを知ることが出来ました。そして、われわれ消費者にも“美味しい食材”を未来に残すために、少なからず責任があるということを教えていただきました。

上野まどかさん、参加者の皆さん、ありがとうございました。


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